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「時鐘舎新書」とは、北國新聞社が全国向け出版物の発行元として設けた「時鐘舎」から出した新書で、その第1作がこの本らしい。鈴木大拙は、石川県出身の思想家の一人である。石川県出身の思想家といえば、西田幾太郎(哲学者)、三宅雪嶺(哲学者、鈴木大拙の3人が三本柱だろう。 地元金沢では、哲学者の西田幾太郎、作家の藤岡作太郎、そしてこの鈴木大拙の3人を加賀の三太郎と呼んで親しんでいる。といっても、この本に書いてあるように、彼らの思想や業績が、どの程度知られているかといえば、地元でもほとんど知られていないというのが実情ではないか。 金沢市は、文化都市というが、最近は展示会や色々な集いに出て上品ぶったり見栄を張ることはするが、郷土の偉人の歴史を真剣に学ぼうというような姿勢は弱く、軽薄な風潮が強いと思う。たとえば前田利家とか八田興一などスポットが当るとお祭り騒ぎをするが、ミーハー的騒ぎ方をするだけで、HPにしても何にしてもジックリ腰を据えて学ぼうという姿勢はないように見える。 もしかしたら今全国一浮(うわ)ついた性格の町かもしれない。今後この風潮が改まらない限り、当分は深遠な思想を開陳するような思想家は金沢には現れないだろう。 鈴木大拙は、この本に書いてあるように、彼の故郷・金沢市民から忘れられた存在だけでなく、日本全体でも、海外で評価されているほどは、評価は高くないのだろう。 私は、実は鈴木大拙と西田幾太郎に非常に関心がある。西田幾太郎氏が、最初に教壇に立ったのは、私の母校(七尾高校)の前身・石川県尋常中学校七尾分校である。一方彼の親友・鈴木大拙が教壇に立ったのは、珠洲市の飯田小学校である。彼らの間の書簡も七尾高校にあるそうだ(昔、佐々木先生という方から聞いたことがある)。 そういう石川県ゆかりの思想家なので、高校卒業後私も禅に興味を持ちはじめ、今から20年ほど前に大拙と同様、鎌倉の円覚寺に参禅したこともある。もっともその頃は、円覚寺ゆかりの蘭渓道隆という渡来の僧に興味があってではあるが。 この本は、鈴木大拙の伝記というよりは、足跡や知古などを取材(たとえば大拙が渡米後住んだラサールの地や、日野原重人氏など縁の人物を取材)して、その人物像を描き出そうというような描き方となっている。だから内容は平易で読みやすい。禅の思想をこの本を参考に学ぼうと思っても、ちょっと落胆するかもしれない。 そもそも曹洞宗、臨済宗、黄檗宗のいずれにしろ、みな禅宗のスローガンに、不立文字を唱えている。悟りとは本から学び開くものでないという。よって鈴木大拙のように、これでもかこれでもか、と文字で説明する態度は考えようによっては異端となる。 私も禅宗は実践の宗教だと思う。一番有名なスローガン「只管打坐」の「只管」とは「ひたすら」の意味で、つまり「只管打坐」とは、「ひたすら坐禅を組みなさい」と言っているのである。 鈴木大拙は、貧困で金を払えない為に石川県専門学校を退学した後(18歳の頃)、富山県高岡市の国泰寺に初めての参禅をしている。その時、禅の本で知った事柄を色々質問し、住職から叱られ、数日坐禅のみを組まされるが、逃げ帰ったという苦い体験(エピソードとしては意外で面白い)がある。 禅の悟りは本来不立文字とはいえ、外人などに禅を伝える為には、言葉が違うのだから、まずは翻訳の書物という形で外国人に分かり易く伝える必要があろう。その上で実践として坐禅他、禅宗の修業を行うことだろう。 現代世界において外国人が、日本の文化・思想としてあげるのは、武士道、茶道、華道などともに禅が上位にあがる。それらの影響の多くは鈴木大拙に負っていると思う。 現在40巻にものぼる鈴木大拙全集が出ているが(それでもまだまだ載っていない書簡などの漏れが多いそうだ)、その多くが英語で書かれたというから並大抵の人物ではない。 古今、それだけ大量の英語で日本文化・東洋文化を発信した日本人が他にいるだろうか?おそらく居るまい。現在、世界には沢山の禅の実践センターがあり、日本人の想像以上に鈴木大拙は、世界に知られた代表的日本人(前記事で紹介した内村鑑三の『代表的日本人』には入っていなかったが)となっているらしい。地元石川県としては誇らしい事である。 この本では、地元金沢に最近彼の記念館ができたが、アメリカやその他で顕彰・研究されているほど、注目を浴びているかというと知らない人が多い事を嘆く文章があった。日本ではむしろ、大拙が活動の拠点とした松ヶ岡文庫がある鎌倉が、ここ鎌倉こそ大拙ゆかりの地の本家本元だと名乗りをあげており、それに対して金沢の関心度の低さのありようを危惧し、金沢を「禅文化体験の拠点」としようなどと訴えている。 果たして浮ついた現在の金沢人気質で、上手くいくか?一時的なミーハー的盛り上がりしか無理なような気がする。 もし金沢市民で、この私のコメントが皮肉っぽくて酷な評価と思いの方は、その予想を覆すために発奮し、もっと大拙のことを学び、顕彰すればいいと思う。(私自身は大拙に関し、もっと地元で顕彰されるのはいいことだと考えている) お薦めの一冊です。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-07-17 13:35
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