この『南極からのメッセージ―地球環境探索の最前線―』(NHK出版編)は、先にあげた本(
『南極大紀行』(NHK「南極」プロジェクト編著・NHK出版))と重複する内容が多い(文章は同じではないが)。
先にあげた本が、南極の現地からのレポートが多く、自分が取り組んでいる仕事内容や特異な南極生活体験報告といった生の南極というか新鮮な感覚に溢れていたが、こちらは、普通の南極の紹介といった感じがする。
でも続けて2度読んだので、復習のような感じで、良かったと思う。
ここで南極について、理屈を説明されればわかるが、なかなか常識では理解できない南極の不思議な現象を幾つか紹介したい。
●南極点では、一年のうちに日の出日の入りは各一回で一年の半分は昼、残りの半分は夜。その上、太陽が登っている半年は、太陽は水平線を水平に時計と反対周りで移動するという。帰納的に考えれば、確かにそうなるかなとは分かるが、なかなか常識的には気づかない事である。
●ウイルスが外気では絶対生存できないので、少人数の隊では、最初のうちは風邪が発生しても、しばらくすると風邪は発生しなくなるという。つまり少人数が持ち込んだウイルスしかなく、しばらくすると全員に抗体が出来、免疫がつくからだという。
●大気は湿度5%ほどで、大気中にほとんど不純物はないため、晴れた日は遠くまで見渡せ、数十キロ先にある高い山もすぐ近くに見える。また南極には臭いというものがほとんど無い。また
などなど。まだ勿論色々ある。
また南極が北極以上に寒くなった理由などもなるほどと思わせた。南極が1億5千年ほど前だったかに、他の大陸から切り離され、それ以降南極の周りをまわる南極周曲流という風が吹き、海にも気温の壁ができ、北からの暖かい風や海流が南極の側までこれなくなる。これによって急激に気温が下がり、南極の気温が下がる。なおかつ氷の大陸になると、ただでさえ日射量が少ないのに光を多く反射してしまう。また平均積雪量2450m、場所によっては標高4000mほどあり、高地であるので、なおさら気温が下がる・・・・・etc。
人によっては、「まだ南極観測をやっていたの」という声もあるそうだが、そんな馬鹿な事を言う視野の狭い人など気にせず、地球のために、日本のために、南極観測を今後も続けていってほしいものだと思いました。
とにかく前掲の本を含めたこの2冊を読めば、南極について現状がよくわかります。また地球の将来、現状、未来について、南極から多くのことがわかるという事が、非常によくわかります。皆さんも、この本を読んで、南極のことや地球環境保護について考えてみませんか。