海洋船舶の科学 (B&Tブックス おもしろサイエンス)
/ 菅野照造・監修/船と海の研究会・編著/日刊工業新聞社
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重要港湾に指定されている港町(七尾市)に育った私は船を見るのが子供の頃から大好きだった。小学校の頃だと思うが、家から数キロも離れた埠頭に一人で出かけ、一日中貨物船の入港接岸・出港、積荷の揚げ降ろしなどを見つめていたことが何度もある。勿論今でも大好きで、時々船に関する本を読む。
今ではかなり多くの船に関する事は知っているが、それでもこの本を読んで新たに知った事も多い。少しも難解な部分がない平易な文章でありながら、内容も様々な事柄にわたり詳細で非常にいい本だと思った。
監修されている菅野照造さんという方石川島播磨重工業技術研究所で長年研究されてきた方で、船舶及び陸上構造物の防食技術(防汚塗装など)の専門家ということもあり、他の船舶の仕組みなど書いた本とは違い、塗装などの防食技術や船の組立方法の詳しい説明など一般向けの本では普通見かけないような内容も盛り込まれて、大変面白かった。
また漁船の種類やそれに付随して網などによる色々な漁の種類も紹介されていたが、それなども面白かった。個人的に特に面白かったのはこの2点だが、既に知っている内容に関しても、また判り易い説明だし、色々復習できて良かった。
私はこのように、船という乗り物が好きなので、今ではかなり船に関する事を知っているが、多くの方は、周囲を海に囲まれているが、海とは意外と疎遠であまり船に関して知らない事が多いのではなかろうか。
例えば、“面舵(おもかじ)”、“取舵(とりかじ)”、“ようそろう”などという言葉を聞いた事はあっても、どういう舵取りの仕方か知らないとか、1ノット、排水量、総トン、純トン、船の各部分や装備品の一般的な名称なども知らないのではなかろうか。
ここでこの本を参考に幾つか簡単に説明すると、面舵は右まわし、取舵は左まわし、ようそろうは直進、1ノット(kt=knot)は、1時間に1マイル(1海里=1852m)進む速さであり、つまり1ノットは、時速1.852kmである。
総トン数というのは、船の外板の内側から内側までの全ての容量であり、純トン数というのは、総トン数から機関や人員の占める部分、つまり機関室、船員室など稼動容量でない部分の容積を除いた、100フィートを1トンとして計算したもの。また排水量(排水トン)は、浮いている船の水面下にある船の容積分の水の容量(その分の水を船が排水したという考えから)である。
他の本でも見かけ内容もあるが、例えばノットの説明で、ノットとは結び目のことであるという。昔、船の速力を測るために先端に扇角の板をつけたロープに、7m毎に目印となる結び目をつけ、それを海に流したという。14秒または28秒でその結び目が幾つまで流れたかで速度を判断したという。つまり例えば5個まで結び目が流れたら5ノットという訳だ。
その他、船に関するエピソードや雑学などの面白い話も、章末毎のコラムに採り上げ、最後まで飽きさせずに読ませてくれる本です。
とにかく平易に楽しく書かれているので、船好きの人に限らず、多くの人を魅了し、きっと船好きにしてくれる本だと思います。お薦めの一冊です。
(この記事は、七尾市本府中図書館から借りてきた本をもとに書いています)
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