「サブタイトルは、開国と大獄で混乱の大江戸―躍る半七」である。
本書収録作品とその事件発生年は以下の通り
●第1話「あま酒売」 安政4年(1857)1月
●第2話「ズウフラ怪談」安政4年(1857)5月
●第3話「広重と川獺」安政5年(1858)1月
●第4話「かむろ蛇」安政5年(1858)8月
●第5話「勘平の死」安政5年(1858)12月
●第6話「帯取の池」安政6年(1859)4月
●第7話「地蔵は踊る」安政6年(1859)8月
●第8話「鷹のゆくえ」安政6年(1859)10月
岡本綺堂は、捕物帳(捕物帖)小説の嚆矢であるが、今回は勿論捕物話もある(多い)のだが、どうも普通の捕物小説と違う探索ものが多い。
どう言えその違いをいい得るだろうか。・・・・上手い指摘方ではないかもしれないが、今回は事件が起きた際、巷での噂さのされ方としては、怪談・奇譚的な事件が多い。
このような事件が、まともに取り扱われるのも(それは半七自身が、この本の著者である記者に語る言葉の中にもあるが)、明治以降には馬鹿にされ見向きもされぬような話、今風にいうなら非科学的で話でも、黒船がやってきた幕末であっても、庶民の中で尤もらしく語られ信じられた時代だからであろう。
ただ奉行所や半七自身はその怪談的事件をそのままでは信じない。信じないだけに巷を騒がせるその事件の真相を突き止め、問題が大きくならないうちに処置しようというまことに尤もな動機による探索・捕物が行われる。
最初の「あま酒売」だけは、九州のある地方に蛇神信仰というものがあり、その家筋の者の熱い視線を浴びるともがき死にすると信じられていた事柄を話題にして、その真偽は最後まで明かされないが、他の話は大体カラクリが半七の探索・捕物によって明らかにされる。
今回も私はまだ本調子でない。
1つ1つの話のあらましを載せ、簡単に説明する気力が沸かない。
収録話の概要がほとんど分からない書き方かもしれないが、大体の雰囲気だけ伝えて紹介文と代えさせて頂く。あしからず。
(この記事は、七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた同タイトルの本を参考に書いています)
←ランキングに参加しています。