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<百字紹介文>マネジメントの父・P.F.ドラッカー著書だが、ちょっと他の本とは趣が異なる。 架空会社の経営コンサルタントとしてドラッカーが関わる形のドラマ仕立てで、マネジメントの実践を具体的に分かり易く解説している。 <詳しい紹介文> 今までにドラッカーの著書(但し翻訳書)を幾つか読んだが、これは今まで読んだものとちょっとスタイルが違っていた。 ●パートⅠは「成果の本質を問う(Effective Executive)」 架空の電子部品メーカーであるハドソン・ランシング社を舞台に展開。 「社長のランシング氏を中心とする経営幹部の緊張感あふれる人間模様を描きながら、経営者の果たすべき役割が明らかにされていく」(「訳者はしがき」から引用) たとえばドラッカーは、(他の本も含めて)人事がマネジメントで一番難しいと述べているが、色々な箇所でそれぞれの人の「強み」は何かを考え、それを活かす人事を主張している。 組織に貢献したから単純に昇格するのではなく、高等教育が進み専門家が進んだ現代では、管理職に格上げすることは本人のやる気をなくさせたり不適合を起こして、無能にしてしまう(場合によってはトラブルメーカー)可能性さえある。 よって昇格せずとも上役より給料を高くしたり、その人が向いた別の職に斡旋及び援助して就かせるなどという例なども紹介する。 ●パートⅡ「マネジャーの仕事(The Manager and The Organization)」 「架空の鋼管メーカー、ゼネラル鋼管社でのコンサルティング風景が描かれる。経営幹部が直面する現実の問題が、生々しく描写される点が秀逸である。人間臭く不透明な問題を鮮やかに解決へと導くドラッカーのコンサルティングぶりとその解説から、経営者の真の仕事をうかがい知ることができる。」(「訳者はしがき」から引用) ちょっと個人的に気に入った箇所はプラニングの本質。 ドラッカーは、プラニングとは望む未来を手にするために、どのような仕事と行動が必要かを考え抜くための道具であり、その成果とすbねきものは情報ではなく仕事だという。そして目標管理なるものがその際喧伝されることが多いが、そこでは往々にして目標がなおざりにされ管理に力点が置かれがちだと指摘。しかしまず目標を考え、目標を実現することを考え、そこからスタートするのが重要。明日のためのプラニングには、昨日の廃棄が必須で、意味のなくなったもの、生産的でなくなったもの、目的を果たしたものは必ずは廃棄が必要だとも説く。 ●パートⅢ「明日の経営者の課題(Managing for Tomorrow)」 架空の経営者団体「南カリフォルニア若手経営者クラブ」において、病院、メーカー、金融機関などさまざまな組織の若手リーダーに対するコンサルティングが行われる。 ドラッカーの文章は、普通の本でも平易簡明であると思うのだが、このようなスタイルだと尚更、具体的で分かり易い。 著者自身が書いた入門版・実践マネジメントといった感じだ。 おすすめの一冊です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2014-09-22 12:35
| 読書
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by une_genzaburo
| 2014-02-09 11:57
読了したことだけ、備忘録的に記録しておく。 あしからず。 ▲
by une_genzaburo
| 2013-11-30 07:33
| 読書
<百字紹介文> 日本のリフレ派きっての論客の経済学者が書いた本。リフレ派はインフレ・ターゲット政策を主張してきたから著者も大略アベノミクスを支持している。金融緩和、TPP、成長戦略等各論点をまとめ分かり易く解説する。 <詳しい紹介文> この本は、第二次安倍政権発足(2012年12月26日)後の、2013年4月15日出版された本だ。デフレ脱却を願って来た日本にとっては、待望の(アベノミクスの効果があってのことか否か不明だが)為替が円安に向かい経済が徐々に活況を呈してきた状況を見据えて、この本は書かれている。 著者は、日本のリフレ(リフレーション)派きっての論客と言われる人物だそうだ。 リフレーションとは、辞書(デジタル大辞泉)をみると「景気循環の過程で、デフレーションからは脱したが、インフレーションにはなっていない状態。また、そうした状態になるように財政・金融を調節していくこと。」とある。 またTPP賛成論者でもある。 7月20日に七尾市立中央図書館から借りてきた本だ。私はこの7月後半は何かとバタバタしていて、そのため10日ほどかかってやっとこの本を読み終えた。 全体をまとめて、感想なども添えて紹介する気力は実のところ現在あまりない。 今回は、目次を参考に転記して、あとは簡単な説明・感想を少々書くにとどめたい。 【目 次】 第1章アベノミクスを読み解くために 第2章第一の矢-アベノミクス最大の論点 第3章第二の矢-財政再建に効果はあるのか 第4章第三の矢-成功する成長戦略とは何か 第5章成長戦略としてのTPP 第6章アベノミクスの課題とリスク アベノミクスの第一の矢とは、ご存知の方も多いと思うが、大胆な金融緩和である。第二の矢は機動的な財政再建、第三の矢とは、民間投資を呼び込む成長戦略。 リフレ派なので、安倍さんのインフレ目標を設定し大胆な金融緩和を行う政策には勿論賛成の著者である。 ところで、インフレ・ターゲット政策に対しては、もし物価がインフレ目標を超えた場合、引き締め可能かどうかの疑問がある。 その場合、日銀が国債を直接引き受けして歯止めが利かなくなり、マネーを増やしハイパーインフレが起こる可能性が識者の中で危惧され言われることが多いのだが、著者は、インフレ目標を掲げたのだから、マネーを止めどなく増やすことはあり得ない、というばかりで、ちょっとこの辺は、この著者に信がおけるかな?と思った。 それでは民主党支持か?とんでもない。 私は、民主党には、彼らが一度政権をとる前から(というよりそのずっと前から)、彼らには全く信を置いていないので、自民党支持でずっときている。 自民党もかなりガタが出てきたが、それでも民主党(マニュフェストを前面に押し出して政権を奪還したにも関わらず、政権獲得後反故同然にして、その上どうしようもない駄目な政策をしてきた。その後未だにその事に対して党としてきちんとした謝罪をしていない)と比較すれば、リフレ派を含めたアベノミクスの方がまだ支持できるというものだ。 ただし(上で一部批判もしているように)私は、アベノミクスには諸手を挙げて支持するという訳ではない。 今後は10月頃にどうするか決めるという消費税のアップの判断が、1つの大きな山場となろう。 また国際的な状況・事件も、経済的なものに関わらず、政治、財政、種々の問題が為替や金利に大きく反映し、アベノミクスを取り巻く環境も大きく変化し、アベノミクスの推進に数多の障害が急に発生してくることも考えられるだろう。 そういう事を考えると、やはり財政問題を少しずつでもいいから改善の方向へ前進させておこないとまずいであろう。 安倍政権にも、今回7月の参議院選挙で大勝し、ねじれ状況が解消されたとはいえ奢ることなく、国の為に政治活動に精進してほしいと思う。 大筋においては、この論者に賛成だが、幾つかの点では反論もある。 よって本当は、この本の主旨なども、まとめて説明すればいいのだが、今一度ざっと目を通してまとめる気力は、前の方でも述べたが今回はない。 この程度の説明では、この本の著者はどう現状の日本経済を分析し、どのような意見を持っているかなど肝心な事がまるでわからないと思うが、それは読んでのお楽しみとして、今回は私としてはこの辺でご勘弁願いたい。 お薦めの一冊です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2013-07-31 17:28
| 読書
<百字紹介文> 世の中の仕組みなどを分かり易く解説することで定評のある池上彰氏のカラー図解による経済本だ。国債問題、TPP、景気、年金問題・・・今世間で注目の経済問題のポイントを必要最小限度にまとめ、平易に解説する。 <詳しい紹介文> 世の中のことを子供でも理解できるように分かり易く解説することで定評の池上彰氏の毛剤関係の図解本である。 私は経済に関しては、比較的理解していると思っているが、知らない事や忘れてしまった事も勿論多々ある。知ったかぶりしてもしょうがない。よく知っていると思うことも、こういう本を読むことによって復習や抜けをチェックすることにもある。 よってできるだけこういう本も読むようにしている。 下手くそな私のまとめで概要を書くより、目次を参考にあげるほうが、大よそ何が書かれているのか掴めると思うので、ますはそのようにする。 第1章 実はこうなっていた「景気」のしくみ ニュース01 景気が悪いとはどういうことか ニュース02 どうなると会社は倒産するのか ニュース03 失業率はどうやって計算する? ニュース04 経済成長率はどうやってみるか ニュース05 デフレになるとどうして困るか ニュース06 日本の産業は空洞化している? 第2章 知っておきたい「金融」の基本 ニュース07 金融のしくみはどうなっている? ニュース08 金利とはなんだろう ニュース09 どんな銀行が安全と言えるのか ニュース10 消費者金融のしくみ ニュース11 日本銀行に預金はできるか ニュース12 日本銀行はどうやって紙幣を発行する ニュース13 日本銀行の量的緩和のしくみ 第3章 「お金」と向き合うためのルール ニュース14 そもそもお金とはなんだろう ニュース15 税金は何のために納められるのか ニュース16 消費税は増税しなければならないのか ニュース17 年金制度は本当に維持できるのか 第4章 いまさら聞けない「株」の話 ニュース18 株とはなんだろう ニュース19 株式市場はどうやって運営されている? ニュース20 日経平均株価とTOPIX ニュース21 株式持ち合いとはどういうことか 第5章 「世界経済」の動きをつかむ ニュース22 円高・円安がやっぱりわからない ニュース23 外国為替市場はどこにあるか? ニュース24 ドルがなぜ世界の基準になるか ニュース25 ユーロとはどんなもの? ニュース26 中国の経済はどこまで伸びるか ニュース27 TPPに参加するとどうなる? 第6章 「日本の借金」はこれからどうなる? ニュース29 バブルとはなんだったかのか? ニュース30 公共事業で景気は回復しない ニュース31 国際とはなんだろう ニュース32 個人消費向けのメリットとはなにか ニュース33 日本の国債の格付けはどうなっている? 以上が目次の列挙である。 もし興味を抱かれたのであれば、あとは買って読むか、本屋や図書館で気になった項目だけ立ち読みするだけでもいいのではないか。私もよくやる手だ。 1つのニュース(項目)について、大体見開き2頁もしくは4頁で解説している。 私からすると、時にはちょっと物足りない説明と思う箇所もあったが、本の性格上、1つの事にあまりこだわる事もできず仕方あるまい。 とにかく現代社会で問題となっているような経済事項のポイントを押さえ、現況やその問題点と原因等の簡単な概略を知るにはいい本だと思う。 お薦めの一冊である。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2013-02-27 07:36
| 読書
<百字紹介文> 近年、欧米や日本等の停滞ぶりとは好対照に、急激な成長を見せるアジア。日米同盟と中国の狭間の中で、対応に苦慮する日本に対して、米国とも関係を維持しながら中国を含めたアジアと地域統合を深めよと説いた一冊。 <詳しい紹介文> 内容は、小説ではないからタイトルを見ての通りだ(副題は「日米中関係とTPPのゆくえ」)。 私は今後の世界情勢、日本の景気、TPPの行方に非常に興味があるので、それを考える上で読んでみようと思ったのだ。別に私に限らない。多くの日本人がこの項目に興味があろう。 著者は、1990年代は欧米の時代であったが、これからは間違いなくアジアの時代だと言う。その辺の認識は私も同様である。 アジアの急成長に危機感を抱いたEUは、経済統合のみならずその先の政治的な統合まで踏み入って、何とかその地位を守ろうとし、また最近低落傾向のアメリカも、日米の同盟関係を飛び越えて中国と交渉したりして、アジアの成長を自分の成長の中に引き込もう、取り込もうとしているという。その認識もまた私は認める。 一方日本は、失われた20年といわれた景気低迷に見舞われ、最近まで続いた円高で国内メーカーは海外に工場進出し職場は失われ空洞化が一気に加速、財政的にも1千兆に近い累積債務で危機的状況。そこへ泣き面に蜂ではないが、2011年3月11の東日本大震災である。 日中、日韓の関係も、何時までも歴史問題が影を指し、一向に改善される気配はない。 そこでこの著者は、積極的にTPPなどに参加し、全方位外交をとることを主張する。旧来の「日米同盟か中国への身売りか」、「中国との連携とアメリカとの決別か」という二者択一の不毛な議論はやめ、アメリカとの関係も維持し、アジアとの地域統合の動きにも積極的に参加していくべきだという考えのようだ。 がここまで読んでお分かりのように(2012年2月発行の本のせいもあろうか)、著者はTPPに中国が入ってくると考えている節がある。私はその頃にはもう中国は入ってこないと考えていたが、この女性はこの道の専門家としての素晴らしいキャリアを持つ割には見通しが悪い気がする。 TPPでは原則として参加各国の例外なき関税撤廃が謳われているが、著者はこの「原則」をそう強い束縛と感じないらしい。交渉がこちらの思い通りに進めれると思っているのだろうか?TPPの問題点を3つ列挙しつつも、それを回避する保証を守らなければならないとしている。 具体的には、(1)地域にとってもまた参加国にとってもWin-Winの政策であること、(2)一国がヘゲモニーを取る体制でなく、参加国の関係が対等(パリティ)であること、(3)「例外なき関税撤廃」と一挙に市場開放するのではなく、その国の国益や社会構造に関わる問題については、例外品目を設定し、交渉だけでなく、制度や法を設けてそれを守り保障すること、この3点が保証されなければならないとしている。 そして「現在進められているTPPは、このいずれの原則も保証されていない点で、疑問が残る」とまで言及しながらも、TPPへの参加が今後の日本にとって必用と訴えているのだ。 TPPは交渉のテーブルについたら、もうその交渉から下りられない(つまり参加あるのみ)という。「一国がヘゲモニーをとる体制でなく」と著者は言うが、TPPへの中国の参加が無い可能性が強い段階では、実質アメリカがヘゲモニーを取る可能性は大きい。 過去の日米経済摩擦の経緯を見れば、日本がアメリカと対等な交渉をしようと思っても出来なかったのは明白である。 アメリカや中国にヘゲモニー的行動を取るなというのも、娑婆知らずのお嬢様的言動に思える。現にアメリカは近年韓国と結んだFTAでは韓国に強硬な姿勢に出ており、韓国民の大きな反発を呼んだ。 また中国にヘゲモニーを取るなというのも、無知も甚だしい。中国は力のない時や時期至らずという時は大人しくしているが、一端(力・立場を得て)他国の弱みを見出すと徹底的に突いてくる国柄だ。 日中、日韓の国民を隔てる歴史的わだかまりも、著者は「歴史の共通の副読本」を持つと等といった努力をせよと、ノー天気な事を述べている。 昨日読んだ本で渡辺昇一が、過去に問題をもつ隣国間で歴史の共通認識を持つことなどあり得ない、それぞれの立場の歴史観があるだけと言っていたが私もそう思う。特に相手が中国や韓国という国柄では尚更である。 この著者は、何もTPPへの参加だけを主張している訳ではない。現在目立たぬが実質機能し始めている地域統合を幾つも持つアジア諸国と、通貨や経済の地域統合へ向かい、日本の将来の発展もその道筋の中で見出すよう主張している。私はそのこと自体は反対しない。ただ専門家の割には理想家・夢想家(それとも楽天家?)過ぎる気がした。 またこの女性は、先日読んだ『世界一わかりやすいTPPの授業』(中経出版)の著者・小泉祐一郎氏が指摘していた事、TPP(FTA、EPAも含め)を自由貿易と捉えていることも気になった。それらは域内では関税撤廃などあり自由貿易するかもしれないが、域外に対してはブロック経済の一種の保護経済であり、この辺は才女と言えども混乱もしくは完全に誤解していると思った。 今回はかなり辛らつな批判も多々書いたが、急激にグローバル化し沸騰しているかのようなアジア諸国との関係を考える上では色々と勉強にもなった本だ。 最終的にTPPに参加するしないに関わらず(私は、TPP参加は超慎重派・反対派に近いが、とても私の意見が政治家に届き反映されるとは思えない)、一人一人の日本国民がこの新しいアジアを中心とした世界のダイナミクスについて考え、議論することはやはり大事であろう。 そういう意味でも多くの人にこのような本をどんどん読むことをお薦めしたい。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2013-01-28 23:39
| 読書
<百字紹介文> 岩波ブックレットの1冊で文量的には大したことはないが、今まで見過ごされてきた金融危機の根因ともいえる要因を、歴史的分析や現状分析などを通して鋭く浮き上がらせ、金融市場の健全性の復活を説いた一冊である。 <詳しい紹介文> 2008年に起きたリーマン・ショックから4年以上が経つのに、国際金融危機に一向の収束が見えない。著者はこの状況を説明するに、今までよく言われてきた理由が根因ではないという。 確かに最新の金融工学を駆使して作り出された多くの金融派生商品や証券化商品の暴落が、投資銀行や預金銀行の経営危機に直結していることは疑いないが、投資銀行ビジネス・モデルの破綻や、金融技術革新の破綻はその根因ではないというのだ。 IMFの調査によれば、1970年から2007年までの38年間でも、208ヵ国で通貨危機が、124ヵ国で銀行危機が、63ヵ国で通貨危機が発生しているという。金融危機は、先進国、新興工業国、発展途上国を問わず、世界の至るところでおこっているのだ。 一方、第二次世界大戦後1970年以前の時期には、国際金融危機や大規模な国際金融はほとんど発生していない。第二次大戦後に限れば、金融危機は1970年以降の現象といえるのだ。 そこでこの本では、現状再認識のため、まず第1章で、リーマンショック後に起きている事態の推移を4期に分けて分析する。 第一期は、2007夏〜2008夏の「米国住宅市場から金融市場への問題伝播」期、第二期は2008年9月〜2008年末までの「米国金融危機から世界金融危機・世界同時不況へ」の時期、第三期は2009年1月〜2009年10月の「危機 の拡大ときしむ国際協調」の時期、そして第四期は2009年10月のギリシャ危機顕在以降の「ユーロ危機」の時期〜現在まで。 第二章では、国際金融危機の発生率がその前後で大きく異なるという、1970年代とはいったいいかなる時代かを歴史的に見ていく。 1970以前だが、そのキーをなすのがブレトンウッズ体制である。詳細説明はしないが、戦前の金のみの兌換に頼った金本位制ではなく、金・ドル体制の固定相場制のことだ。1ドル=360円に固定され、おかげで日本は大いに復興が進んだ。同様に西洋も大きく復興した。 一方アメリカは、日本や西欧が復興し繁栄していく状況の中、ベトナム戦争などで大幅な財政赤字を抱え、金の保有量を遥かに超える紙幣の発行を余儀なくされ、1971年8月15日、金とドルの交換停止を発表したあのニクソン・ショックに至る。 その後、ドルの切り下げが何度か起こり、1973年2月の再度の切り下げの際、各国はなし崩し的に固定相場制から変動相場制に移行した。 1971年以降、徐々にその基軸通貨としての価値を下げてきたドルではあるが、不思議なことに各国のドル保有高は減るどころか増加したという。中には、これを根拠にドルが基軸通貨としての力を失っていないという人もいるが、著者はそうではなく、長期的には持続的に価値を下げ続けている通貨が、短期的に最も効率的で安全な通貨となっている事を示すものと指摘し、さらに次のようにいう。 「ここに、現在の国際金融システムの最大の問題が存在するのであり、国際金融危機を引き起こす根因があるのです。 変動相場制の下でのリスク・ヘッジとリスク・テイクの両面からドル需要の増大、この結果として堆積してくる膨大な過剰ドル、この過剰ドルの運用先を求めての新しい投資対象の開発と資本自由化要求、その過程から生じる金融システムの国際的、一国的不安定の増大。このような連鎖は、金融グローバル化という形で現れてきます。 そしてそれを生み出しているのは、国際金融システムの動態とそのコアとしての基軸通貨の弱化なのです」 私は鋭い指摘に思わず唸ってしまった。 金融危機には、今まで危機に陥った各国の内部に腐敗・癒着・政争etcの問題があったとする内因説や、アジア通貨危機の時にみられた国際的投資資金・投機資金の一挙大量流入と大量流出などから指摘される外因説も言われてきた。 この著者は、上記に述べたようにそのどちらもとらず、その鍵は金融のグローバル化にあるとして、様々にいわれるグローバル化というものを分析し、その特徴を説明していく。 自分に課している制限字数にもうかなり近づいてきた。以下は少し急いで書く。 このあと第三章では、G5やG7でもはや対応しきれなくなった金融危機を、G20金融サミットという多数の国家や国際機関で議論し、国際政策協定や金融規制を行う状況に至った経緯を解説。 さらに、最終章(第4章)「新自由主義的改革をどうみるか」では、各国で同様に新自由主義といわれる政策的イデオロギーについて、アングロ・サクソン的、大陸ヨーロッパ的(本文の中ではさらにドイツ的、フランス的と分類)、その他の様々な新自由主義として分類・類型化して見ていく。 勿論現在、世界の広域で拡大しているのはアングロ・サクソン的新自由主義にほかならない。 著者はこうなった理由は「1980年代のグローバル化が、金融グローバル化として進行した、あるいは、多国籍企業や米財務省、国際金融機関などが、金融グローバル化を強引に押し広げていったからだ、というのが、もっとも単純な答えだ」と指摘する。 アングロ・サクソン的新自由主義の考え方は、市場原理主義的であり、「完全市場」から乖離した全ての市場を「不完全市場」あるいは「市場の未熟性」と位置づける。 「市場の自律的調整メカニズム」=「市場の規律付け」を大原則とし、「民間企業の効率性、自由貿易、解放された市場」といった制度が、経済厚生を最大化し適正な経済成長を実現するものである。 巻末で著者は、このような市場原理主義的新自由主義の暴走に対して、体系的に歯止めをかけるシステムが無い限り、金融危機はまた起こる可能性を指摘する。 それを防ぐためにも、古典的自由主義が持っていた健全性、すなわち「公共社会の力」と「正義という徳性」の行使という健全性を金融市場に埋め込んでいく必要性を説く。 そう厚くはない本であるが、私としては非常に勉強になった。図書館から借りてきた本であるが、近々本屋で買ってきて、蔵書に加えたいと思っている。 お薦めの一冊です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2013-01-23 11:14
| 読書
<百字紹介文> 代ゼミで政治・経済を教え、一般向けにも多数の本を著している著者が、今話題のTPPの問題を採り上げた。賛成論、反対論各々の意見を、分かり易くまとめて分類しその主張を検証、読者の参考に供した入門書である。 <詳しい紹介文> 私はTPP(環太平洋パートナーシップ)協定に対しては非常に関心がある。 ある意味、それにより日本が大きく変わる可能性もあると見ている。 現時点では私は慎重派、いや反対派に近いといえるだろう。 色々読んでいるが、まだじっくり考えるには不十分な知識量だとも思っている。 そういう訳で今回図書館でこの本を見つけて、ちょっと借りてきて読んでみた。 著者は、私より1つ歳下の、代ゼミの公民科講師をしており、政治経済などの本も色々出している方である。東京生まれの東京育ちらしい。 「世界一わかりやすい」かどうかは分からないが、よくこういう本にるパターン同様、それぞれの主張に基づき、複雑にならない程度に場合分けを行い、各々を検証するというやり方で書かれた本である。 TPPに関心有りよく関連本など読むといったが、正直言ってこの本で教えられる事も多かった。この本の中の例え話等は、非常に分かりやすかったと思う。 例えば、47の都道府県からなる日本に関して、47カ都道府県の全てを独立国と仮定して、47カ国の経済連携協定(EPA)を締結しているJPPと呼び、TPPやFTA/EPAについて考えてみるという手法は非常にいい例示であった。 またTPPが自由貿易ではなく、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定:日本が考え出した造語)の1種であり、TPP自体は自由貿易ではなく、逆にブロック経済の考え方に非常に近い保護貿易の1種であるという指摘は、日本人が忘れがちな内容であり、しっかり押さえておく必要があるように思えた。 この本でも指摘があったが、TPPの経済連携協定(EPA)とは、APECの参加国ならばどこの国でも参加できる協定で、域内での取引の自由化を取り決めた多国間条約(協定)のことである。域外に対して共通関税政策を実施するEUやメルコスールのような関税同盟(CU:Customs Union)ではないということも重要だ。 FTA/EPAが、域内の自由貿易をめざす経済連携であったとしても、サラダ・ボウルの中でスパゲッティが絡まって入り組んだ状況となるように、EPAが増えれば増えるほど、自由貿易に反する状況が生まれてくる(スパゲッティ・ボウル問題)という話は、FTA/EPA、ひいてはTPPが保護貿易的ブロック経済の一種である性格をよく表していると思う。 スパゲッティ・ボウル問題にともない、混乱回避のために原産地証明というちょっと厄介な手続きも生じてくるが、その場合は仕方ないことかもしれない。 単純発想するならば、TPPまたはFTA/EPAに、関税同盟を設ければいいではないかと考えてしまう。しかしこの本にも書いてあるように、WTO/GATTの最恵国待遇の原則により、関税などを国の考えで自由に決められなくなりマズイ状況が現出する(この辺は説明すると長くなるので省略する)。 この本では、TPP賛成論、反対論それぞれの主張を分かり易く3パターンにまとめて分け、それぞれを検証している。 賛成論を、A・農業構造改革論者、B・日米同盟重視論者、C・「自由貿易」論者、反対論をA・食糧安全保障論者、B・アメリカ陰謀論者、C・真の自由貿易論者に分け、賛成論、反対論のそれぞれ(A,B、C)が対応しているという。 大体においては、この著者のいうところで正しだろう。特に賛成論のC・「自由貿易論者」が理論的には破綻しているというのは、この本でよく理解した。 この著者自身は、はっきりは言わないが、どうもTPP賛成論者のようだ。 賛成論、反対論にはそれぞれ言い分があり、それは読者自身が決めることだという態度だ。 そのこと自体は悪くはない。 しかし私個人としては納得のいかない事が少なくとも2点あった。 この人は、上の累計でいうなら日米同盟重視論者のTPP賛成論であるようだ。 巻末の方で、日米安保条約の第2条で「経済協力」も規定しているから、もしも日米同型を今後も続ける以上、TPP交渉に参加するのは当然であると主張すべきと言っているからだ。本人は、主張を一貫すると理屈的にそうなるみたいな言い方をしている。これがこの著者の考えであろう。 しかし私はそうは思わない。日米同盟にそう書かれてあったからといって、日米同盟を破棄する気概がないなら、TPPを結ぶのは必然というのは、論理の飛躍である。 理屈言い屋の陥りやすい欠点であろう。日米同盟とTPPは別個のものだし、片方の条約がもう片方の協定も強要するというのはおかしな考えだ。 まだ他にもある。この著者は「東京生まれの東京育ち」だけに、農業を仕入れた情報知識だけで分析し、述べているが、実情というものを全く理解していない。 私は何も農業問題だけを採り上げて、TPPを反対するつもりはない。むしろ、金融や保険、流通業で、ISDS条項などにより労せず楽して日本の富がアメリカのものになる危険性などを非常に危惧している。が、農業問題だけでもこの著者を攻められる。 著者はTPPをもし実施すれば、1.5%にまでも減っている農業人口が、さらに減る可能性を認めている。というのも著者は、構造改革により、強い農家が育つかのような予想をしているのだ。 既に地方では農家の若い担い手はほとんどおらず、70歳や時には80歳という高齢の方が農業就業人口の主体だ。あと数年であっという間に、都会近郊以外は、農業就業人口がほとんど0になる時代が来るだろう。 著者は、地方の農業の実情、農家の年齢構造など全く分かっていない。東京で机上の空論を弄ぶ馬鹿と言うしかない。この現状を鑑み、いかに農家の担い手(後継者)を何とか確保し、さらに新たに農家を育成するかが日本の課題だと思う。 この危機は、農業なんて効率の悪いものは、日本では盛んにするべきではないという、戦後日本の誤った考えが行き渡ったためだ。たとえ農地法が緩和し、大企業などが農業を行えるようになったとしても、多くの農地は見捨てられ、このままでは日本の農業はここ数年で大きく衰退するであろう。 日本は、今年は恐らく経常収支の赤字、財政収支の赤字という双子の赤字になろう。経済の縮小化は止められそうにない気がする。 日本は少子高齢化が急速に進んでいるが、世界は急速に人口増大している。 それだけで見ても、近い将来必ず食糧危機が訪れる。 経済力が衰えた日本は果たして十分に食糧を確保できるのであろうか。日本の農家がほとんど衰退して、とてつもない高額な農産物を買わされる姿が目に浮かぶが、それが現実にならなければいいと思う。 いつも凡兆な文章だが、今回はいつも以上に更に長い文章になってしまった。 この辺で最後とし、私の考えを再度述べて終わりたい。 著者も認めているが、このTPPでアメリカは明確に日本をターゲットとしている。参加してから途中退出できるかどうかわからないTPPへの交渉参加は慎重を要してほしい。 石橋を叩いて壊してもいい(慎重になりすぎて参加する機会を失っても、その方が安易な参加よりいい)とさえ思っている。 (この記事は、七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた本を参考に書いています) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2013-01-09 11:48
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<百字紹介文> 約960兆円という天文学的な累積債務を築き上げた日本。遅かれ早かれ最早、財政破綻かハイパーインフレが日本を襲う。その時、あなたはどう自分の資産を防衛するか?地方の人間にとっては大して役には立たないが。 <詳しい紹介文> この人の予想は、私も全くの同感である。 今の日本の状況では、遅かれ早かれ、財政破綻するか、ハイパーインフレを経験するしかないと思っている。私は、この秋から来年の春にかけての時期が、そのような状況に陥る確率が結構高い気がしている。 では何か個人的な防衛策が取れるかというと、こんな能登の田舎では、外資系金融機関は県庁所在地の金沢でもないし、街中には都銀でさえない。 介護が必要な年老いた両親を2人抱えて、他の地へ移動も困難だし、そんなお金も無い。海外資産への適切な投資など夢物語である。 畑作業でも続けながら、自給自足の生活でしのぐ程度しか防衛術はない。 それでも経済状況は、個人的にじっくりその動向を観測し、いざという時には何かしら行動しなければならないかなとも思っている。 私も10年以上前から、日本国債等公債の膨大に膨れ上がった累積債務を問題にし、その問題解消に取り組むべきだと訴えてきた(地元新聞などの投書欄にも書いた)。 私が最初に言いだしたのは、確か累積債務が400兆円の頃だった。それ2012年度で約960兆円、今年か来年にはおそらく1千兆円を越すであろう。 小泉政権が出てきたとき、歪んだ社会の構造改革を唱え、竹中平蔵氏がプライマリー・バランス(基礎的財政収支)の重視する政策を唱えた時、これでやっと日本も軌道修正ができると思ったが、その後がいけない。 阿部さん、福田さんは指導力が全然なかったし、見識も不十分だった。麻生さんの時に至ってはかなり当時の野党(民主党)に追い込まれていた。民主党政権は、政権を奪る前、プライマリー・バランスの考えさえ馬鹿にしていた。 政権をとって財政を何とか好転させないといけなくなり、やっとプライマリー・バランスを言い出したが、小手先というか言い訳程度の中身だった。 もともとポピュリズム極まれる政権だけに、マニュフェスト(公約)重視の選挙戦を展開するが、政権を取ってしまえば、非現実的な内容だっただけに、メインの政策はほとんど公約違反ともいえる状況に陥っている。 その後、しらじらしい言い訳にも羞恥心を覚えるでもなく、開き直っているのは皆さんもご承知の通りだ。そして次期選挙でより多くの一票をとるために、今だに大きな政府を続けようとポピュリズム的政策を唱えている(消費税アップに関しては、少しだけ褒めましょう!)。 著者は、財政破綻かハイパーインフレのどちらか、こういう危機に陥ったのは、円高ドル安が、「失われた20年」(バブル崩壊後20年GDPが全くと言っていいほど増えなかった、先進国で唯一といっていい停滞現象)の長期低迷をもたらしたとして、為替政策(円安への誘導)を唱えている。 私もこの辺までは、同意できる。 しかし後半は、かなりこの人と意見の違いが色々出てきた。 そもそも為替政策というが、この人自身は、何もその方途らしきものは述べていない。 財政破綻かハイパーインフレは、遅かれ早かれ最早逃れられぬ事として、資産防衛術を説いている。 自分で方策が1つもないのに、批判したところで無責任だ。 そもそもこの著者は市場主義であることを認めているが、私は市場は重要だと思うが、この人ほど信じていない。為替レートなど、市場の需給バランスなどで決まるなどとは、誰も信じていないと思う。 円高のせい(有効な為替政策)が取れなかったせいで、米国に楽して儲けさせてしまったという感じがする。 この著者は、米国モルガン銀行で、伝説のディーラーと言われた人物のようだが、サブプライム・ローンは、 「悪魔のような金融マンが、無知につけ込んで売りまくったのではない」と言い訳しているが、こんな事を信じられる訳が無い。ああいう金融派生商品を、AAAをつけてもらい売ること自体詐欺である。リーマン・ショックも、売りたい時に売れないリスクを持つ流動性の低い商品に入れ込んだ事が問題で、アメリカの金融資本主義は全然悪くはないような事を言っているが、よくもいけしゃあしゃあと言いやがるである。 この男も信じられない。 現状分析だけは参考にさせてもらい、後は、やはり日本人が、新たな経済システムを考え世界に提案していくしかないのだろう。 時価会計など透明性を増す事などある程度の市場の国際化は重要だが、グローバリズムを無批判的に受け入れるのは、やめにすべきだろう。 実物経済とあまりにも乖離した現在の市場では、現状のグローバリズムでは問題が多すぎる。 日本は、著者が言うように社会主義ともいえる手厚い社会保障があり、それは問題が多いかもしれない。が著者が「日本ほど格差がない社会はない」という皮相な見方による指摘は、所詮金融マンの娑婆知らずに過ぎぬ。 今の世は、ある一部の者に有利な制度(規制)がありすぎ、それを改革しようという政策に出ようとすると、(官僚を含めて)既得権益者がそれを(有利な立場から強力に)守るための動きに出る。やはり偏倚なく自由な競争が出来、努力・挑戦が報われる社会にすべきである。 (アドバンテージが偏向して付される現状の)格差社会をなくすという意味では、(普通のマスコミの説明とは全く逆だが)私は小泉政権後ストップしてしまった規制緩和を進める構造改革に今でも賛成だし、自由な競争社会も賛成である(小泉政権批判は、今だにかなり的外れのものが多いと思う)。実力で這い上がった人は尊敬すべきだと思う。 こういう考えこそが、もともとの構造改革の考えだったはずである。 よって私も著者同様、単なる結果平等主義社会は、社会を歪(いびつ)にすると考える。 そういう意味では、私も市場経済重視がやはりよく、結論的には著者とかなり似た意見にはなるのだが・・・・ ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2012-10-15 14:04
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<百字紹介文> 人口爆発、貧困問題、カースト制度等経済成長の支障となる要因が多々あるが、最近経済成長激しいインド。2025年には中間所得層が1億5千万から5億人に増加と予測。力強く躍進する当国の動向は絶対見逃せない! <詳しい紹介文> 表紙は見ての通り、弘兼憲史の装画がある。では中身はよくあるタイプのマンガで説明したものかというと、そうではない。 各項目見開きの2頁で説明し、所々に弘兼氏のマンガが使われているが、マンガは大きくても頁の半分弱のスペース。大体右側のページが文章での説明になっており、左側に図表などを用いている。 参考の目次の章のタイトルをあげよう。 序 章 インドはどんな国か 第1章 インド経済の歩み 第2章 インド経済の実力 第3章 インド経済の可能性とリスク 第4章 インド経済と世界 第5章 インドビジネスの成功のカギ 日本人は、インド人をすぐステレオタイプ的に見るという。 例えば男は頭にターバンを巻いており、宗教的にはヒンズー教徒が多く、カースト制度が社会を拘束している・・・・。 だがターバンを巻いているのはシーク教徒だけ。彼らが全人口に占める割合はたった1.9%。宗教的にヒンズー教徒が多いのは事実だが、イスラム教(13.4%)、キリスト教(2.3%)、仏教(0.8%)、ジャイナ教(0.4%)で、ヒンズー教徒以外の割合は低いものの結構色々な信仰されている国である。 そして日本人に意外なのは、インドで生まれたはずの仏教がわずか0.4%ということ。 またカースト制度がいまだに根付いているのは確かだが、インド政府は被差別カースト民(例えばシュードラ(隷属階級民)や不可触賤民(アンタッチャブル、ダリット))に対して、公務員や国立大学に一定の留保枠を設けて採用しており、カースト差別は日本人が考えている以上に薄れている。 民族的には、22の公用語を使い、典型的な多民族国家であることを示している。 以上にあげたような事は私も知っていたのだが、知らないことも多々あった。 私は何となく中国よりインド人の方が信用できるのではと考えていたが、インド人の国民性というものは実際に付き合ってみないと分からない面が多々あるようだ。 この本でわかったのは、中国人とは大分異なるということ。消費に対する考え方は非常に保守的なものがあり、結構財布の紐がきついようだ。相次ぐ災害や戦争が影響したようだ。 初代ネルー首相以来、社会主義的統制経済を長く続け、農民や貧困層への配慮を念頭に政治が続けてこられたので、都会への人口の流失も少なく農村人口が非常に多い。 中国のような経済の自由化、規制緩和による最短距離の経済成長を目指すことは今でもできない状況。 農民や貧困層への配慮が続けられたから、では農業は進んでいるかというと、灌漑などのインフラや農機具などの機械化はほとんど進んでいない。 労働法は過保護といえるくらいだという。州政府の許可なく勝手な解雇はできないなど労働者保護は手厚く、その上インド人はプライドが高いので、海外から進出した多くの企業が、ストなどで悩まされることが多い。 経済発展上での支障が多い国であったが、インド人民党(BJP)が政権をとってから以降(現在はまた国民懐疑派が政権をとっているが)は、インドは規制緩和や輸出進行、公的セクターの合理化で財政赤字改善に取り組み、IT産業やバイオテクノロジーなどへのテコ入れも積極的に行い経済が次第に活性化してきた。BJP敗北後も、国民会議派はその流れを引き継ぎ、現在もインドは成長路線を進行中である。 最近では、21世紀に世界経済の中心的役割を果たすであろうと言われるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と呼ばれる一国の中に挙げられ、世界中から成長性が注目されている国だ。 金融面でも、日本などのように国際化・自由化が進んでいなかったのが幸いして、あのリーマン・ショックに端を発した世界同時不況も、たった1年で回復したという。 以前は隣国、パキスタン、中国などと武力衝突・戦争も何度か行われたが、最近は、史上類をみないほどの全方位外交を行っている。中国・パキスタンなどとは、国境問題など懸案は棚上げし、実利外交を行っているようだ。 周囲の南アジア諸国との自由貿易圏(SAFTA)の交流他、東南アジア、ヨーロッパ、中東、アメリカ、中国、南米、韓国、日本などともFTAやEPAなどを結んだり、その交渉をはじめるなど最近は積極的な動きをみせているようだ。 潜在力はといえば、よく言われるようにインド人は理系的能力に長けているので、IT系に多数の人材を排出してきた。それに現在人口12億で、世界第2位。インフラの未整備や規制がまだまだ多いなどの種々の理由で、中国ほどの急激な伸びはないようだが、私にはその方がかえっていいような気さえする。 やはり注目すべき国だと思う。私は以前から中国を牽制する意味でも、インドやベトナムなどとの結びつきを深めるべきだと(ろくにインド事情も知らないで)周囲に語ってきたが、この本を読んでも概ね間違いではなかったように思う。 まだまだ説明したい特徴的な事や顕著な事が色々あるが、キリがないのでこの辺でやめる。 個人的には、今後ももっとインドの事を色々調べ、またここでも紹介していきたいと考えている。 インドに興味のある人には、お薦めの一冊です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2012-08-11 10:56
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