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シリーズ第14弾、最新号。 可愛いかったり、面白い妖が沢山出てくるファンタジー小説。 ライトノベルと言っていいかな。 江戸は日本橋通町の廻船問屋兼薬種問屋の大店・長崎屋の病弱な一人息子の若旦那・一太郎が主人公。 彼自身、妖と人間のクォーターである。 毎回大体、佐助と仁吉という二人の手代(実は二人とも妖)に護られて、妖の仲間の助けも借りて、人の世、妖の世の様々な事件を解決していくというような話である。 この第14弾は、タイトルに「なりたい」とあるように「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」という5つの話が出てくる。 作者は、今回は少し込み入った話にしようと考えたのだろうか、個人的にはその分、煩瑣で話がギクシャクし、チョットどうかなと思う点もあった。 こういう妖ワールド的ファンタジーは、いわば娯楽小説である。 何かテーマを掲げてそれに自ら縛るような固苦しい事をしたり、技巧にこるより、気楽な内容でいい。 多少ドタバタはしても筋にあまり関係ない事はスムーズに単純に描いていいのではないか。 まぁ各人好き好きだから、凝った作品を求める人もいると思うが、私はこのシリーズでは、そんな事は求めず、とにかく気楽に愉しめるのかいい。 色々述べたが、駄作という積りはない。さらなる愉快な妖ワールドの新展開を期待するあまりコメントが少しキツくなった。 ホント次回作も期待してます! 多分このシリーズが続く限り読み続けます。 (今回は、あらまし的な内容は殆ど書かなかった。紹介文と言えるような文ではありませんが、スミマセン!) ▲
by une_genzaburo
| 2016-01-20 13:01
| 読書
畠中恵さんの 大人気のしゃばけシリーズの1冊だ。第12巻である。 某民放で何話か、テレビドラマ化もされたりもしたので、ご存知の方も多かろう、ファンタジックな時代ライトノベルとでも言うべき楽しく読める作品だ。 お江戸一番の目抜き通り、日本橋通町に廻船問屋兼薬種問屋を構える長崎屋の若旦那・一太郎(主人公)と彼を取り巻く妖(あやかし)達とが毎度巷で繰り広げる珍騒動ドラマである。 妖といってもおどろおどろしい者どもではなく、可愛いらしい鳴家(やなり)らをはじめ、愉快な妖仲間だ。 一太郎自身、荼枳尼天に仕えた大妖の女狐(おぎん)の孫に当たり(人間との間に産まれた娘(母親おたつ)の子)、恐ろしいほど病弱な若旦那という設定だ。 その病弱さで周囲を心配させてきた若旦那もこの巻では、何と今までとても考えられなかった大坂迄の遠出の旅に出たり、年頃となったせいもあり、お見合い攻勢に遭い、その成り行きで許嫁(いいなづけ)を決めてしまう。 お相手は、このシリーズをここまで読んできた人にはお馴染みの登場人物だが、ここで言うのはこれから読もうという人の楽しみを半減してしまいかねぬからやめておく。 また話の順は逆になるが、巻頭の話で、一太郎の一番の親友で、お菓子屋・三春屋の跡取り息子栄吉(恐ろしい位にまずい菓子しか作れず只今他店で修行中という設定)も、一太郎同様にお見合い騒動でお相手を決めてしまう。 とにかく楽しい娯楽小説だ。 今回は疲れているので、かなり簡単な紹介だが、これ位でやめておこうと思う。 悪しからず。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2014-11-11 02:47
| 読書
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by une_genzaburo
| 2013-12-07 11:00
| 読書
<百字紹介文> 妖怪達が沢山登場する大人気の「しゃばけシリーズ」第11弾である。今回は「お願いです、助けて下さい」という一枚の謎の木札が一太郎の離れに紛れ込んで以来、同様の相談事が何度か舞い込み、事件が展開していく。 <詳しい紹介文> 「しゃばけシリーズ」の最新刊になる第11弾。図書館でたまたま見つけたので、借りてきて読んでみた。既刊は全て読んでいる。 今回は、冒頭、一太郎が暮らす長崎屋の離れに無記名の『お願いです、助けて下さい』という木札が紛れ込むところから話は始まる。救うだけでなく、何と5月10日までに助けて欲しいというのだ。 その木札は、櫓炬燵(やぐらこたつ)を作りに来た、指物師の荷に紛れもたらされたもので、特に長崎屋宛に届けられたものではなかった。 期限までにはあと数ヶ月あるが、それ以来、助けて欲しいという相談事の依頼が何度か舞い込んできた。一太郎は気になり、出来るだけ対応していこうと動き出すが、それが今巻の全体の展開に繋がっていく。 第1話の「ろくでなしの船箪笥」では、唐物屋を営む「小乃屋」の七之助・冬吉兄弟(一太郎と以前の事件で付き合いが出来た)が、一太郎のもとを訪れ助けてくれという。 上方の本家(乃勢屋)の祖父が亡くなる前、子や孫らの前で1つの船箪笥を示し、中の抽斗(ひきだし)も開いて見せながら、これを七之助兄弟らに形見として残すとして遺言していた。 その後まもなく祖父が亡くなった。七之助らの叔父が当主を務める乃勢屋では、それを「小乃屋」に渡す前に、中身を確認してから渡すと言い出した(乃勢屋と小勢屋は親戚だが、商売の仕方で意見が合わず仲が悪かった)。 しかしどうやっても開かない。仕方ないから親戚の「叶屋」の江戸店に送り、そこで番頭の前で開けることが出来、中身を確認出来たら渡すという話になった。しかし江戸に送られてきても、やはり七之助らは開けることはできなかった。 一太郎が妖(あやかし)と関わりがある事を知る七之助兄弟は、開かぬ原因は付喪神が絡んでの事ではないかと考え、一太郎を訪ねて来た訳だ。話を聞いた一太郎は、七之助兄弟に従い、仁吉・佐助とともに叶屋へ出向くが、やはりなかなか開けられない。しかしそれを検べている時、不思議な影を見る・・・・。 第2話「ばくのふだ」 タイトルの中の「ばく」とはあの悪夢を食うという架空の動物・獏のことだ。この頃、江戸では不思議な事が巷で色々起きた。例えば一太郎が餅を焼いていたら、膨れた餅が、「熱い、・・・・」と喋ったり、一太郎の母おたえが悪夢で見て叫んだり、まるで悪夢をみているような事が、あちこちで起きていた。 しかしある事件が契機でわかったのだが、それは本来悪夢を食うはずの、獏が悪夢を食わなくなったからであった。獏は、悪夢を食べているうちにその内容を話すのが好きになり、本島亭場久という落語家になっていた。 落語家になってからも悪夢は食っていたが、ある時、落語の話に身に覚えがあるらしい侍に襲われ、無事逃げることはできたが、以後姿を隠し、悪夢を食うことをやめたのであった・・・・・。 第3話「ひなこまち」 表題作である。浅草の人形問屋平賀屋が、美しい娘を一人「雛小町」に選び、その表を手本にして立派な人形を作ることになった。その雛人形を注文したのは某大名家だとかで、その人形を納めに行く際には手本にした娘も同道し、雛小町としてお殿様にご挨拶できるのだという。 人々は、ひょっとして上手くいけば、殿のお目に留まり、側室となったりして、出世の緒(いとぐち)になるかも・・・と大評判になる。親や娘らは、私こそ(娘こそ)雛小町にと、着飾るために古着屋が大流行りした。 そのブームに目を付けた悪党がいた。そして古着が盗まれる事件も多発した。そんなある日、長崎屋の離れを見つめる人影があった。逃げる相手をおってみると古着屋の娘であった・・・・。 第4話「さくらがり」 ある春の日に、一太郎は、仁吉・佐吉らの他、妖を連れ、上野広徳寺に泊まり込みの花見に出かけた。そこで一太郎は、関東の河童を率いる大親分・禰々子(ねねこ)と出会う。彼女は、第1話で世話になった河童のお礼を渡すために現れたのだ。 お礼に持ってきたのは、5種類の河童の秘薬であった。彼女はその効能を説明しながら一太郎に渡したのだがが、その話を、安居(あんご)という侍が陰で聞き耳しており、突然現れ、その薬を是非とも欲しいと言い出した。・・・・ 第5話「河童の秘薬」 ある日、安居の妻で雪柳と名乗る女性が、いきなり一太郎の離れを訪れた。彼女は、一太郎から譲り受けた5種類の薬のうちの黄色い薬を飲んだという。 この黄色い薬は、平安の昔、狐の嫁が幸せになる為飲んだ薬だが、どんな薬効があるかわからず、飲むなら人生を賭けるしかないという代物。それを雪柳は、飲んだと言うが、今のところ全然何の変わった兆候もみられないというのだ。 ところで彼女は離れを訪れる際、一人の幼子を連れていた。しかし聞いてみると、彼女の連れではなく、彼女も長崎家のゆかりの者と思っていたらしい。となると迷い子という話になり、届け出て預ける為に一太郎らは外出する。 が自身番や町役人の家へ連れて回るうちにその子が消えてしまった。人さらいにあったのではと探すことになるが、途中、本島亭場久に出会い、自分らが夢の中の世界に迷い込んだことを知る。 今回は、屏風のぞきが格好つけの為であるが、仁吉などと睨み合ったりして、結構男っぽい。一時は川に落ちて濡れてしまい(元が紙で出来た付喪神だけに)死にそうになったりもする。 また巻末の方では、女河童ながら関東の河童の大親分である禰々子と、妖である仁吉や佐助と大喧嘩になり、もの凄いパワーを見せたりもする。 他にも見所は色々あるが、あまり書きすぎるとネタバレで興味半減となりかねないので、この辺でやめておく。 しゃばけファン・畠山恵ファンには必読、愉快な時代小説が好きな読者にも強くお薦めしたい一冊です。 ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2012-09-08 14:06
| 読書
<百字紹介文> 人気のしゃばけシリーズ第10弾である。このシリーズが始まってからこの巻で10周年になるそうだ。毎度お馴染み愉快な妖の面々の他、疫神等様々な神様、生霊、死霊、雷の子(?)、逢間が時の魔たちなど登場する。 <詳しい紹介文> 人気のしゃばけシリーズ第10弾(番外編『みぃつけた』も入れれば11番目)である。 このシリーズは既刊全て読んでいる。 今回は「こいしくて」、「やなりいなり」、「からかみなり」、「長崎屋のたまご」、「あましょう」の五話を収録。 各話前段の粗筋をまず書く。 第1話「こいしくて」 日本橋通町界隈では、最近どういう訳か恋煩(こいわずら)いにかかる者たちが増えてきた。 また主人公一太郎が寝ている廻船問屋兼薬種問屋の長崎屋の離れには、どういう訳か疫神、禍津日神(まがつひのかみ)、疱瘡神、時花神(はやりかみ)など招かざる客というか、病弱の一太郎の招きたくない客まで訪れる有様。 町の様子もおかしい。一太郎は、何か原因があるに違いないと町に出てみると、人間の目には見えないが、大黒様などの神々や妖(あやかし)達が沢山往来を闊歩していた。・・・・ 第2話「やなりいなり」 一太郎と仲間の妖たちが、彼が寝ている離れの建屋で、守狐達が作った鳴家稲荷を食べていると、すーっとどこからか手が伸びて来て、その稲荷寿司をとろうとした。が幽霊なのか稲荷を掴めず、すり抜けてしまう。妖らが捕えようとしても同様だ。一太郎が広徳寺の寛朝からもらった護札を貼り付けると、手のみならず姿を現し、掴むことが出来た。 一太郎は幽霊にどこの誰かを聞くが、全然以前のことを覚えていないと言う。色々話しているうちに、寄席芸人ではないかと思える素振りがみられる。ただしあまり上手くない噺家のようだ。 一太郎は、最近寄席芸人が亡くなっていないか妖らを使って、聞きに周らせるが、それらしき人は見つからず・・・・。 第3話「からかみなり」 長崎屋の主人・藤兵衛が、商用からの途次、連れていた小僧と別れてから、連絡もなく3日経っても帰って来なかった。こういう事は過去に例が無い。 心配になった一太郎は、外に出かけて探しに行こうとするが、佐助や仁吉の兄らが許さない。仕方なく妖らも含めた皆で事情を色々推理するが、どれもこれも違うようだ。 失踪した前後に何か特に変わった事がなかったかと思いだしてみると、確か空雷がよくなっていた。最近一太郎が寝ている離れにも、部屋内ではじけるような小雷があった。一太郎は何かその辺りに原因がありそうだと、推理する・・・・。 第4話「長崎屋のたまご」 ある日の夕暮間近一太郎は、茜空を眺めていた。すると茜雲の端がくるっと丸くなったかと思うと、丸い雲は大きな塊から離れて、すいと空を駈けて長崎屋に落ちてきた。 その塊は明るい青色をしており、まん丸い。鳴家(やなり)などの妖が、何だろうと興味深げに近づき触ろうとすると、その丸い玉は突然跳ね上がり、西へ西へと飛んでいく。鳴家たちが慌てて追いかけるがなかなか追いつかない。 そんな時、逢間が時に生まれた百人いるという魔の一人・百魅という妖が、長崎屋にやってきて、先刻ここに玉が落ちてきたはずだが・・・と一太郎に問うてきた。・・・・ 第5話「あましょう」 ある日、一太郎は幼馴染の栄吉と久しぶりに語ろうと思い、彼が修行している菓子店・安野屋に仁吉・佐助を連れて訪れてみた。 しかし店は先客の対応で大わらわ。見ると店先で二人連れの客同士が何か言い争っている。 安野屋のお得意の浜村屋の新六という若旦那が、房州から久しぶり帰って来た五一という幼馴染を祝うために菓子を買っていた。五一の前で食べきれないほど買う新六に、五一が口を挟み、それがもとで過去の経緯もあるのだろう、言い争いになっていた。 その上買い上げの菓子が沢山あるので、栄吉が菓子を運ぶことになり、一太郎は仕方なく栄吉の後に付き従いながら道々話すことにした。・・・・ 最後はちょっと切ないオチ。時に親友であればあるほどお互い友を思いやり真実を言わない事もあるもの。そんな友情に関わる悲話ともいうべき話。 さて今巻の感想を少し述べる。 明るい話が多いこのシリーズだが、今回の最終話のように時にしみじみとした話になることもある。今巻もそういう意味では、佳品といえるだろう。 ただ率直に批評するなら、今回はいつもより少し面白みが欠けたような気がした。また、最終話他の数話で、ちょっとよく状況を把握しないと分かり難い話もあったように思う。私だけの感想だろうか。 勿論、このシリーズは今後も続けて読んでいくつもりだ。 次巻を期待したい。 ![]() ![]() ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2011-12-18 13:52
| 読書
しゃばけシリーズ第・・…何弾?…9巻かな?『見ぃつけた』も入れると10巻目になるようだ。私は既刊も全て読了済。 このシリーズのタイトルは、いつも風変わりな日本語だが、今回の「ゆんでめて」の「ゆんで」とは弓手(ゆんで)のことで左手(の方向)の意味、「めて」とは馬手(めて)のことで右手(の方向)の意味とか。 巻数も進んだことだし、久しぶりに、キャラクター紹介も少ししておく。 主人公は、日本橋通り町に廻船問屋兼薬種問屋長崎屋の若旦那・一太郎。母親のおたえは、齢三千年の大妖の狐・おぎんの娘。父親藤兵衛はそんなおたえに惚れられて長崎屋に婿に入った。 番頭の仁吉(にきち)と佐助も、(大妖・おぎんの要請で)お稲荷さんから病弱な一太郎を見守るために遣わされた者でそれぞれ、犬神と白沢(はくたく)という妖(あやかし)であった。 一太郎が寝起きする(というか病弱なのでほとんど寝て過ごす)長崎屋の離れには、鳴家(やなり)、野寺坊、獺(かわうそ)、鈴彦姫、屏風のぞきなど色々な(全然怖くない可愛いかったり、どこか人間とはズレタ感じの)妖達が、一太郎が恵んでくれる菓子などを目当てに出入りしたり、住み着いたりしていた。 他にも勿論、常連のキャラクターは色々いるがとりあえず今はこの辺でやめておく。 当巻の話が展開する時間的スパンは、4年間と結構広い。そして当巻では屏風のぞきが行方不明となる。以前、長崎屋は一度大火にあったが、また通り町で火事があり、長崎屋は再度危機に陥ったが何とか類焼は免れた。ただ、火が近くまで迫ったので、一太郎が寝起きしていた離れが、火消したちによって壊されてしまったのだ。 大金持ちの長崎屋のこと、すぐ建て直したが、火消しに引き倒される際、離れの中にいた鳴家や屏風のぞきは、倒された家の下敷きになった。生憎その際、一太郎は外出していていなかった。 話すのが遅れたが、一太郎には、兄がいた。父藤兵衛がおたえでなく外の女子に生ませた妾腹の子で、松之助という。松之助は、素性が知れた当初、長崎屋で引き取り、身内の者として働いていたが、結婚して分家し、日本橋に青玉屋という小間物屋を開いていた。 一太郎が、火事の際外出していたのは、兄松之助に松太郎という子供が出来て、その子の誕生祝いのためだった。 帰ってきて離れの惨状をみた一太郎は、鳴家(やなり)や屏風のぞきを掘り起こして助け、薬などを塗って看護した。 鳴家たちは、元気になったが、屏風のぞきだけは具合が優れず次第に弱っていく。表具師職人に直してもらおうと何度か依頼するが、上手くいかない。 やっとの事で以前知り合った七之助の紹介で腕のいい老職人を教えてもらい、そこに屏風のぞきの屏風を出すが、突然その老職人が亡くなってしまう。一太郎は、それに気付かずしばらく経つうちに、屏風のぞきがその職人の家から消えてしまったのだ。 もしかして屏風の体を成さない汚れた状態だったので壊されたかも。一太郎は屏風のぞきが消えたのは自分のせいだと気にし、後悔する。 実は離れが火事騒動に巻き込まれ、火消しに壊された日、一太郎はある三叉路で、松之助の家がある「ゆんで」へ進むべきところ、途中、生目神に雰囲気の似たどこかで見たような人ならぬお方を見つけ、その人の後を追って「めて」へ進んでしまった。 当初の予定通り「ゆんで」へ進んでおけば、祝い事の用事を終えて・…と後悔したのだった。 ただこの巻はちょっと、変わった設定で話が進む。幾つかの話が時系列的に進むのではなく、新たな話になる度に、反時系列的にかつ段階的に時間が遡る。 一太郎が、かなめという上方の娘に恋心を抱いたり、狸と狐、鼬(いたち)が桜の下で化け合戦をしたり、おねという怪力の娘が登場したり、まあ色々楽しい話が出てくるのだが、その話の中で時々、一太郎は不思議な感覚に襲われる。 この感覚は以前どこかで・…という感覚。この小説は時代小説だから外来語や英語はあまり使わないが、デジャヴ(既視感)とでもいうような体験だ。 話がどんどん遡り、そして最終章の話で・・…。 次巻以降では、屏風のぞきはどうなるのかな? また、かなめとの恋の行方は?・… しゃばけファン必読の一冊です。 (この記事は、七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた本を参考に書いています) ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2010-11-20 01:05
| 読書
『しゃばけ』以来、このシリーズは大好きですべて読んでいる。『ゲゲゲの鬼太郎』とはまた一味違った親しみ深い妖怪たちがくりひろげる世界は、とてもファンタスティックで楽しい。読んでいない人には、ぜひとも薦めたいシリーズである。この本は、そのなシリーズの中の特殊な一冊で、内容は1時間もあれば十分に読める内容。番外編ともいえる作品です。柴田ゆうさんのかわいい絵がたくさん盛り込まれた絵本のような本である。 (この本は2007年6月に作成したものを再録したもにです) 【参 考 1】 Amazon.co.jpのこの本の紹介文を参考に下に転記する 「ひとりぼっちで寂しく寝込む幼い一太郎が見つけた「お友だち」は、古いお家に住み着いている小さな小さな小鬼たち。ちゃんと仲良くなれるかな。しゃばけシリーズ番外編。 」(Amazon.co.jp/「BOOK」データベースより) 「ひとりぼっちで寂しく寝込む幼い一太郎が見つけた「お友だち」は、古いお家に住み着いている小さな小さな小鬼たち。ちゃんと仲良くなれるかな? 「しゃばけ」シリーズから飛び出した、ビジュアル・ストーリーブック。 」(Amazon.co.jp/「MARC」データベースより) 【参 考 2】 畠中恵の作品で、このブログに取り上げた記事を下に列挙します 『みぃつけた』(畠中恵著・柴田ゆう/絵・新潮社) [2010-02-22 08:04 by une_genzaburo] 『ころころろ』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2009-12-07 21:14 by une_genzaburo] 『こいしり』(畠中恵著・文藝春秋)を読了した [2009-06-06 08:41 by une_genzaburo] 『いっちばん』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2009-01-01 11:47 by une_genzaburo] 『つくもがみ貸します』(畠中恵著・角川書店)を読了した [2008-08-18 18:28 by une_genzaburo] 『まんまこと』(畠中恵著・文芸春秋)を読了した [2007-07-21 11:34 by une_genzaburo] 『ちんぷんかん』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2007-07-13 11:03 by une_genzaburo] 『うそうそ』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2006-06-17 14:49 by une_genzaburo] 『ゆめつげ』(畠中恵著・角川書店)を読了した [2006-04-03 20:29 by une_genzaburo] 『おまけのこ』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2006-03-18 21:16 by une_genzaburo] 『ねこのばば』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2006-03-17 23:07 by une_genzaburo] 『ぬしさまへ』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2006-03-13 14:01 by une_genzaburo] 『しゃばけ』(畠中恵著・新潮社)を読了した [2006-03-12 14:33 by une_genzaburo] ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2010-02-22 08:04
| 読書
しゃばけシリーズ第8弾、最新作である。当シリーズの既刊は、確か全てこのブログで紹介している。また、しゃばけシリーズ以外の畠中さんの作品も、『アイスクリンつよし』以外はほとんど紹介している。よろしかったら右側のメニューにある当ブログ内の検索機能(または当記事の最下位のタグ)を利用して、確かめてみてはいかが。 今回は、第1話「はじめての」、第2話「ほねぬすびと」、第3話「ころころろ」、第4話「けじあり」、第5話「物語のつづき」の5話からなる。 キャラクター説明は、以前何度かしているので、ここでは詳しく書かない。 粗筋を書く。 第1話「はじめての」 主人公の廻船問屋兼薬種問屋長崎屋の跡取り息子・一太郎が12歳の時の話である。 ある日、一太郎と馴染みの岡っ引・日限(ひぎり)の親分が、お沙衣(さい)さんという一太郎より3つ年上の女性を、彼が寝ていた離れの部屋に連れてきた。 彼女の母親・おたつは、目の具合が悪く、古田昌玄という目医者に掛っているが、なかなか直らない。そんな時、その医者のある妙な噂が聞こえてきたという。噂の内容はこうである。 その医者は、目を患うのは生目八幡宮の主神・品陀和気命(ほんだわけのみこと)のご機嫌を害したからだと言う。先年、出世稲荷の側にあった生目社がやけてしまった。自分は生目社を元の場所に建て直したい。 再建するには、品陀和気命だけでなく土地の産土神にも礼を尽くす必用がある。 そのため品陀和気命と産土神を同じ場所に祀る必要があり、並みの地鎮祭では駄目で、鎮壇具というものを地に埋める必要がある。それは金、銀、真珠、水晶、琥珀、瑠璃、瑪瑙の七宝。昌玄は目を病む患者達にその七宝の奉納を求めているという。 ところで、お沙衣は、非常に器量よしで、お沙衣には幾つもの縁談が舞い込んでいた。おたつはそんな娘と添いたい者は、件(くだん)の七宝を結納の品に加えるようにとの条件を仲人に申しているという。 お沙衣は、そんな金で計るやり方は納得がいかないと言い、七宝は自分で集めると言い出した。彼女の長屋を縄張りとする日限の親分は、それは無茶だと何度も説得したが、聞き入れられないので、知恵のある一太郎に相談するため、お沙衣を連れてきたという・・… 第2話「ほめぬすびと」 第1話から数年経ち前髪もとれた一太郎は、ある日、起きると、目から光が奪われていた(目が見えなくなっていた)。大金持ちで彼にはとりわけ甘い両親のもと、超虚弱体質のため年中寝かし付けられている彼だけに、長崎屋は大騒ぎになる。 医者にも来てもらい診てもらうが、目を患った訳でもないらしい。手代の仁吉と佐助は、その原因を調べようとあちこちまわっていた。そんな時、5万石の西国大名・久居藩から、幕閣に贈る一夜干しの干物の運送してほしいという依頼が舞い込んだ。その運送は、これまでに二度試みたが、時間がかかり腐ってしまい失敗したという。主人・藤兵衛は、危険なものを感じたが、使いの武士に土下座され引き受けてしまう・…。 第2話以降は、最終話まで、光を失った一太郎の目を何とか元の見える目に戻そうと、彼の周囲の者たちが、あちこち駆け回ることになる。第2話の終わりの方で、一太郎の目が見えなくなった原因には、どうやら生目神が関わっているらしいことがわかる。 第3話では仁吉が、第4話では佐助が、時には危険を賭して、一太郎の為に働く。 そして第5話では、まだるっこしい捜索はやめ、生目神そのものを、神用捕り罠で捕まえて、一太郎の目に光を戻してくれるよう交渉するという話。意外な交渉条件が持ち出され、一太郎&妖達と生目神が対決することになる。 今回は、長崎屋の面々やそこに棲む妖以外は、今までよく登場したキャラクターは、ほとんど登場しなかった。例外は、上野広徳寺の住職・寛朝(かんちょう:妖が見える)と、幼馴染の菓子職人・栄吉(ただしほんのちょっと登場)だけではなかろうか。 新たに登場したキャラクターでは、五徳猫、河童、ろくろっ首、骨傘、妖が見える万太、飾り職人の熊吉、お沙衣さん、生目神(品陀和気命)等々がいる。今回限りのもいるかもしれないが、私の予想では、今後もこの中の数名は又登場してくるのではなかろうか。 妖を取扱った本だが、京極夏彦氏など他の妖を扱った本とは全く違った、毎回、愛嬌たっぷりの妖が活躍し、ファンタスティックで、愉快で、人情味溢れる時代小説となっています。 しゃばけファンOR畠中恵ファン必読の本です。 (この記事は七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた本を参考に書いています) ![]() ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2009-12-07 21:14
| 読書
シリーズ第7弾である。勿論既刊は全て読んでいる。近年テレビ(で2度ほど、実写版が公開されたせいであろうか、最近人気が高いようである。インターネットで昨年の8月に私が住む七尾市内の4つの図書館で置いているのを確認し、これならば予約せずともそのうちに借りられると安易に考えたが、実際には年末まで借りることができなかった。 インターネットで貸出状況を調べ、貸出可能を確認してから出向いても、図書館へ来てみると既に貸出し中で、借りられないという事が数度あった(同様な状況は宮部みゆきの『おそろし』でも見られる)。 それだけに今回の第7弾の期待は大きかった。 読んだ後の私の率直な評価は、今までの7冊のうちで中程度の出来かな、といった感じだ。 今回収められた話は、全部で5話。第1話は表題作の「いっちばん」、第2話「いっぷく」、第3話「天狗の使い魔」、第4話「餡子は甘いか」、第5話「ひなのちよがみ」である。 私としては、第4話が一番良かったと思う。いきなり第4話から始めるのもおかしいから、簡単にだが、順々に追って紹介しよう。 (キャスター紹介は今まで何度かしてきた。重複を避け、今回は特には書かない) 第1話「いっちばん」 ある日、廻船問屋兼薬種問屋の長崎屋の若旦那・一太郎のもとに通町界隈を縄張りとする岡っ引・日限(ひぎ)りの親分が来て雑談。ここの所、通町界隈で掏摸(すり)が横行、大店の主人たちが困っているという。 日限の親分は、犯人の目星をつけているが、相手は老舗の(刃物を扱う)打物屋の次男坊。相手も繁盛している家だけに、よく出入りしている岡っ引や町方の同心がいて、確固とした証拠が無ければしょっ引いて調べる訳にもいかない。下手に動けば、岡っ引稼業も返上せねばならない。つまりいつものように一太郎に名案が浮かべてもらおうと来た訳だが・… 今までこのシリーズに出て来た常連の妖が、この第1話からオールキャストで登場。 第2話「いっぷく」 長崎屋で一太郎の面倒を見る手代の仁吉と佐助が、この頃変だ。一太郎が虚弱体質とはいえ、日頃からその心配の仕方が行き過ぎと思える程なのに、最近はさらに輪をかけるように過剰な行動に出る。聞いてみると、どうやら鳴家(やなり)など妖の事をかなり知っている者が、妖を探しているとの噂があり、まさかの時のために用心しているのだという。 そんな折、近江から江戸に出て来て店を出した2軒の唐物屋、西岡屋と小乃屋が連れ立って長崎屋に挨拶に来た。そして挨拶に来た小乃屋がいきなり挑戦状ともとれる提案をした。3店それぞれのお得意さんを呼んで公開の品比べをしないかというのだ。当主の藤兵衛はそれに受けて立つ。… 第3話「天狗の使い魔」 一太郎がある夜、信濃の山神様に仕える大天狗に攫われた。大天狗は、以前親しかった山伏がその地の守り神の御山様から授かっていた管狐(くだきつね)とも親しかった。山伏が亡くなった後、淋しくなった大天狗は、管狐を酒友達として自分がもらい受けたく思い、狐らに聞いたが無理だという。一度主人に仕えた管狐は、主人亡き後はもう次の主人に仕えることはなく、王子稲荷の狐たちの所へ行くのだという。 大天狗は、一太郎の祖母にあたるダキニ天に口添えをしてもらう為、彼女を訪ねるが、そこでも配下ではないので駄目だと素気無く断わられる。諦めきれない大天狗は、彼女の孫にあたる一太郎を人質として攫い何とか目的を達しようと目論むが… 第4話「餡子は甘いか」 一太郎の幼馴染の栄吉は、一時は実家の菓子屋を手伝っていたが、彼が作るその余りにも不味い饅頭の評判もあり、今は老舗の菓子屋・安野屋で修行していた。しかしなかなか菓子作りをさせてもらえず雑用ばかり。ある日、彼は倉内にいた砂糖泥棒を見つけ捕まえる。八助という名であったが、その菓子の材料など言い当てる舌覚が幸いして、番屋には突き出されず、栄吉が面倒を見る弟弟子として働くことになる。そのうち八助は器用に才能を発揮し、栄吉を追い抜く。栄吉は落ち込み菓子作りを辞めようと決心する・・… 私はこの作品で、このシリーズ一番(第1弾からこの第7弾まで全部含めて)の気に入った言葉を見出した。 安野屋で起きたある事件の後、一太郎は栄吉の気持ちを確認しに安野屋へ出向く。栄吉は一旦自分の才能に落胆し菓子職人を辞めようと考えたが、今は考え直したことを語る。そんな話を離れた所から聞いていた主人の虎三郎は栄吉に次のように言う。 「なんだい、栄吉は、辞めたいと思っていたのか。栄吉、お客さんは美味いと思って気に入った菓子を、贔屓にしてくれるんだ。職人が何年目でその菓子を作れるようになったかなんて、誰も気にしちゃいねえよ。何事につけ、やり続けることが出来ると言うのも、確かに才能の1つに違いないんだ。お前さんには、その才がある。」 人並み以上の努力をするが、なかなか目の出ないような職人には、涙の出るような最高の励ましの言葉ではなかろうか。自ら菓子作りに精を出すだけに、職人の心の分かったいい主人である。 第5話「ひなのちよがみ」 以前、漆喰壁のように白粉(おしろい)を塗りたくっていた紅白粉問屋一色屋のお雛が、ある日薄化粧で長崎屋に一太郎を訪ねた。可愛い娘なので、普段と遠出は殆どしない一太郎とはどんな関係だと店の者が皆訝しがる。しかし一太郎と彼の母はすぐ、気付いた。彼女が訪れたのは、商売上の頼み事の為だった。大火の類焼で焼けた店はなかなか建て直すことができず、厚化粧から薄化粧に変えたのも、その影響だという。・・… お薦めの一冊です。 (参考追記) 源さんの本の紹介(畠中恵関係)の頁リンク ●『つくもがみ貸します』 ●『しゃばけ』(しゃばけシリーズ第1弾) ●『ぬしさまえ』(しゃばけシリーズ第2弾) ●『ねこのばば』(しゃばけシリーズ第3弾) ●『おまけのこ』(しゃばけシリーズ第4弾) ●『ゆめつげ』 ●『うそうそ』(しゃばけシリーズ第5弾) ●『ちんぷんかんぷん』(しゃばけシリーズ第6弾) ●『まんまこと』 ●『みぃつけた』(しゃばけシリーズ) (この記事は、七尾市立本府中図書館から借りてきた本を参考に書いています) ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ![]() ▲
by une_genzaburo
| 2009-01-01 11:47
| 読書
![]() 畠中 恵 / / 新潮社 ISBN : 4104507075 スコア選択: ※※※※ この本は、しゃばけシリーズの第6弾である。シリーズの既刊は全て読んでいる。 今回は、巻頭の作品「鬼と子鬼」でいきなり、主人公の一太郎の家の周辺が、大火事に見舞われる。勿論、廻船問屋兼薬種問屋の長崎屋も焼けてしまうのだが、その避難の際、一太郎は火事の煙を吸って倒れてしまう。そして気が付くと三途の河原にいた。どういう訳か、妖(あやかし)である鳴家(やなり)や、印籠が百年の時を経て付喪神(つくもしん)となった妖のお獅子まで連れてきてしまう。一太郎は、三途の河原に来るのはもうこれで2度目であり、何度も何度も死にそうな大病をしているので、三途の河原を渡ってもいいが、妖は現世へ還してやりたいと考える。 同じく三途の河原にやって来た冬吉という少年とともに、一太郎は、河原の横に広がるを闇を突きぬけ、脱出口を見つけて逃げるが、鬼供が追ってくる。伊邪那岐、伊邪那美の故事を思い出し、持っている物を後ろに投げつけ何とか虎口を脱しようとする一太郎、最後に思いもかけぬ物が彼らを救う。・・・・・ちょっと詳しく書きすぎたかな? 第2話、本のタイトルと同じ「ちんぷんかん」は、前にも何度か出てきた妖退治で有名な寛朝さんのいる広徳寺が舞台。その寛朝さんの弟子である秋秀さんが、修行の一環として、はじめてお客の相談に乗り、とんでもない目に遭うという話。 第3話の「男ぶり」は、一太郎の母おたえの恋物語。おたえは、一太郎の祖父伊三郎が、齢三千年の皮衣(かわころも)という大妖に惚れて恋におち、出来た一人娘であった。つまり妖と人間の間に生まれた子で、一太郎より妖に血は濃い。そのおたえは、一太郎の父親となる藤兵衛(当時は長崎屋の手代)と一緒になる前、別の店の次男坊・辰二郎という男も一度好きになったことがあった。母親おたえが現在の父・藤兵衛と結ばれるまでの恋物語を、風邪で伏せる一太郎に語って聞かせる一話である。 第4話は「今昔」。江戸の大火の後、時々巷で妖騒ぎがあった。長崎屋でも、兄・松の助の縁談先が、米屋の大店・玉乃屋の次女・お咲と決まり、なりかけた頃、陰陽師が操るとみられる式神が一太郎の寝ている離れに現れて、鳴家や一太郎の口を塞いだ。式神の後を追ったりして、どうやら縁談先の玉乃屋に雇われた陰陽師が操っているらしいとわかる。さらに奇妙な事には、そこの長女で体が弱い・おくらが、その妖怪に襲われたらしい。陰陽師の狙いは、いったい狙いは?・・・ 第5話は「はるがいくよ」。ある日、一太郎が妖たちと離れの部屋で、兄の縁談のお祝いの贈り物の話で盛り上がっていたところ、見かけぬ籠が部屋の隅に。気になって籠の布をめくると、中には何と女の赤ちゃんが。しかしこの赤ちゃん、不思議な事に短い時間でどんどん成長する。どうやら妖のようだ。そして赤子の素性を探るうちに、桜の花びらの妖だとわかる。桜がほころぶ頃に現れ、散る頃に消えてしまうらしい。一太郎は彼女を小紅と名付けるが、そんな儚(はかな)い小紅を愛しみ、何とか長く生きさせることはできないかと、手を尽くすが・・・・・ もののあわれを描いた作品だが、しゃばけシリーズのキャラクターたちの明るい性格が、この話を哀歓が漂い過ぎぬよう、さらっとサポートし、とっても素敵な一品に仕上がった、巻末にふさわしい好品となっています。 とにかく今回収められた5つのどの話も、とっても面白いです。一度ハマったら、抜け出られそうにない妖ファンタジー。あなたもいかがですか? ▲
by une_genzaburo
| 2007-07-13 11:03
| 読書
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