by une_genzaburo
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アマルティア・セン(1933年11月3日~ )はインドのベンガル生まれ。1998年アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞した人物である(ちなみに日本がノーベル賞で受賞していないのは、この分野のみ)。 彼は少年時(1943年)に200万人の餓死者を出したベンガルの大飢饉を経験する。彼が通っていた小学校にも狂った人々が入ってきて、彼は強い衝撃を受け経済学者となる決心をしたという。 しかしアマルティア・センは、経済学者とのみ評価されるべき人物ではない。彼の研究分野は驚異的な広がりを持っている。見かたによっては哲学者、社会学者、政治思想家といった方がいいような感じさえする人物である。 研究範囲を列挙すると厚生経済学、開発経済学、社会選択理論、貧困理論、所得分配理論、公共政策論、政治哲学、道徳哲学、経済倫理学、開発(発展)倫理学、法哲学、人権理論にわたる。日本に関する知識も豊富で、随所に日本の歴史的事実などが引用されている。 彼はこの本の裏表紙にも紹介されているが、アジア再生の鍵は、かつての経済至上主義路線ではなく、人間中心の経済政策への転換であると力強く提唱する。 彼が説く「人間の安全保障」、「剥奪状態」、「潜在能力(capability)」、「人間的発展(Human Development)」といったキーワードなども、ここに収めた4つの講演論文で何度も登場する。 4つの講演論文とは、「危機を超えて-アジアのための発展的戦略」、「人権とアジア的価値」、「普遍的価値としての民主主義」、「なぜ人間の安全保障なのか」。そして最後に訳者の大石りらさんがセンの参考のために「アマルティア・セン 人と思想」を30ページほどにわたって追記している。 少し彼の思想を紹介しよう。 彼は、日本の明治期やそれを倣った東アジアの例を参考に、「たとえ所得水準が低くても、教育と医療を全ての人に保障している国では、国民全体の寿命の長さと生活の質の向上に関して、驚くべき成果をあげている」と指摘。それが東アジアの戦略とでも呼ぶべき戦略であり、その戦略はその初期から「人間的発展」を目指し、人間の基本的な「潜在能力」の拡大を主眼とすることに直接貢献していると言う。 その戦略は2つの大きな効果をもたす。1つは、識字能力の拡大、平均寿命の伸長、病気の死亡率の低下などによって生活の質の向上に貢献。2つめは、基礎教育、医療などのかたちをとる人間的発展を実現することで、経済や工業の発展に拍車をかけて、その効率を改善しながら市場経済の規模を拡大させる。さらに第3の効果として、教育、特に女子教育の普及によって、出生率だけでなく幼児にの死亡率も低下させる効果があることも、実証的に確認されたと述べる。 これらを参考に、彼はインドがやったような市場を拡大したり官僚制を縮小したりするだけでは解決策にならないと言い、インドがこの「東アジアの奇蹟」を起こした「東アジアの戦略」の中心的要素である人間の潜在能力の発展や、さまざまな制度の補完的関係をもっとフルに活用すべきと言う。 また彼は言う。民主主義形態の政府や比較的自由なメディアが存在する国々では大飢饉と呼べる事態など一度も起こったことが無いと指摘。また1997年東南アジアなどで起こった金融危機を例にあげ、「人間の安全保障」の必要性を強く主張。民主主義がもたらす保護的な安全保障というものは、それが最も必用とされる時に、その欠如が人々に強く意識されるものだという。現在の日本をみても不況下の解雇問題など、セイフティネットなど「人間の安全保障」というものは、危機的事態が到来した時こそ意識されるのだと思う。 彼は、自由、民主主義、寛容という事の重要性を説く。彼は日本の新聞社に、20世紀に起こった最も重要な出来事は何かと尋ねられ、彼は民主主義の台頭であると答える。民主主義が初めて登場したのはギリシャだが、彼は普通の政治的統合の形態とみなされるまでに、その概念が定着したのは20世紀になってからだと述べる。 アジアは民主主義に適しているかどうかといった欧米の学者などの間での議論や、シンガポールのリー・クアンユーなどの権威主義体制の方が、経済の成長に好ましいとする「リー仮説」に対して、彼はある国が民主主義に適しているかどうか決める必要はない、人々は民主主義のプロセスを通して民主主義に適合してゆかねばならぬという。 また彼は自分の権利を主張する前に、まず他人にどのような権利が与えられているかを考慮すべきだと言う。人々の行動は、利己的な動機に支えられているのではなく、倫理的な思考や価値に動機づけられているとする。他人の権利が侵害されている事を知った上で、その他人の権利をやめさせるために何らかの行動をとること(センはこれをコミットメントと呼ぶ)の重要性を訴える。 この本に載っている彼の思想を簡単に纏めようとしたが、非常に深い思想であり、重要な考えが幾つもあり、無理とわかった。 中途半端な紹介に終わるがお許し願いたい。 経済市場主義ではもう21世紀の将来は展望できそうにない。彼はサスティナブル・ヒューマン・ディベロップメント(持続可能な人間的発展)ということも説き、国連も彼の主張を全面的に受け入れその運動を進めている。 できるだけ多くの人に読んでもらいたい1冊である。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-07-07 21:57
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