by une_genzaburo
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自己創出する生命―普遍と個の物語
中村 桂子 / / 哲学書房 スコア選択: ※※※※※ まずこの本にしたがってDNA研究の変遷を簡単に書く。 DNAは、周知のようにワトソンとクリックにより、1953年その二重らせん構造が発見された。そして1960年代までに、地球上の全ての生物は全てDNAであること、さらにはDNAを解読する言葉、つまりコドンも共通であることが明らかにされた。しかしこの時代は、実体を扱うことはできずに記号・概念としてみていた時代である。 1970年代には、組替えDNA技術が行われ、物質として操作されるようになった。個別を解析して操作し、個々の構造と機能が研究の対象であった時代である。 そして1980年代は、ゲノムの時代が始まった。これは1つの生物がもっているDNAを総体としてみる時代である(ゲノムは1つの細胞核内の全染色体の全てのDNAを指し、対の場合(この場合がほとんどだが)はそのうち片方を言う)。 また80年代から90年代、DNAで生命をあろようを語ることが流用した。ただしその際引用されるDNAや遺伝子という言葉が、多くが分子生物学ではなく60年代に書かれたリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』の考え方で、混同混乱を招いていたという。 ちょっとここでドーキンスの考えをごく大雑把に言うと、彼は、DNAという物質は、ただ“自分をコピーせよ”という命令だけをし、自分のコピーを増やしていくことだけに専念しており、生命体はDNAが自らをコピーし続けてていくための乗り物に過ぎないという見解だ。 しかしドーキンスの言う遺伝子は、メンデルの遺伝因子以外の何物でもなく、利己的遺伝子という特別な遺伝子がある訳でもない。彼はDNAを、自己複製という視点からだけで見ており、自分自身では分子生物的遺伝子とメンデルの遺伝(因)子との違いを十分理解した上で、確信犯的に用いているという。それだけに注意を要するのだと著者は言う。 また生物学に詳しくない人は、DNAは全て遺伝子と勘違いしている人も多かろう。原核生物や原始的な真核生物などの少数量のDNAしか持たない生物を研究している間は、ほとんどDNAが、生命活動維持に必要不可欠な基本的なもので、遺伝子であったが、その後高等生物などのDNAがどんどん調べられるにしたがって、1つの固体が持つDNAの中には、遺伝子と働いている以外の部分が沢山あることが分ってきた。人間など哺乳類などでは、DNAの総体の中で遺伝子として働いている部分はほんの数%しかない。 このように等しくDNAや遺伝子と言っても、その内容は色々変わってきた。 著者は、生命科学という仕事をしているうちに、1980年半ば頃、自然に「生命誌」という分野が生まれつつあることに気付き、それを自分の仕事にしよう、「科学」から「誌」へ移行しようと考えたという。 生き物はDNAを基本とするシステムという意味では共通性を持つけれど、それを解明しただけでは、眼の前にいる生き物がわかったことにはならない。普遍を持ちながらなお多様性を負う時代が来ていると感じたという。「科学」が、普遍・分析・還元・客観・論理を旨とするなら、それに多様・全体・主観・直感・関係・歴史性を付与したものとして「誌」が必要、つまりDNAを分析的に見る生命科学ではなく、歴史的視点を入れた新しい分野が生まれる必要性を感じていたという。 そこへ1980年代半ばから行われるようになったゲノムを見る時代が登場やってきた。著者はゲノムという概念を持ち込むことによって、“科学”から“誌”へ移行できることに気付いたという。生命誌では、生命は、細胞内という場に置かれたゲノムの働きによって自己創出する系だという(自己創出系とは「個体発生は系統発生を繰り返す」という言葉で有名なあの「個体発生」と「系統発生」の両方を含んだもの)。 ゲノム1セットのハプロイド細胞とゲノム1対のディプロイド細胞による生命誌を述べ、「これまでの真核生物の誕生こそ生命の歴史の中で最大の事件考えると言ってきた私の考えは、正確にはディプロイド細胞の誕生であり、ディプロイドとハプロイドを繰り返すしくみ、つまり性の誕生ということになる。」 なぜなら性の誕生によりこの時から、単なる自己複製ではなく、自己創出が行われるようになり、死が始まった。その歴史・物語ともいえる時間の発生がゲノムから見えるという。 ゲノムは、生きものという普遍性と、かけがえのない単独性とを個体の中に実現する。よって著者はゲノムを見ることで、普遍性と多様性を同時に合わせ持つ生命の本質に迫りたいと考え、そして「生命科学」から歴史的視点を入れた「生命誌」研究への移行へのタタキ台として書いたのがこの意欲作である。 上に書いた他にも色々勉強になった。例えば詳しくは書かないが、進化という考えも、この生命誌の観点から見つめなおして鋭い指摘をしている。またゲーテの「原型」と「メタモルフォーゼ」という概念による形態学を生命誌の観点からの再評価してみたり、ゲノムと免疫や脳との関係の論考なども非常に面白かった。 この本は、1993年毎日出版文化賞を受賞している。 最後に、ゲノム、個体発生、系統発生等等、本来説明が要るところ、かなり端折って書いたので、分り難い紹介文だったこと、お詫びいたします。 詳しくは読んでからということで、ここではあまり気にせず拘らずに、大体の内容を掴んでいただければと思う。 兎に角、本当にいい本であった。古本屋でたった100円で買って来た本だった。私はもう1,2度は再読してみたいと考えている。 勿論お薦めの1冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2008-01-23 21:46
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