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ユリアと魔法の都 新装版 辻 邦生 / / 筑摩書房/ちくま少年文学館1 スコア選択: ※※※※ この本は、ちくま少年文学館の中の1冊である。少年少女、要は小学生を対象に書かれたかなり古い本である。私が読んだのは、1971年10月10日発行の初版本である。 実は私は、20年ほど前、かなりこの辻邦生氏にハマッていた。『フーシェ革命暦』、『背教者ユリアヌス』には強烈な印象がある。影響も大きいと思う。最近は、辻氏の作品を読むことがかなり減ってしまったが、それでもこのブログで以前確か『安土往還記』と つまり子供向けの空想冒険小説であるが、以前かなり影響を受けハマッた辻邦生氏の作品なので興味が湧き、読んでみたのだ。それに私は精神年齢が低いのか、こういう子供向けの本、冒険小説のみならず童話、民話、御伽噺、絵本などを読むことにあまり抵抗感は無い。 昔これまたハマッていた精神分析学者の河合隼雄氏の影響もあるかもしれない。大学時代、実際グリム童話など西洋の昔話、また日本昔話集、中国他世界各国の童話・昔話などよく読んだ。面白いものは面白いのだ。 話が逸れてしまった。この本に話を戻す。粗筋を紹介する。 主人公は、ダム建設の技師長を務める父の仕事の関係で、ダム工事現場に近い、山奥の谷間の村に住んでいた少年。その少年がある夏、遠い都会に住むおじいさまから是非会いたいと手紙をもらい、夏休みを利用して、一人で汽車で旅をすることになる。 谷間の村から離れた駅までは母親が付き添ってくれたが、汽車からは一人旅。汽車に揺られて旅をつづけるうちにユリアは眠くなり、寝てしまう。そしてぐっすり眠っている最中、子供のような顔をした車掌に、切符の検札だと起こされる。眠い眼を擦りながら、切符を渡すと、切符が(行き先も、材質なども)全く違うものだという。 ユリアは驚いて周りを見回すと、出発時に周りに座っていた人もいないし、車内の感じもまるっきり雰囲気が違う。汽車がいつの間にか超モダンな最新式の機関車で轢かれた超特急に変わっていた。彼自身、どうしてこうなったか全く訳がわからなる。 仕方無しに、眠っているうちに夢遊病者のように途中で乗り継ぎして間違えたらしいと推測を述べる。怪しげに疑られるので、彼は正直に、どういう目的で汽車で旅に出て、起きたらこういう状態になっていたという事を全て話した。 汽車は、そのうち途方もなく大きな球形の大都会に近づいていった。球形のガラスのようなもので覆われたように見える(この本には無い表現だが)未来都市のようなその都会は、超高層建築が建ち並び、子供達の町だった。そして先程の車掌も、やはり子供であった。周りの乗客もほとんどが子供だった。 ユリアは車掌から、駅についたら、駅長に事情を話すよう言われ、それに従い駅長室に出向く。この都会(まち)では、ほとんどの人間が子供で、子供が色々な職業に就いて働いていた。そして大人は消えてしまったかのようにほとんど見かけることが出来なかった。 この都会では子供が働くのが当然の事であった。駅長からもユリアがなぜ働かず遊んでいるのかが訝(いぶ)しがられた。ただ他所の町から来た少年なので少し皆と違うのかもと考えられた。駅長は、先程のピートという名の車掌を呼び、ユリアを案内して、銀行へ行ってお金をもらうよう指示し、ホテルに泊まってもらいしばらく特別扱いにすることにした。つまりこの都会(まち)の事情をユリアに説明する必要があると考えたのだ。 ユリアは、まずお金を渡すといわれてビックリする。この都会では、お金を稼ぐために働くのではなく、自分に向いた仕事をするのが楽しいから働くのだという。町を散策しても色々な職業の人がそれなりの恰好をして忙しく働いているが、皆やはり子供である。この都会を歩くと、大人達がいる世界とは違った色々な面での素晴らしさが見えてくる。ユリアは、この子供の都会に次第に魅了されていく。 しかしユリアはこの都会は大好きになったが、何か足りないものもあるように感じていた。彼は市役所へ見学に出向いたついでに市議会を傍聴する。議員、議長、市長は勿論皆子供だった。ちょうど議長が何かの演説をしていた。子供の世界は、生きることが楽しくなければならない、それが一番重要だ、などと述べていた。それに対してユリアは、傍聴席からこの都会に来て感じた率直な質問をした。「子供の世界は楽しくなければならないというのはわかりますが、でも子供だって、いつかわ大人になるんじゃありませんか。子供の世界だって、いつか大人になるんじゃありませんか」 この発言で議会は一時騒がしくなる。議場を何とか鎮めた議長は「子供は大人になりません。子供の世界では時間が無いのです。・…」と、それに対する否定の説明をした。ユリアはその応答聞いた後、議題も変わったこともあって、議場の外に出た。その後再びこの発言で、議会がまた紛糾し、問題になっていた。ユリアはそうとも知らずにこの都会の散策を続ける。 彼の発言は、いわばこの都会での禁句だった訳だ。この後ユリアは自分と同じような遊んでいる子供を幾人か捜しだし友達になる。そして‘何か足りないものは、何なのか’‘この都会がこのように子供のまちになったのはどういう理由か’知ろうと行動に出る。 しかし彼を危険人物とする議会は彼と彼の仲間を探し出し捕らえようとし、彼らの身に危険が迫る。・・・・… ハッピーエンドで終わる小説ではない。詳しく述べないが、私としては非常に予想外の終わり方であった。 何かを追求して活動する人(々)の心理描写が得意な辻邦生氏らしい作品とも言えるかもしれない。子供たちだけで作る世界に迷い込むことによって、子供の素晴らしい点を感じ、子供が大切にしないといけないものは何か、子供だけで動かす世界では何が足りなくなるのか、など考えさせようとしているのかもしれない。 辻氏の真意は違うにせよ、何かこういう世界を設定することによって、子供に色々と考えてもらおうとしていることは間違いないと思う。この本が出された頃は、私も小学校の3年生だった。世の中は働き蜂の大人が増えるとともに核家族化の傾向を次第に強め、家族とは何かを問いだした時代だったように思う。辻氏は子供達自身にも、子供としてのあり方を問うたのかもしれない。 古書だけに中々入手しにくい本である。でももし図書館や古本屋で見かけることがあったら、少年少女・娘さんや息子さんなどに(今は夏休み中でもあるし)お薦めするには、いい本だと思う。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2008-08-21 00:29
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