by une_genzaburo
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2008年「CP対称性の破れの起源の発見」の功績により、南部陽一郎氏、益川英敏氏とともにノーベル物理学賞を受賞した小林誠氏の本である。 この本は、受賞前の1997年に書かれたものである。1973年益川氏とともに発表した「小林・益川理論」で3世代6種類のクォークの存在を予言、その後この本が出されるより3年前の1994年にアメリカのフェルミ国立加速研究所で「トップクォーク」の存在が確認されるに及び、予言は実証され、ノーベル賞受賞の運びとなった。 この本では、勿論受賞理由の「CP対称性の破れ」が、詳しく解説されている。 ここまで書いても、どういう本であるか、「CP対称性の破れ」とは何か、予備知識の無い人はチンプンカンプンだろうから、帯紙の説明なども参考にしながら以下に内容を紹介したい。 1920年代終わりに、量子力学と相対性理論の結合を試みていたイギリス人のP・M・A・ディラックによって、電子と同じ質量を持ち、電荷や電子と反対のプラスの粒子の存在を予言。その後、1932年アンダーソンに陽電子の存在が実験で確認されると、以後他にも色々な反物質が確認された。 反物質は、電荷が逆であることとスピンが逆であることを除けば、ほぼ対等であり、粒子と反粒子が出会うと光を放って消滅(対消滅)することも分った。そして粒子から物質が作られるように、反粒子から反物質も作られる(現に反水素の合成も成功しているそうだ)。 反物質が、物質と接しているところでは爆発的な反応が起きて、反物質は(同量の物質とともに)消えてしまうという。 余談だが、『ダ・ヴィンチ・コード』で有名になったダン・ブラウンの『天使と悪魔』も、ある科学者によって大量に製造された反物質が、テロリストに盗まれ危険な武器として小説展開の中でキーとなっていた。 ここで疑問が生じる。粒子が反粒子と対等であるなら(宇宙誕生の極最初の頃は、粒子・反粒子は同数だったと考えられる)、なぜ宇宙は「物質」だけでできているのか? その有力な答えとなるのが「CP対称性の破れ」といわれる素粒子現象である。 CPのCはCharge(電荷)でPはParity(パリティ)は空間反転(空間の3方向の座標軸に向かって全てについて反転を行う操作。鏡造変換とは違う)のこと。このように書いてもちょっと分らないかもしれないが、詳しいことは本を読んで欲しい。 20世紀初期の頃は、CP対称性の破れも、パリティの敗れもなかったが、1965年2人の中国人科学者ヤンとリーによってパリティの不変の破れの実例を示され、まずパリティの対称性が崩れる。その後、米国プリンストン大学のフィッチとクローにンによって、CP対称性も中世K中間子において破れがあることが発見。 が、一番大きな対称性の破れは、先に述べたこの宇宙が物質だけでできているということだろう。 粒子と反粒子が完全に対等な存在ではないことを、この本ではじっくり説明している。 目次で説明するなら、まず少し長めの序章で全体のあらすじを述べ、以降の章で詳しくのべていく。 第1章「反粒子」で、反粒子発見にいたる経緯を説明し、併せて素粒子の性質に関する基本的な事柄を述べる。ディラック方程式などというシュレディンガー方程式をさらに詳細に(つまり難しく)した数式など出てくるが、著者も言うように完全な理解は要らないと思う。大体どういう事が書かれた式か分ればいいと思う。 実は最近私は、ディラック方程式などを理解しようと「ディラック現代物理学広義」(ちくま学芸文庫)に挑戦したが、全体の1/3ほどで撃沈した。(今回も式の意味は十分に理解できていないが)それでもこちらの『消えた反物質』の方は自分では、かなり理解できているように思っている。 ただし、ディラック方程式など偏微分や指数方程式など数学が得意な人でないと解けない図式は適当に見てもいいが、各種の反応・相互作用などの簡単な図や式は、それぞれの粒子の電荷なども自分なりに代入して、じっくりと意味を理解することをお薦めする。 こんな本で、速読は全く無意味だ。遅読でも正確で着実な理解こそ重要だ。 私が以前2度読んだ『クォーク』(南部陽一郎著・講談社ブルーバックス)がかなり今回理解に役立ったように思う。クォークなどの素粒子の説明は、あの本の方が分りやすかった。(この南部さんの『クォーク』も、こういった事に関心の有る人には是非ともお薦めの本です) 話をこの本の内容に戻す。 第2章は「K中間子とCP対称性の破れの発見」では、その発見に至る歴史と、CP対称性の基本的事項。 第3章「標準理論の相互作用」では、標準理論の相互作用がゲージ理論でどう説明されているかを説明。 第4章「クォークのフレーバーとCP対称性の破れ」 第5章「Bファクトリー」。(Bファクトリーとは、K中間子以外でも、CP対称性の破れの実例は見出されないかということで、期待をもたれている、選択的にB中間子を大量に作るように特別に設計された粒子加速器のこと。) 第6章「宇宙はなぜ物質でできているか」 まずサハロフの3条件(宇宙進化の過程で物質と反物質の間で差が生じるための条件が示され、その後、大統一理論や、バリオン数、ビッグバンなど膨張宇宙論、スファレロン効果などを説明しながら、宇宙が物質でできているその理由を探っていく。 今でもこの理由は解けていない(おそらくもっともっと科学が進歩せねばわからないだろう)。 少し難しいかもしれない。が宇宙の創生とも深く関わり、興味尽きぬ話が満載だ。科学好き、物理好きには、堪えられない面白さに満ち、頑張れば何とか最後まで読める本だと思う。 理系の大学を志す高校生などにも是非とも果敢に挑戦して読んでもらいたい本である。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2011-08-22 20:03
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