by une_genzaburo
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昨年は、4人もの日本人のノーベル賞受賞者(物理学賞:南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏:化学賞:下村脩氏)を出し、大恐慌を予感させる暗い世相の中にあって、数少ない明るい話題を振りまいたのは皆さんもご記憶に新しいことでしょう。 昨日もNHKのテレビ番組を観ていたら、今回のノーベル賞受賞者の業績を紹介する番組をやっていた。特に南部さんの業績は凄く、ノーベル財団より「その理論があまりにも早過ぎたため」なかなか賞を与えることが出来なかったという異例の説明があったとか、彼の業績は3つのノーベル賞に値するなどという話が出ていた。 日本人の過去のノーベル受賞者を見た場合、南部さんに匹敵するかそれ以上の受賞者は、私が思うに(日本人最初のノーベル賞受賞者である湯川氏なども凄いといえば凄いが)、1987年に生理学・医学賞を受賞した利根川進氏だと思う。彼は日本人で未だに只一人の生理学・医学賞の受賞者であり、また単独での生理学・医学賞の受賞でここ数十年の受賞の中でも非常に珍しい事である。 受賞理由は「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」で、免疫上の長年の謎であった謎、つまり数万の遺伝子しか持たない人間が100億種類以上の抗体を生み出す免疫のメカニズムを、分子生物学的手法などを駆使して解明し、免疫の世界に革命をもたらした人物である。選考委員の一人が「百年に一度の大研究」というコメントも発したこともあり、受賞後、日本のマスコミが彼のもとを大挙して訪れるという騒ぎがあった。 この本を読んでみると、彼の業績には他にも幾つかノーベル賞級の業績があるようだ。 例えばDNA上の遺伝子の配列のうち、意味を持つ塩基配列の部分をエクソンといい、意味を持たない部分をイントロンという。私もこれ位の事は基礎的知識なので知っているが、この事実を真核細胞で初めて見つけたのも彼であり、メッセンジャーRNAが遺伝情報を転写する際、エクソンの部分だけ切り取って繋いでいくというスプライシングなども見つけたのも彼らしい。そしてイントロンという命名したのも彼と彼の共同研究者らしい。まだ他にも彼による重要な発見があるようだ。本当に驚きだ。 この本は、立花隆氏がボストンに利根川氏を訪ね、延べ20時間にわたるインタビューをして纏められた本らしい。受賞後多数の日本人のジャーナリストが彼のもとに押しかけ、インタビューの申し込みが山とあった。どのインタビューも初歩的な質問と応答で始終した為、利根川氏としては、途中からやり切れず、一度だけ素人代表のジャーナリストからの徹底的な質問に応じるという条件をつけた。つまりその代表として選ばれたのが立花隆氏である。 素人代表といっても、立花氏は分子生物学や免疫学の本を大量に買い込んで、予備知識を蓄えた上でインタビューしているので、その対談内容は、かなり本格的な突っ込んだ内容となっている。その的を得た質問のおかげで、利根川氏から研究・実験の進め方や、当時次々と生まれていた遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーの詳細などがよく分かる。 彼は科学の研究について「科学の研究なんて、費やしている時間の大部分は肉体労働」と言っている。彼は何十億対もあるような塩基対の中から1つの遺伝子を取り出し、それをクローニングして、研究を進めていく訳だが、当時にあっては誰も不可能のように思ってやっていなかった作業だ。それを彼は、(当時の最新技術も含めて)既存のテクニックを最大限活かして、緻密な実験により少しづつ真実を解明していく。 実験結果は時には予想と大きく異なったものだったが、(その結果を否定しようとするのではなく)返ってその結果を喜び、それを追試験などで検証したりしながら、次々と成果を挙げていく利根川氏の姿が、下手なルポルタージュなどよりよっぽどヴィヴィッドに描かれている。 ところで私は以前、利根川氏が受賞後かなり経ってから書いた『私の脳科学講義』(利根川進著・岩波新書)という本を読んだ事がある。その本は、今回の本とかなり重複する箇所もある。京大~UCSD~ソーク研究所のダルベッコのもとでの研究~バーゼル免疫研究所~ノーベル賞受賞といった受賞までの経緯というか経歴などは特にそうだ。あの本はもう利根川氏が脳科学に研究内容が移ってからの本なので、実はあまりノーベル賞受賞の対象となった免疫の話は出てこない。 今回の本は、受賞後それほど年月が経っていない時期に纏められたようだが、それでも利根川氏自身、既に脳に興味がありそちらに関心があるという話が出ている。それで私は利根川氏が、免疫から興味が薄れ脳科学に対象を移したのかと思ったら、そうではないようだ。 利根川氏は研究の過程で、免疫系と神経系で色々な意味で似ている点が多いことに気付き、2つのシステムが同じ起源を持つのではないかと考えるようになり、脳を研究するようになったそうだ。本人の意識の中では、研究対象を大きく変えたという意識はなく、同じライン上にある研究と考えているようだ。 この本は、20年ほど前の本で内容が少し古い。今はヒトゲノム計画もとっくに終わり、ヒトゲノムは大体において解読されている。ヒトゲノムにおける遺伝子の数も、3,4万くらいと言われている。しかしこの本の中で利根川氏自身、ヒトゲノム解読は非常な年月がかかり困難だろうと述べている。また人の遺伝子の数も10万くらいなどと述べている。 科学の進歩とは、如何に予想が付きにくいものかよくわかる。 と言っても、面白いことは請け合う。いや、科学好きにはこのスリリングさが堪らないほど面白く感じられよう。また古い本とは言え、今でも分子生物学の参考書として十分有効な本だ。名著だと思う。 書きたい事は、まだ山ほどある。が、目安にしている字数を超えてしまった。凡長は避け、この辺でやめて置く。 私は免疫に関しては非常に興味があるので、近々この本と、それから多田富雄氏に『免疫・「自己」と「非自己」の科学』(NHKブックス)を再読する予定でいる。その際、出来ればもう一度ここに記事を書き、別の事など書こうかと考えている(乞うご期待!)。 勿論、お薦めの一冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2009-01-06 22:22
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