このシリーズも、この本で第18集になるらしい。勿論、私は全て読んでいる。一度NHKでも『はんなり菊太郎』という名でドラマ化されたから知っている方も多いと思う。確か主人公・田村菊太郎役は、内藤剛志が演じていた。
このブログでも既に近作6冊を紹介している。
今回の話は、「かたりの絵図」、「暗がりの糸」、「奇妙な賽銭」、「まんまんちゃんあん」、「虹の末期」、「転生の餅」の6話。
下手糞な粗筋で一応、紹介と代えさせていただく。
「かたりの絵図」
ある梅雨の日、菊太郎はお信の店から公事宿「鯉屋」に帰る途中、異様な若い女とすれ違った。傘もささずに雨にずぶ濡れになりながら、足袋裸足のままで歩くのだった。後を追ってみると、案の定、二条城の掘まで来ると女は掘に飛び込んだ。菊太郎は女を助けると、「菊屋」に運び混んだ。事情を聞くと、女はかつては金物問屋していた「菱屋」の一人娘であった。度重なる不幸が続き、困窮していたところを、さらに狩野幸信という絵師に騙され、俵屋宗達の「魚籃観音図」を騙し取られたとのこと。・・・・・
「暗がりの糸」
太物問屋「十八屋」の女主・おまさは、主人宗助が妾との間に作った幼い娘・おゆうをその母が亡くなった後に引きとった。が、彼女に辛く当たり下女同様に扱い、15歳になると奉公に出してしまった。
その後、おまさ・宗助夫婦が店を息子の宗十郎夫婦に譲ると、宗十郎夫婦は、おまさ・宗助を別棟に押しやり、冷遇しているという。
その話を聞きつけたおゆうは、自分に辛く当たった継母だが、宗十郎夫婦の仕打ちを咎め、自分がおまさ・宗助夫婦を養うと交渉。しかし外に出して悪い風聞が広がることを畏れた宗十郎夫婦は容易に渡す気配はない。・・・・・
「奇妙な賽銭」
京の町では最近、夜毎、どこかの貧乏長屋に銭が投げ込まれるという事件が起きていた。町奉行所では、不審に思い、夜の見廻りをしていた。そんなある夜、菊太郎の弟で東町奉行所同心組頭・田村銕太郎の配下・岡田仁兵衛と曲垣染九郎は、笠を被った怪しい小男が犬に吼えられているのを、助けてみると、少年であった。
一応、その場は夜更けに外出していた理由を聞いただけで、家まで送って帰したが、仁兵衛は、その少年が懐に大金を抱えているのに気がついていた。・・・・・
「まんまんちゃんあん」
弥助は、賭場のちょっとした喧嘩で人を傷つけてしまい隠岐に島流しになった過去がある人物だった。根は真面目で、ご赦免後は、真面目に働いていた。が、度々の嫌がらせで何かの職についても直ぐ辞めさせられた。それは西町奉行所の同心市川平十郎が、弥助が職に就くごとに、その職場を訪れ、彼は島帰り、支障はないのかと、告げるからであった。・・・・・
「虹の末期」
紙問屋「巴屋」の一人娘だったおきわは、(両親を亡くし)叔父のもとで錠前直しの修行をする彦太郎と恋仲だった。境遇が大きく違ったが、母親からも認められた仲だった。しかし母親が急死すると、大きく状況が変化。番頭の伊兵衛は、自分押す自分の遠縁にあたる市郎兵衛を婿に薦め、彦太郎との結婚を主張するおきわに対して、奉行所や彦太郎の周囲に金をばら撒き、彦太郎を彼女の前から去らせたのだった。
彼女は、意に沿わない結婚をしたが、その後、店は市郎兵衛が遊蕩に走り潰してしまい、二人は離婚。おきわは、今は昔の奉公人が営む裏店で癌に伏せっていた。・・・・・
「転生への餅」
北野新地の五番町を仕切る吉兵衛一家の息子・吉十郎は、ある日、籠屋の喜助から賭場の借金を取り立てに行った帰りに、石に躓き足首を骨折する。近くに住む貧乏長屋の子供らの助力で彼らの家の1つに寝かされ、骨医者まで呼んで診てもらう。吉十郎は養生しながら長屋の人々の明るくて優しい心に触れて、自分は遊郭を仕切るようなヤクザな仕事は向かないと思い、子供の頃なりたかった根付師になる夢を思い出す。・・・・
(この記事は、七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた本をもとに書いています)
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