(この作品に関しては、ほぼ似た内容を
「源さんの書評」にも採り上げました。この本の書評は
ココに書いてあります。)
前巻の終わりのあたりから、緊張感がどんどん高まり、ストーリー自体が更に加速される感じで、下巻も、一気に読み終えた。
ラングドンとソフィーが、ソニエールが残したダイイングメッセージをもとに、ルーブルでキーストーンに繋がるらしい鍵を見つけて逃走し、チューリッヒ保管銀行パリ支店で、クリプテックッスを入手し、さらに宗教史学者のティービングの邸・シャトー・ヴィレットに逃げ込むあたりから、誰が敵で誰が味方であるかわからないような展開になって、まさにサスペンススリラーといった感じだ。
私は、ラングドンやソフィーを執拗に追い回すベズ・ファーシェ警部が、意外と、オプス・デイの組織なり、導師と繋がっているのではと予想したのだが見事に予想を覆された。ティービングの執事レミーが、意外な行動に出たとき、クサイ人物だなあと思ったがやはり・・・・と頷いたものだが、その後のさらなる展開は、まさにあっと驚くものだった。ソフィーの出生自身が何かしらキリストの秘密に関わっているのはすぐ推測がついたが・・・・
この小説は、とにかく謎解きが多くあって面白い。最初に殺害されたシオン修道会の総長であったジャック・ソニエールが暗号好きで、色々作ったこともあるが、タイトルのようにダ・ヴィンチ等の芸術品自体や、キリスト教史跡に秘められた謎解きも本当に面白い。
この小説は、ノンフィクションながら巻頭で「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は全て事実に基づいている」とコメントが書かれてある。
それで人によっては、この本の虚構んぽ部分のかなりの部分を、真実であると誤解しかねないとして、バチカンや、この小説の中に名前が登場する実在のカトリック教団体・オプス・デイなどが、猛烈に反発し、物議をかもしているが、良識ある人間なら、読んでいてだいたいどこまで真実で、どこまで虚偽か、わかると私は思う。
オプス・デイの名が出ているからといって、読者はそれが小説に書かれているように、影で暗殺者を操り反カトリックの人間を闇に葬ることさえする集団などとは考えないと思う。
カトリック教会は、この話が全くの事実無根というなら、むしろこの中に出てくる死海文書(キリスト教初期の教えが書かれているといわれる文書)などの公開に、圧力をかけるのではなく、積極的に応じるべきではなかろうか。
これを読んでいて思うのは、カトリック教会は、信者から崇拝され続けながら権威を持続しようとして、色々と無理をし過ぎたということだ。キリスト=神(つまりキリストは人間ではない)とする教義などを絶対に守ろうとして、秘匿したり虚偽を教えることが多くなり過ぎてしまった。現代では科学的に信じられない教えが多くなったり、矛盾が数多く生じて、それらを一生懸命繕うとすればするほど、綻びが目立つようになったということではないか。
私はキリスト教徒でないから、無責任な発言かもしれないが、現代においてもはや常識的には信じられない事については、教会は、ある程度真実を明かし、また、どのようにしてキリスト教が成立したかも、明かす方がいいのではないか。つまり嘘をついた罪は罪として認め、反省深きキリスト教として、キリスト教をもういちど信徒全体で考え直し、21世紀の新生キリスト教として再構築する方向に進むべきではないかと思うのだが・・・・。
キリスト教の団体や信者からこのブログに批判を受けたりして、混乱するのもいやだから、私のコメントもこの辺にしておこう。