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私は、結構仏教(真宗門徒であるが真宗に限らず全ての仏教)自体にも興味もあるし、仏像やその他仏教美術、寺院建築(神社も含めて)などの文化財・美術品にも興味がある。 今回読んだ本は、文化財修復に携わる飯泉太子宗(いいずみ・としたか)さん(歳は私より12歳も若い、干支で云うと一まわり下の人)が書かれた本である。 経歴をみると、東北芸術工科大学を出てから、1997~2003年の間(財)美術院国宝修理所に勤務し、国宝、重要文化財の仏像の修理に携わる。2003~2004年は吉備文化財修復所に勤務。退職後、夫婦で何と世界一周の旅を行い、一年半もの間、世界中の文化遺産を見て歩いたという。2006年に帰国、2007年特定非営利法人「古仏修復工房」を設立。関東を中心にNPO活動による仏像・文化財の修復を行っているとのこと。 30代前半で文化財修復のNPO法人を立ち上げるなど大したものである。若い世代なので、この本の中には、それを反映したような説明なども出てくる。プラモデルと仏像を比較するのは、この世代でなくてもありうるが、機動戦士ガンダムのプラモデルと仏像を比較し、構造的な類似点及び違いを説明したり、ガンダムに登場する戦闘ロボットは、四天王や十二神将のような軍事系天部に相当するとかといった文章が出てくる。でもそれがかえって身近な例で分かり易く、親しみ易く、好感がもてる。(著者自身の挿絵もいい!) 仏像というと、木彫像、粘土などで作った塑像、金属で作った鋳物の金銅仏、石仏、乾漆像と色々な素材のものがあるが、この本では主に木彫像の話が中心(ただし他の素材の仏像の説明がない訳ではない)。実際、日本に現存する殆どの仏像は木彫像だという。 仏像の修復の話だが、これを読んでいるだけでも我々があまり知るところの無い仏教・仏像などの知識を知らずしらず得る。 例えば、寺院などに、よく幾つかの仏像がグループを成して置かれていることがあるが、それに決まりがあるらしく、阿弥陀如来があれば脇仏は、観音菩薩と勢至菩薩、薬師如来であれば日光菩薩と月光菩薩、釈迦如来なら文殊菩薩と普賢菩薩などといった説明が出てくる。 また菩薩と如来の姿の違いについて、「菩薩の姿とは、宝飾を身につけ、髪の毛を高く結い上げている姿で、いってみれば釈尊が出家する前の王子であった時の姿を模したものだ。それに対して、如来の姿とは出家後の姿を模したもので、宝飾は身につけず、髪の毛は螺髪(らほつ)で、簡易な布を身につけた姿をしている。」なるほどと思った。確かに言われてみればそうである。 私達日本人は、大概の人は仏教徒であると思うが、それでいてこういう事柄は殆ど知らないのが現実ではなかろうか。だがこの本は、仏像の修復を通して仏教の事を説明するのが目的の本ではない。内容の中心は修復に関する話だ。 そんな仕事の関連話ばかりで構成された本だが(逆にそれだからこそか)、興味深い話が非常に多く載せられている。 例えば、昔は薬師如来像だった仏像が、手の上にあった薬壷がなくなったため釈迦如来と見なされて(呼ばれて)いたりする。またある場合にはそんな偶然の理由ではなく、住職の宗旨替えで意図的に、阿弥陀如来の手をすげ替えて釈迦如来像に変装させられたりと、当初の仏像とは違う仏像に変わっていることが結構あるとかいう話。 古い仏像は、ほぼ全て何度も何度も修復の手が加えられており、平安時代の仏と言われているようなものでも、調べてみると殆ど江戸期に修復されて、古い部分は殆ど遺されていない場合が多いという話。 また江戸時代以前は、修復は今と違い文化財修復という考え方の修理でなく、作った当初のような新品の状態に戻すという考え方が主流なので、金箔などを貼りつけ、今で言うなら歴史的価値。文化財的価値をなくすような修復が普通に行われていたなど、なるほどと思う話が種々出てくる。 現在でも修復の依頼には、折角修復するのだから真新しい感じに修復するという考え方もあれば、文化財的価値を考え、出来るだけ今の古色を損なわないような修理をすることもあるようだ。 木彫の仏像の場合、大概内側を空洞に掘り込む(内刳(うちぐ)りというらしい)が、昔の仏像の内部からタイムカプセルのように出てくる「体内納入品」の話も面白い。もしそれらが入っていれば、修理のため解体すれば出てくるのだが、解体しなくともX線検査などの非破壊検査やファイバースコープなどで調べることも出来る。仏像に書かれほとんど肉眼で読めない文字も赤外線写真などで調べたりして、時には仏像が作られた時代や経緯などもわかる。 しかし仏像の年代鑑定は難しいらしい。平安時代は、こんな感じ、鎌倉時代は、こんな感じ、江戸時代はこんな感じ、という各時代の代表的様式はあるが、それで断定できるものではない。鎌倉時代に既に入っているが平安時代の古風な感じを好んでその当時のスタイルで作ることもあったようだ。京畿と地方との遠さがもたらす、単純な様式の流行のタイムラグということもある。 その他にも、現在仏像などの有形文化財の置かれた状況なども、修復に携わ者としての眼で説明されている。地元住民としては地域の寺院や仏像など修復したいが、寄付金は集まらないし、地方自治体に協力を求めても財政難でなかなか予算がつかないなど。それに対しても地元集落だけで高額な修復費用を背負い込まず、広く寄付金を募る方法など、著者が経験した実例など紹介しており、そういう面でも参考になる。 楽しく読める本であるから、読む目的など掲げて肩肘張るようなことはせず、気楽に読めばいいと思う。 お薦めの一冊です。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-07-08 20:52
| 読書
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