by une_genzaburo
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木のいのち木のこころ〈天〉
西岡 常一 / / 草思社 スコア選択: ※※※※※ 前回の記事で紹介した本にひきつづき、このシリーズの「天」篇を読んだ。 故西岡常一氏は代々法隆寺の宮大工の家(祖父の代からは、三代続いて法隆寺の宮大工の棟梁)に生まれ(明治41(1908)年)、法隆寺金堂、法輪寺金堂、法輪寺三重塔、薬師寺金堂、薬師寺西塔など、豊富な檜を使って堂塔の復興を果たした最後の宮大工棟梁と言われる人であった。木に生き、木を生かす名匠として名高かった。平成7年4月11日死去している。 以前にも西岡氏の『法隆寺を支えた木』(NHKブックス)を紹介し、この本と大分ダブるところがあるが、あちらの本は大学教授との共著の形で、西岡氏の語りの部分はそれほど多くはなかった。こちらはあの本に比べ、全て西岡氏からの聞き書き(塩野米松氏)のみで、語りの内容も濃い。 単に宮大工の心構えや技術について書いてある本でなく、職人・技術者全てに通じる極意、さらにはもっと進んで、功利主義、便利主義、はたまた知識中心の詰め込み主義の教育のあり方まで、現代信奉されている考え方に対して我々に問い直しを迫る奥深い本である。 職人らしい朴訥な語り口ではあり、洗練された文章ではないが、オーバーな表現であるかもしれないが、世阿弥の『風姿花伝』に相通ずるものがあると思う。あちらも芸術という技術をいかに修得するかなどの芸術論であると同時に、少年期、青年期、壮年期、老年期などそれぞれの時期をいかに生きるべきか、あらゆる人々に参考となる人生哲学の本であった。 西岡氏が祖父の西岡常吉に子供の頃から叩き込まれてきた、法隆寺の宮大工の間に伝わる口伝が、そもそも堂塔建築を単に造る極意のみならず、そういう奥深い内容を持っているのだ。『法隆寺を支えた木』の時の記事と少しダブルが、その口伝を少し書きあげてみよう。 ●「堂を建てずに、伽藍を建てよ」(意味→1つの小さなお堂でも、伽藍配置の中の部分として生きていることを忘れずに、建てよ) ●「塔組みは、木組み。木組みは、木のくせ組み。木のくせ組みは、人組み。人組みは、人の心組み。人の心組みは、棟梁の工人への思いやり。工人の非を責めず、己れの不徳を思え」 ● 「堂塔建立の用材は、木を買わず山を買え」 ● 「木は生育の方位のままに使え」「東西南北はその方位のままに、峠および中腹の木は構造材、谷の木は造作材に」 ● 「堂塔の木組みは寸法で組まず木の癖で組め」 ● 「木の癖組みは工人たちの心組み」 ● 「工人たちの心組みは匠長(しゃちょう)が工人らへの思いやり」(匠長→棟梁のこと)そしてその思いやりについても次のように言う)「仏の慈悲心なり、わが子を思う心なり」 ● 「百工あれば百念あり、これを一つに統(す)ぶる。これ匠長の器量なり。百論一つに止まる、これ正なり」 ● 「百論一つに止めるの器量無き者は謹(つつし)み惧(おそ)れて匠長の座を去れ」 ● 「諸々の技法は一日にしてならず、祖神たちの神徳の恵みなり、祖神忘るべからず」 ● 「神仏をあがめずにして社頭伽藍を口にすべからず」 ● 「伽藍の造営には四神相応の地を選べ」 勿論、大工としての知恵も数多く披露している。樹齢千年の檜は、大工の技と口伝の知恵で、建物としても千年はもつという。50年以上乾燥された木は、癖が抜けて素直な材木になる。古木は宝といい、寿命まで使い切ることで資源も無駄使いせずに最大限利用できるという。環境保護が叫ばれだしたここ数年、尚更この言葉に重みが増しているように思う。 他にも例えば私は礎石とそこに立てる柱の削り方なども、興味深く読んだ。柱は礎石の重心の真上に立てられ、柱との接触面は石を平らに削るのではなく、逆に柱の底を石の凹凸に合わせて加工するのだという。その方が、地震や大風などの際、木の揺れの方向が揃うことが無く、いいのだとか・・… また私も技術者・職人であるが、道具に対する考え方も、反省させられた。宮大工にかぎらず職人は道具が一番大事なもの、その扱いが粗末なものは、仕事に対する心構えが出来ていないという。宮大工では、刃物が道具で一番重要なので、刃物をとにかく毎晩何時間もかけて一生懸命研ぐという。 職人といっても、毎日毎日道具の手入れをしている人は少ないのではないだろうか。不都合が称してきたら手入れしたり、道具箱を整理するなどする程度の人が多いと思う。私もそうである。今日からでも少しずつ私も心構えを改めていきたいと思う。 まだ他にも、古い遅れた制度のような眼で忘れ去られた徒弟制度の良さを述べ、教育論に一石を投じている話や、頭でっかちで木など材質の性質もろくに知らずして何でも計算できると信じ、設計図通りに作ろうとする学者に反論し、木は全て癖は異なり癖は計算できないとして、現場で学ぶ経験という学問の大切さを説いている箇所など、なるほどと唸らされ反省させられる記述があちこちに出てくる。 本当にいい本です。私はこの本を市内の田鶴浜図書館から借りてきて読みましたが、文庫本も出ているということなので、1冊買ってきて座右の書の1つにしたいと今考えている。 多くの皆さんに読んでいただきたいお薦めの1冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2008-09-03 10:41
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