by une_genzaburo
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<百字紹介文> 従来見過ごされてきた日本人の独創性について、この巻では、江戸の都市造営の意外な計画性や、士農工商夫々に高かった教育水準、タテ社会をヨコ社会の上に重ねた重層性、さらには文化の重層性等から鋭い指摘を行う。 <詳しい紹介文> 上巻を読んでから少し間が空いてしまった。 私が関わるイベントの仕事やら何やらでバタバタして本を読む時間があまりなかった。 巻末で著者の樋口氏が「本書は、前著が主として日本人の生活科学や、自然対応の独創的な智恵を述べたのに対して、都市造営や教育、社会構造、文化の重層性などについての特色を取り上げた」と述べる。 サブタイトルに「日本人の活力と企画力の秘密」とあるように、今までは見過ごされてきた事実や、勝手な思い込みなどによって誤解され続けてきた事実などにも注目し、鋭い切り口でその‘秘密’に迫っている。 先ほどの文章は次のように続く。 「結局この面でも、日本人には、従来考えられてきたよりはるかに高い、そして従来見落とされたり誤解されているものより、ずっとすぐれた智恵と、独特なものがあることを述べたかった。 しかも、そのいずれもが、長い生活体験と、この国土の自然と生産の必然性の中で育ったものであって、それを育てた日本人の英知を、私らは、自分らの足跡として、いま一度振り返ってみたかったのである。 歴史は流動し、社会は前進するから、そんな過去のものが、今日そのまま、良いとか悪いとかいうものではない。ただこの英知の子孫であり、継承者が、今の私らであることを忘れないようにしたいのと、その中で教えられる必要のあるものは、今の時代にも生かしたいと思うのである。」 (上巻のレビューの時にも書いたが)、昭和50年に書かれた古い本ではあるが、内容的には全く古さを感じさせない。平易明瞭の文章で、現代の日本の歴史家でこれだけ鋭い独創的な指摘をする歴史家は非常に少なくなったのではなかろうか。今もって読みかえされるべき本といえるだろう。 冒頭から著者の巻末の締め括りの言葉を引用し、少し抽象的すぎる内容となったかもしれない。 少し詳しく見ていこう。 第1章「東京顔負け!〝江戸〟の驚異的な都市計画」 江戸には、徳川家康がやってきて城下町を作り始めた頃は(後に江戸の町域となる)朱引き内と言われた地域に2千人ほどしか住んでいなかった。それが江戸時代の中期には世界最大の都市(約80万人)になり、江戸末期には120万人のそれこそ大都市になっていた。 封建社会の中にあって、国民の1割程度が1つの都市に集中するというのは、日本だけの現象だった。それだけに、これは自然発生的な都市ではなく、人工的に計画された計画性をもって造られた都市なのだが、その企図は、現代人でさえ気づかない意外な事実がメリットとして働いていることなど指摘する。 一見不便に思われる螺旋状構造の町、飲料水のための上水、水路、火除けち地(防火帯)の設置・・・色々その秘められた企図や実際に効果を発揮した事実などを例示する。 第2章「日本は江戸時代から〝世界一の教育国〟」 農民などはあまり字を読めず教育水準も低かっただろうという一般的な推測とは異なって、農民らは寺子屋などの普及もあり想像以上に識字率が高かった上に、算術や品種改良などの技術も想像以上に高かったという話などが出てくる。 旗本なども昌平黌の試験を3回落ちると家督を継げなかったなど意外と厳しい制度があったことなど紹介される。 第3章「意外!日本は古来〝ヨコ社会〟が土台だ」 江戸時代は、封建社会だけによくタテ社会といわれるが、実際にはタテに貫かれた支配・被支配関係は制度以外には明確になく、それに対して武士は武士、農民は農民というように職種別にヨコの連帯関係が明確にあったという指摘する。 タテ社会と思い込んできた背景には、5人組の連座制から、悪い側面ばかり強調されてきた傾向があり、実際にはヨコ社会の側面が強かった。タテ割り社会を、ヨコ割の上に重ねた重層的な社会だという。 ここでは日本独特な「スキンシップ」ともいえる共食信仰、祭りでの連帯、支配階級である武士という役人による共済ではなく民衆自らが共済社会を作り上げた事実などからヨコ社会としての日本を具体的に例示する。 第4章「日本の社会は柔軟な〝建て増し〟構造」 日本の食卓ではよく里芋、ニンジン、牛蒡、蓮根などが同じ皿に盛られた煮ものを見かける。著者はそれらについても、材料の由来など1つ1つ調べてみると、南方伝来のものから北方伝来のものまで色々な経路で伝わったものであることが分かり、日本の食は多彩な食文化を貪欲に飲み込んだ重層的なものである事を指摘する。 同様に、建物や人々が信仰する宗教についても、閉鎖的・排他的でなく開かれた(同時代の一貫性さえ見られぬような)あり方で広く受け入れ、試行錯誤の上に日本にあった重そ的な文化を築き上げてきたことなどを指摘する。 兎に角、誰でも理解できる平明な文章でありながら、時代がたっても今だに色褪せぬ鋭い指摘がずいしょに光り、勉強になる本である。 多くの日本人に薦めたい1冊である。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-11-30 16:04
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