旧シリーズからずっと全話読んでいる。
テレビドラマの影響だ。
最初のNHKのドラマ化の時はそれほど見たわけではないが、テレビ朝日であらたにテレビドラマ化した際は、毎回観た。
配役も、テレ朝の方が良かったかな。NHKで採用した神林東吾役の小野寺昭さんも悪くはなかったが、江戸っ子の洒脱さは村上弘明さんの方が向いている感じ。またるい役も、NHKの方の真野響子さんは少し固い感じだったが、テレ朝の沢口靖子さんは、小説にも出てくるおきゃんな性格がより出ていたように思う。
余談が長くなった。
今回読んだのは、時代設定が明治期に入ってから、主人公らも若手に変わりあらたに始まった新シリーズ「新・御宿かわせみ」の第5弾だ。
感想だが.....うーーーん、はっきり言ってイマイチだ。
この巻に限らず新シリーズははっきりいって、旧シリーズよりグッと落ちている感じだ。
どう言えばいいだろうか、旧シリーズは江戸情緒たっぷりでそれが一つの魅力だったが、それ以外にも多くの魅力があった。
単なる捕物帳もどきではなく、事件をめぐり描き出される人間模様も深いものだったと思う。世の中の辛苦、悲哀、喜楽...さまざまで、思わずほろっと涙がこぼれる話や、何かグッと胸に来て考えさせられる話が多かったが、
新シリーズは、そこまでの話は少ないように思う。
当初は、少年少女探偵団ごとき雰囲気であったが、今は登場人物も成長し、そこまでではないにしても、ストーリーの展開自体の面白さに関しても何か物足りない。
今回は神林東吾の娘・千春と畝源三郎の息子・源太郎が祝言をあげ、二人の間には子どもも生まれる。
また築地のバーンズ診療所で働いている神林麻太郎も、巻末で再度の留学の為に旅立つ話となっている。
収録話「宇治川屋の姉妹」「千春の婚礼」「とりかえばや診療所」「殿様は色好み」「新しい旅立ち」の5話だ。
まあそれなりに事件があり展開のある話だが、わるく言えば、どうでもいい話ばかりであった。
(面白くないので、紹介しよういう気もあまりわかない。)
もしかしたら新旧併せてのシリーズの中で、私としては一番面白くなかった本かもしれない。
あまり批評ばかり書くのもいやなのでこの辺で筆をおきたい。