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この本の副題は、「傑出のアイデアマン・元東京市長・後藤新平」である。
(左の写真は、集英社の本ではなく、毎日新聞社から発刊されているもの) ![]() 上巻の粗筋を軽く書いておく。 後藤新平は、幕末の蘭学者・高野長英の甥にあたる。そのため謀反人の子と呼ばれていた新平が、胆沢県大参事・安場保和に見出され、その支援のもと成長し、優秀な医者となる。長与専斎、石黒忠悳(ただのり)、長谷川泰、司馬凌海、北里柴三郎などの知遇も得て、出世し、愛知県病院の院長となる。そこで、暴漢に襲われた板垣退助の治療にもあたったりした。その後内務省衛生局に移り、長与が退いた後、局長となる。 そこで、北里柴三郎のために研究所の設立に精力的に助力したりする。そして私費で念願のドイツ留学を果たす。帰国後は、帰国前から関わっていた相馬事件で、さらに深みにはまり、留置所に入れられることになる。裁判では無罪となるが、官職から離れてしまい、落魄する。・・・・ 以前後藤新平に関する小説としては、郷仙太郎氏の「小説後藤新平」を読んだが、あの本では恩人の安場保和のことはそれほど書かれていなかったが、この本では読んでいて、彼の一番の恩人ということがよくわかる。安場氏は後に彼の妻の父・義父となるが、この本でどういう人物かやっとよく見えた感じである。 この本の特徴としては、この上巻では、相馬事件が、半分くらいの頁数を使っているということだ。郷氏の本では、さらっと触れた程度であった。相馬事件について書かれた部分を読んでいる間は、この本は一体誰について書かれた本なのか、疑問に思うほどで、ほとんど後藤新平が出てこない。著者自身も言うように、脇役程度に出てくる。でも本人にしてみれば、重大な局面であったから、彼を描くには欠かせない場面でもあるかもしれない。 それにしても、ちょっと偏り過ぎたのではないか、と思う。杉森久英氏の、この辺の扱いをみると其処に、直木賞まで獲りながら、一流作家になれなかった原因の一端があるように思えてならない。 彼のほかの作品も幾つか読んだが、長編でなく、短編などでも大きく脱線したりして、その書き様に疑問を感じたりしたこともある。まあそれでも数少ない地元出身の作家である。できるだけ贔屓にしたいと思う。勿論この作品も最後まで、読み通すつもりだ。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-30 17:54
| 源さんの書評
(この作品に関しては、ほぼ似た内容を「源さんの書評」にも採り上げました。この本の書評はココに書いてあります。)
山本周五郎氏の作品は、このブログや書評では、今まで全然採り上げてこなかったが、ここ数年あまり読んでいないだけで、実は以前はかなり読んでいた。私のランキングの中では、“泣かせてくれる作家”の中では、かなり上位にくる。 ![]() 署長の名前は、五道三省(ごどうさんしょう)という変わった名で、その町の署長として転任してきた頃は、40歳か41歳の男。5年間の在任中、署内でも官舎でも、ぐうぐう寝てばかりいるので、「寝ぼけ署長」と綽名がつくほどで、その上、お人よしで無能とまで当初は新聞などで酷評された。でもこの寝ぼけ先生、5年が過ぎ、いよいよ他県へ転任がきまると、別けれを惜しんで留任を求める声が市民から湧き起こり、デモ行進にまでいたる。 それは、署長の別な側面というか真実の側面を住民が次第に知り、5年後にはそういう行動に走らせるまでになったことが、この小説の中の幾つかの事件を通して描かれる。 この小説の中で、寝ぼけ先生は、実は、ものすごい読書家で、英語、独語、仏語三ヶ国語がやれる上に、漢文も読める。眠ってばかりいるのも、仕事が署へ来て、一時間もすると終わってしまうかららしいことがわかる。つまり無能どころか、能力がありすぎて、昼寝ばかりしていたということになる。寝ていると思っている時でも、寝た振りをして、他人の言動を聞き、観察するようなところもある怖い人間でもある。 でも陰険という性格からは遠くかけ離れ、性格は、悪を憎んで人を憎まずを心情とする人物で、事件の解決も、非常に人情味あふれる解決をする。だから普通の探偵小説のような、証拠などから名推理で犯人を探し出すというスタイルとは違った探偵小説となっている。 この小説は、彼がそのある町にいた五年間で起きた事件を、彼の秘書的な立場にあって、いつも傍に居た独身の警察官が、思い出して語るというったスタイルで進められます。 小説の途中で、出てくる署長の言葉も、正義感や人間愛にあふれていて、非常にいいです。ちょっといくつか揚げてみましょう。 「貧乏は哀しいものだ。・・・・・こんな時まず疑われるのは貧乏人だから、然し、貧乏はかれらひとりの罪じゃない、貧乏だということで、彼らが社会に負債(おいめ)を負う理由はないんだ。寧ろ社会のほうで彼らに負債を負うべきだ。・・・・・本当に貧しく、食うにも困るような生活をしている者は、決してこんな罪を犯しはしない、彼らにはそんな暇さえありはしないんだ、・・・・・犯罪は懶惰(らんだ)な環境から生れる、安逸から、狡猾から、無為徒食から、贅沢、虚栄から生れるんだ、決して貧乏から生れるもんじゃないだ、決して」 上の文章を読むと、少しピンとこないというか、時代遅れの発言と思う方もいるかもしれない。最近は、生活が貧窮しても餓死するとか食えないという時代ではなくなりました。でも私は、やっぱり何も変わっていないと思う。貧乏といえる人が少なくなったかわりに、懶惰な環境で暮らす人々が非常に増えてしまったことだと思う。この言は、今もって真理ではなかろうか。 他にも2,3. 「不正を犯しながら法の裁きをまぬがれ、富み栄えているかに見える者も、必ずどこかで罰をうけるものだ、不正や悪は、それを為すことがすでにその人間にとって劫罰だ。」 「法律の中で最も大きな欠点の一つは悪用を拒否する原則のないことだ、法律の知識の有る者は、知識の無い者を好むままに操作する、法治国だからどうのということを聞くが、人間がこういう言を口にするのは人情を踏みにじる時にきまっている、悪用だ、然も法律は彼に味方せざるを得ない。」 これは第5話の「眼の中の砂」というところに出てくる話だが、正義感に燃える署長は、法律を悪用する人間のやり方を逆手にとって、やり返したりもしている。何とも痛快な話も出てくる。 とにかく、面白い。あなたも読んで見られてはいかが。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-28 11:45
| 源さんの書評
(この作品に関しては、全5巻を通しての感想などを書いた(書評と言うにはおおげさですが)第99回源さんの書評「奇貨居くべし」←ココをクリックがあります。このブログの5回分の内容を纏め直したものです)
やっと全巻(5巻)を、昨夜読み終えた。 今回は、呂不韋が、秦の政治を執りだしたあたりからの話である。前巻では、呂不韋と政(後の秦の始皇帝)の関係をさらりと流した感じで、この小説では、政が誰の子供かということにはあまりこだわっていない。その点にはほとんど重きを置いていない感じだ。 ![]() また呂不韋の政治も、宮城谷氏は、かなり評価が高いようだ。私は、今まで『史記』の史観に近い本を読んできたのか、呂不韋に対しては、もっと謀略家っぽい感じを抱いていたが、著者は、呂不韋を、かなり理想の政治家と見ているようだ。もっとも、それは宮城谷昌光氏の小説の全般に言えることであって、彼の小説の主人公は、現実(事実は私も知らないが)以上に、理想化されているように思う。 今までの呂不韋が出てくる歴史小説は、彼が実際に行った政治については、あまり書かれていなかったと思う。彼の政治は、著者が書くように、民衆の心をつかむような思いやりのある政治であったのかもしれない。「呂氏春秋」という本を編纂した彼であるし、彼の思想も知れば、だいぶ呂不韋像も変わるのかもしれない。実際、この小説で私の呂不韋像はかなり変わった。 「呂氏春秋」というような立派な本というか百科辞典のような本を編纂したということは、また呂氏がかなり本を読んでいたらしいということは、やはり当時一流の人物で、高潔な人物であったのかもしれない。また賈人出身という人物には、似つかわしくないとイメージの人物だったのかもしれない。歴史上の人物は先入観・偏見で見るべきではない。そういう眼でみては、何も歴史から得られない。私も、今後も呂不韋を色々な観点から見ていこうと思う。 今回の最終巻(天命篇)でも、呂不韋が会った歴史上の人物として色々出てきた。もっとも、この巻では、秦の政治にたずさわるようになってからの話なので、当たり前かもしれない。少し列挙すると、秦の将軍・蒙鷔(もうごう)、同じく王齕(おうこつ)、政(後の秦の始皇帝)等々。全巻を通すと、本当に多数の歴史的有名人が登場する。 この本の最後には、著者の「あとがきにかえて」という文章がある。それを読むと、大体私の想像は当たっていた。呂不韋については、秦の政治を執るにいたるまでの話は、あの「奇貨居くべし」の話以外わかっていないようだ。その不詳の時代を、宮城谷氏が推理と想像を働かせて、この小説を書き上げたようだ。この小説では、呂不韋は、荀子(この小説の中では孫子という名で出てくる)に教えをうけ薫陶されたように書かれているが、実際には呂不韋の思想・業績などから荀子の思想の影響があると想像できるだけで、その想像をもとに、宮城谷氏は荀子をこの小説の中に登場させたらしい。 私は別に批判している訳ではない。これが小説というものだ。それでいいのだ。宮城谷氏が描く理想像というものに、いつも魅惑される。嘘であろうが真実であろうが、この小説の中で、呂不韋の生き方に、かなり学ぶところがあった。 人間はやっぱり私利私欲で生きるのではなく、コツコツと徳を積みながら、生きることが、人を活かし自分を活かすことになるのだろう。この生き方は、私の思想というか気持ちにも十分合う。 皆さんも、お読みになってはいかが。勿論、源さん推薦の一冊です。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-27 09:51
| 源さんの書評
これは、『奇貨居くべし』の第4巻にあたる。今回やっと有名な場面が出てくる。
ちょっとだけ粗筋を。 ![]() しかし着実に伸びた取引も、魏冄の失脚で、後ろ盾を失い、窮地に立たされる。それを何とか乗り越えた呂不韋は、失敗を、糧として人間的にさらに大きく成長する。 ある日、呂不韋は、趙の邯鄲で秦から送られた人質・公孫・異人(後の子楚→荘襄王)を見た。趙の宮城へ定期訪問の挨拶に登る途中であったが、秦から見捨てられたようで、非常にみすぼらしく哀れな行列であったが、異人に黄金の気が立つのを見た呂不韋は、それを奇貨と感じ、生涯ただ一度の大博打で出る決心をする。・・・・・ 今回も、多くの歴史的有名人と呂不韋は、出会う。趙の廉頗将軍、秦の白起将軍、それから孫子(荀子)の行列と遭遇した時には、李斯や韓非子などとも出会うし、また異人の件で秦を訪れた際には、華陽夫人や安国君(後の孝文王)とも面会している(華陽夫人は、この小説では、以前会った南芷だとわかる)。まあ本当に色々な有名人と出会っている。こんな事って、あるのかな、などと思ってもしょうがない。小説はこういうものだろう。 次巻からは、いよいよ秦の政治に乗り出すはずだ。秦の始皇帝もいよいよ登場してくるはずだ。私は、結末は、歴史上の事実として、また他の歴史小説なども読んでかなり知っているが、クライマックスを宮城谷氏はどう描くのだろうか。 たまたま見たこの本のレビューには、呂不韋が中国で初めて民主主義的思想を呂不韋が唱えたような事を書いてあったように記憶がある。しかし、私はそういう点はよく知らない。となると、宮城谷氏は、普通とは違った史観で書くのだろうか。楽しみである。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-25 20:06
| 源さんの書評
![]() 早朝、この本を読了した。これは『奇貨居くべし』のいわば第3巻である。まだ有名な「奇貨居くべし」の諺の話は出てこない。それに、まだ商人にさえなっていない。 この三巻目の話も、呂布韋に関しては、ほとんど作り話であろう。 この巻の後半あたりで、やっと賈人(こじん:商人)となる決心をしたから、次の巻あたりで、やっとあの話が出てくるのだろう。 今回も特に粗筋は書かない。読み終えた後、書評など書く余裕があったら、書くことにする。 ところで、前回のコメントには書かなかったが、人相観の唐挙も、有名な人物らしい。またこの「黄河篇」で、呂不韋が、田焦という人物を探し当てて帰る途中に出会う縦横家の蔡沢も実在の人物らしい。農学者の黄外や、伯紲も、もしかしたら実在の人物かな、とも思うが、今のところ、浅学のため不明。あとでちょっと調べてみたい。 この「黄河篇」で私が知っている歴史上の有名人(小説の中で呂不韋が、会ったことになっている有名人)では、鄭国が新たに出てきた。鄭国渠で今に名を残す人物である。世界史をかなりやってきた人なら、時々テストに出てくる人物だから知っている方も多いだろう。 この本を読みながら、世界史も少し復習している源さんなのであります。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-24 08:44
| 源さんの書評
![]() 『奇貨居くべし』の第2巻ともいうべきこの本を、先ほど読了した。 雨のせいか、ちょっと今日は暇なので、本ばかり読んでいた。<(^^;; 呂不韋の前半生は、詳細が不明ということもあろう。この「火雲篇」までは、今のところ宮城谷さんの空想力が自在に発揮され、非常に多くの人々が登場してくる。歴史的有名人も多数である。 呂不韋が、この小説の中で逢った歴史的有名人をちょっとあげてみよう。 「春風篇」では、趙の藺相如(りんしょうじょ・後の有名な宰相)、春申君、荀子、秦の宰相・魏冄(ぎぜん)。「火雲篇」では、孟嘗君、魯仲連なども登場してくる。「火雲篇」の終わり頃に、呂不韋はやっと二十歳になるのだが、二十歳くらいで、こんなに多くの偉人に出会うということは、なかなかありえないことだ。そこは小説(ノンフィクション)である。このようにその時代を代表する人々と出会い、商人の息子に過ぎなかった呂不韋が、薫陶を受けて成長し、後の秦の宰相となったように描きたいのであろう。 読んでいる方も、(事実はかなり違い、ほとんどは作り話だと思うが)波乱万丈で面白い。 この「火雲篇」の最後では、呂不韋が、孟嘗君のもとを去った後、小環という女性を探していたが、薛(せつ:孟嘗君を君主とする公国)の郊外の慈光苑で、孟嘗君が亡くなった事を、孟嘗君の息子・叔佐から知らされる。一大事は孟嘗君の死のみではないらしいが。 このあとも、もっと予想だにしないような人物が登場するのかな??? この本は図書館で借りてきた本である。今日は暇そうだから、これから続きを、借りに行こっと! ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-23 14:14
| 源さんの書評
![]() 今日の早朝この本を読み終えた。この『奇貨居くべし』の第一巻といった方がわかりやすい。 宮城谷さんの本は、久しぶりである。でも、この『奇貨居くべし』と『三国志』以外の彼の作品は、確かほとんど読んでいるはずである。 中国の歴史を舞台とした小説を、先史時代の古代から、色々と採り上げてきた著者であるが、最近は、秦や三国時代という皆さんおなじみの時代を採り上げるようになってきた。中国の古代にこだわっていては、書けないのかもしれない。別に、それを批判するつもりはない。今回の作品も、さすが宮城谷さんだ、といった感じがする。 主人公は秦の宰相の中でも最も有名な呂不韋である。本のタイトルともなっている「奇貨居くべし」の諺でも有名であるし、また秦の始皇帝の実の父親ではなかろうか、という事で今でもそのあたりを色々小説にされる人物でもある。またかなりの思想家で『呂氏春秋』を書いたことでも有名な人物である。 今回は、まだ最初の巻でもあるから、粗筋などは書くのはやめておく。最後まで読み終わったら、少し詳しく、粗筋及び感想を述べたい。 全巻読了まで目標は、2週間。できれば10日間ほどで読みたいが、ちょっと無理かな。 まあ自分にプレッシャーをかけずに、気楽に読み続けたいと思う。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-22 11:52
| 源さんの書評
(この作品に関しては、ほぼ似た内容を「源さんの書評」にも採り上げました。この本の書評はココに書いてあります。)
![]() 私は、結構この役小角(えんのおづぬ)に興味がある。黒岩重吾氏ではないが、黒須紀一郎氏の役小角関係の小説は、全てよんでいる。他にも確か2,3読んだ記憶がある。 仙人や不老不死などに興味があるというのではなく、役小角という人間そのものが好きなのだ。飛行したとか、峻険な山を駆け抜けたという伝奇的側面に興味があるわけではない。勿論、修験道の祖という意味では、非常に興味があるが。 白山や(地元の)石動山を開いたという伝承のある泰澄などより、ずっと興味深い人物だと思っている。今となっては、真の小角像というのは、わからないが、やはり朝廷側の体制に組み込みきれなかった、というか逃れた山の民などと深い関係があったのだろうと思う。 密教を日本に伝えた空海なども凄いが、仏経とも、神道とも、道教とも違う、日本独特の修験道というものの基を築いたという意味では、空海より凄い人物といえるのではないか。 持統天皇との会見も、実際にあったことだろう。また母親を人質にとられ、伊豆に流されたのも事実だろう。彼の弟子としては、前鬼、後鬼が有名だが、それ以外に、彼が弟子を多数育てたということは書かれていない。それでも彼が朝廷側から恐れられたのは、やはり彼を崇める人々が多くいたということだろう。母親を捕らえるという卑怯な手を使ってまでも、小角を捕らえて流さざるを得なかったほど、そういう人々が多かったのかもしれない。 この本では、韓国連広足(からくにのむらじひろたり)が、不老不死の薬草を得ようとし、小角の従者となり、朝廷側との連絡係りの役を演じる。前鬼や後鬼から朝廷側の間者(スパイ)ではないかと疑われるが、結局裏切ることなく、小角が捕まるまで、仕える。しかし他の本では、大体彼をスパイとし、彼が密告したりして裏切るということになっている。 また私は、当初、後鬼となるのは、小角の二番目の弟子・ヤマメ(女性)かと思ったが、違っていた。狛麻佐(こまのまさ)という二重間者が、最後には裏切るのかと思ったが、そうではなく、彼は途中から、完全に役小角に心酔し、後鬼となるのは、この小説では彼であった。これも意外であった。 ここまで話の内容をバラすと、よくなかったかな。でも役小角の事は、ほとんど方があまり知らないだろう。私の言っている事など、おそらく、さっぱり何の事かわかわないだろうから、まあいいか(独言)。何はともあれ、黒岩重吾の役小角は、そういう意味で、一味違った役小角像で楽しめる。興味のある方は、一読をお薦めします。 最後に、先日、夢枕獏氏の本を読んでいたら、彼も役小角の本を書きたいと述べていた。これまた楽しみである。できるだけ多くの作家に役小角を書いてもらいたい。そして私は今後も、色々な作家の役小角を読みたいと思う。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-20 18:04
| 源さんの書評
(この作品に関しては、ほぼ似た内容を「源さんの書評」にも採り上げました。この本の書評はココに書いてあります。)
![]() <百字紹介文> 16世紀オスマントルコ帝国の宮廷建築家として有名なシナンが、イェニチェリの見習いとしてイスタンブールに出てきた頃から宮廷建築家となり、数々の建築物をこなしながら遂には世界最大のモスクを造るまでを描く。 <詳しい紹介文> 昨夜は眠られなかったので、この『シナン』(夢枕獏著・中央公論新社)を、上下巻とも、一気に読んだ。 私の事を、速読家だなあと思う人もいるかもしれないが、この夢枕獏氏の作品は、どれも会話の部分が多く、それも一行一単語に近い会話などを多用し、誰でもかなり速く読むことが出来るのだ。一行に何十文字も書いてあるような本と比べると、本の厚さが同じ位でも、1/2か1/3くらいの時間で十分読める。 それでも、(彼の)本を読んだ人には‘一冊読んだぞ'という征服感を与え、‘俺はこの人の作品が向いているのかな'と思わせるから(私もそう思ったりしたから)、読ませる側としては、非常に上手い方法(文体・作風)かもしれない。 さて本の内容に入っていこう。 シナンとは、16世紀オスマントルコ帝国の宮廷建築家の名前である。トルコのエディルネに、セリミエ・ジャーミー(セリミエ・モスク)という世界最大のモスクを建てた男だ。ジャーミーとは、モスクの事でトルコ語らしい。 1488年トルコのカッパドキア地方のアウルナスというキリスト教の町に生まれ、24歳の時にデヴルシメという少年徴収制度によって徴用され、イェニチェリと呼ばれる兵士団に入団、イスラム教に改宗させられ、スレイマン大帝のもと、工兵から宮廷建築家へと登りつめた。 そして、何と80歳になってから、それまで1千年以上もの間、世界最大のモスクであった聖(あや)ソフィア寺院の聖堂よりも大きなモスクを造りはじめ、7年という短い年月で完成させ、100歳で亡くなった。オスマン帝国の各地に、80ものモスク(ジャーミー)他、沢山の建築物を造り、生涯に477の建築作品を造った前人未到の建築家であった。それも才能を魅せ始めるのは、40代に入ってからであり、正式な首席宮廷建築家となり建築の指揮を執るようになったのは、50歳になってからであった。 小説の中では、シナンは、イスタンブールに見習いのイェニチェリとして出てきた頃に、まだ皇帝となっていなかったスレイマンおよび、後の大宰相イブラヒムと出会う。スレイマンが皇帝となった年、シナンと同じ時に徴用され友人となったハサンという男と町を歩いていて、偶然暗殺者から追われていたイブラヒムを助ける。そういう事などから、次第にシナンとハサンは、オスマントルコの内部の勢力争いなどとも関わり、また遠征の際に、優れた工兵の才も発揮したりして、二人とも次第に昇進していく。シナンは、ヴェネツイアへ行く機会なども与えられ、ミケランジェロなどとも知り合い、多くの知識を得る。 ![]() 他のレビューなど読むと、‘歴史小説としては、内容が貧弱で深みがない'などという批評もあるようですが、この『シナン』は歴史的人物を登場させてはいても、小説(ノンフィクション)として楽しむべき作品であろう。そういう批評はこの作品には、無意味だ。シナンが建築家として記録が残る時代は、逆に避けてほとんど描かず、どう生きたか不明な時代を、空想で小説化した訳であるから。 この作品を読んでいて辻邦夫の『フーシェ革命暦』と『背教者ユリアヌス』を、つい思い浮かべてしまった。故・辻邦夫氏と、夢枕獏氏とは全く作風が違うが、なぜ彼を思い浮かべたかと言うと、一つは先ほど言った事である。『フーシェ革命暦』も、フランス革命時の無名時代(つまり有名な政治家となる前)のフーシェにスポットを当て、新しいフーシェ像を自由に作っている所が似ていると思ったのだ。 もうひとつは、私がイスタンブールに非常に興味を持ち始めたのが、『背教者ユリアヌス』であった。実はイスタンブール(昔はビザンチン、コンスタンチノープルなどとも呼んだ)の町は、ヴェネツイアとともに、私が非常に関心のある2つの町の一つであるのだ。両都市に関する本は何冊も読んだし、自分でも何冊も関連本を持っている。 最近、私は日本の歴史小説や時代小説ばかり読んでいて、ヨーロッパ史など世界史から遠ざかってしまった。しかし、この頃また世界史を読みたくなってきた。大分世界史を忘れてしまったという感もあるし・・・。この本(『シナン』)を読んで、さらにその思いはつのった。これでも昔は世界史の方が日本史より詳しかった(というか高校時代は日本史は選択しなかったので、昔は日本史は中学程度の知識しかなかった)。駿河台予備学校の模試の世界史で何度か名前を載せた事もあった。また大学ではかなり西欧史に取り組んだつもりである。しかし今ではその知識もお粗末な限りとなってしまった。また歴史を根本的に学び直したくなった。 というか、最近また無性に勉強したくなっている。もう記憶力が減退する一方で、あまり頭には入らないだろうが、それでも何かやり直したい気がしている。学校へ行きなおすという気まではないが、昔購入した学術書や新書などを、暇を見つけてまた読み直したくなってきた。 これも単なる気まぐれだろうか。・・・・・ またまた感想が、迷走してしまい大いに脱線してしまった。人によっては、この『シナン』は、歴史小説としては、歴史的事実に沿ったストーリーも少なく、奥行きがないように思えるかもしれないが、それでも小説として十分興奮し楽しめる上に、オスマントルコの歴史やモスク(ジャーミー)などイスラム文化にも関心が沸くようないい作品に仕上がっていると私は思います。 夢枕氏の代表作の一つに加えてもいい作品だと思います。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-18 05:51
| 源さんの書評
![]() 下巻は、殺人はない(というか最後の悲劇まで起きない)ので、上巻とちょっと趣を異にする。下巻の後に解説を書いている吉田伸子さんは、この小説は、主人公の青木淳子と木戸浩一との恋愛小説という側面もあるというよな事を書いているが、下巻の方は特にその面が表に出てくる。 今回は粗筋は、特に書くのはやめておく。先ほどの吉田さんの解説には、非常にうまく粗筋がまとめて書かれているので、興味のある人は、読んでみたらいかがかと思う。 主人公の青木淳子は、最後に恋愛相手の木戸浩一に、裏切られることになるが、それだえけに悲劇というか哀しくて切ない終幕となっている。上巻はドンパチ的なスリルが多かったが、下巻は、青木淳子などの心理の変化なども追い、小説に奥深さを与えている感じがする。 私としては、宮部みゆきさんの作品の中では、それほど好きな作品とはならなかったが、悪い作品でもない。超能力人間を描いた作品が好きな人には、傑作なのかもしれない。まあ興味のある人は、読んでみてください。 ■
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by une_genzaburo
| 2006-05-17 07:09
| 読書
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