<百字紹介文>
夢枕獏氏と彼の仲間達がベネズエラのギアナ高地へ旅したのを契機に書き始められた作品。夢枕獏氏の一夜一話の幻想的な『十五夜物語』に、イラストレーターの寺田克也氏が繊細で豪華な絵を添えたファンタジーです。
<詳しい紹介文>
夢枕獏さんを中心とする友人たちが、2009年9月にベネズエラのギアナ高地に旅行に出かけたという。
その旅行の際、夢枕氏がある日酔っ払って、一緒に同行していた寺田克也氏(イラストレーター・漫画家、映画のキャラクター・デザイン、小説の挿絵など幅広く活躍)を呼び寄せた。
ハードカバーの真っ白な本、業界では束見本(つかみほん)と呼ばれるものを寺田氏に渡して、自分(夢枕獏)は一晩一話の文章を書き連ねるから、君は絵をそこにつけてくれという話をして、この作品が生れることになったようだ。
内容は、叙事詩的な語りで、幻想的な話となっている。
主人公は夢見小僧と呼ばれる若者。幻食坊という男と連れ立っていたようだが、天の境と地の境にあるという宝物をとりに行きたいと言い、幻食坊は無理だと言うが、夢見小僧はそれを押切りその旅に出るという話。
ギアナの高地に似たテーブルマウンテンも話の中に出てくる。
旅先に出てくる登場者は、魔物や獣、森の精霊、河の王、ドラゴン・・・・などの神々?、皆人ならぬ者たちだ。如何にも夢枕氏が好きそうな世界。
文章は、擬古文(といっても普通の現代文を「う」を「ふ」と言ったり古語的読み方を用いているだけ)を交えちょっと詩的な感じ、そして歌うかのようなリズムで、ストーリーは語られる。
悠久の歴史の中で、夢見小僧が、宝物を求めて旅に出るが、多くの者たちと同様、斃れて、神々(?)に讃えられながらも、また悠久の時の流れの中に呑み込まれていく・・・。時が過ぎまた新たな夢見小僧が立ち上がり、同じような試みが何度も何度も繰り返す・・・・という話かな?実は幻想的なストーリーなので、その辺は明確なストーリー展開というか説明はされていない。
はっきり言って、私はストーリーがよく分からなかった。
作者(夢枕獏氏)も、話の辻褄などディテール等は気にしていないのだろう。幻想的な物語を、綺麗な絵を多用して語ってみたかっただけではなかろうか。
私には、詩情というものがあまりないので、こういう作品ははっきり言って苦手である。
ただファンでもある夢枕氏の作品なので、読んでみたのだ。
こういう幻想的な話が好きな方には、絵本といっていいくらい全ページ一杯に絵が描かれている上に、文章のボリュームも少ない。
ラノベが流行る昨今は、こういう本の方が読者に受けるのかもしれない。
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