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著者山折氏は、日本で宗教改革行われたのは、定説の鎌倉時代ではないという。鎌倉時代は確かに、法然、親鸞、日蓮、道元、一遍と多くの宗祖が現われが、真の意味で宗教改革が行われたのは、蓮如から織田信長の100年ほどの間だという。 そして蓮如と信長が、その中心の宗教改革者であり、その二人で一人の双面神(ヤヌス)となっているという。 これだけ読むと、変ったことをいうなあと思う人もいるかもしれない。他にも定説や私たちが常識と思い込んでいる話とは異なる話が随所に出てくるが、それぞれが非常に緻密で巧みな論法で組み立てられ、その都度成程と感心させられた。 我家は真宗門徒だが、この本で述べられているような『無量寿経』の内容も『観無量寿経』の違いも今まで全然知らなかった。また親鸞の『教行心証』の思想と親鸞の言葉を唯円の『歎異抄』(唯円以外の弟子という説もある)の思想、さらには蓮如の思想の間に大きな隔たりがあるという指摘は思いもかけない事柄であった。 今から30年近く前、私は精神分析学者・小此木啓吾氏の本に嵌(はま)り色々読んだ。その中の何冊かでは、北インドのマガタ国の王・アジャセ(阿闍世)の父殺しの話から小此木氏が命名した阿闍世コンプレックスで分析した日本人と、エディプス・コンプレックス(フロイトが命名。阿闍世と同様に父殺しをした上に母と結婚したエディプス(又はオイディプス)王を描いたギリシャ神話に由来する)で説明できる欧米人などと比較して、日本文化の特徴が非常に上手く述べられていた。 そのアジャセの話が、『観無量寿経』に描かれているという。それに対して『無量寿経』の方は阿弥陀如来が、全ての衆生を成仏させるまでは、自分は決して成仏しないという誓いを立てたというという事が述べられているという。 親鸞の主著『教行心証』の中には、父親殺しと悪人成仏のテーマが集中的に論じられているという。父親を殺す可能性のある人間の悪や罪を問題としているのではなく、気がついた時、既に人を殺してしまった人間の、罪に慄(おのの)く人間が、成仏できるかを、親鸞は思考実験を試みたものだという。さらにこの本は、国家非難・天皇非難の書でもあるという。 山折氏は、『歎異抄』の中では、父親殺しというリアリティがすっぽり抜け落ち、抽象化された悪人論となっているという。 私も真宗門徒だ。『歎異抄』を何度か読んだことがあるし、『教行心証』についても解説した記述を何度か読んだことがある。私は深く考察せずに2つの本は、補いあうような関係の本かなーと思っていただけに、指摘されるまで全く思いかけない話だった。 さらには蓮如も、親鸞が持ち出した「悪人往生」のテーマは危険の書とみなし、蓮如は対蹠的に「恩」の重圧感を強調した「仏恩報謝」「仏恩報尽」という「恩」の大衆化と世俗化を行ったと山折氏は言う。 この本のタイトルに出てくるもう一人・信長についても斬新な考えが示される。信長というと、比叡山の焼討ち、石山合戦など一向衆との戦い、高野聖の大量殺害など、仏教の破壊者というイメージが強い。 しかし山折氏は、今日の平均的な日本人の精神の方向付けをしたのは、法然や親鸞、道元や日蓮ではなく、そのような意味づけにおける「宗教改革者」を他に求めるなら、ただ一人織田信長をおいて他に見出し難いのではないかと主張する。 一見突拍子も無い意見のようだが、読んでいくうちにその鋭さに頷かざるを得なくなる。 また山本七平氏の『日本教徒』やルース・ベネディクト『菊と刀』、今ではあまり読まれることもなくなった書を、あらためて見直し、再評価している。私も両書とも相当昔に読んだ記憶はある。ただし『菊と刀』は多少印象はあるが、『日本教徒』は残念ながら殆ど記憶していない。 何よりも面白かったのは、日本思想の中核に潜んでいる観念「恩」の話だった。親鸞が日本人の中で初めて体当たり的に「罪」という問題に迫ったのに、蓮如で軌道修正され、「恩」を中心とした観念、「恩」という債権なき債務の無限追及という道徳が築かれていったという話である。 最近、私は一向一揆の時代を活写した真継伸彦の『鮫』及びその続編『無明』を読んだ。蓮如の北陸における吉崎御坊活動と、冨樫正親の吉崎急襲以後の親鸞の方針転換の様子が描かれている。この本の中でも、蓮如はあの時、教線拡大を前面に出した方針の失敗を悟り、京へ逃げ帰る話が出てくる。 山折氏の説明によると、蓮如はそれ以来「王法をば額にあてよ、仏法をば内心に深く蓄えよ」という王法と仏法の棲み分け論、蓮如神学による「二重基準」を設け、信長の出現を予想したかのような、政教分離による生き残りを画したという。 後に一向一揆は激しさを持ち、顕如の時代、信長と熾烈な戦いを演じるわけだが、最終的には顕如の側の降参と石山本願寺の明渡しとなる。真宗自体は滅ぼされることもなく、信長の側では、抵抗の拠点さえ破壊すればいいとなり、蓮如の遠謀も効いて真宗は生き残る。 色々書いているうちに、自己に課している制限字数を既に超えてしてしまった。まだまだ紹介したい事が色々あるが、私の能力では、コンパクトに上手く纏めることはできない。ただ読み疲れる凡長な文章が続くだけだ。 宗教哲学者が書いただけに薦めても敬遠するかもしれない。多少難しい点もあるのは確かだが、私としては、兎に角、最初から最後まで惹き付けられっぱなしの面白い本だった。 お薦めの1冊です。 【参 考】 Amazon.co.jpのこの本に関する紹介文を下に転記する。 「応仁の乱以降の一世紀余は、それまでの秩序が崩壊していった時代だった。蓮如と信長、片や宗教家、片や軍事政治家で、同時代者ともいえぬ二人によって、日本人の新しい宗教意識が形づくられていく過程を追う。」(「MARC」データベースより) 「小説家の創造力をあざ笑うように起きる数々の奇っ怪な事件。自浄作用を全く失ってしまった政財官の腐敗。本来、安らぎの場であるにもかかわらず、もはやその役目を果たさなくなってしまった家庭……。外国に例を見ることのない日本人固有の勤勉さや倫理観は、いったいどこに消えたのだろうか。そして、これからの日本と日本人は、どこに向かって歩もうとしているのだろうか。その方向性を探る一つの手だては、歴史を見つめ直すことにある。 本書は日本人の宗教観、精神構造研究の第一人者として活躍する著者が、貴族的価値に支配された古い日本を壊した蓮如と、現代につながる新しい日本を創造した人物として信長を取り上げ、日本史を画した二人の思想と行動を通して、現代という時代を見定めることに挑んだ歴史評論である。 構造改革が叫ばれるいま、日本人の意識が変わらぬことには掛け声」(文庫版の方の「BOOK」データベースより) ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2010-03-02 07:57
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