by une_genzaburo
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実は、この本は正月明けから、今年一番最初に読み出した本である。1頁あたりの字数が少し多いのと、『一遍上人語録』や『一遍上人絵詞伝』など古書を引用するにあたって、ほとんど翻訳らしいものは用いず、原文そのまま引用されている箇所が多いなど、少し読み辛い点があったので、少々日数を多めに費やしてしまった。 しかし内容は、読んでいて非常にいい本だと感じた。途中で断念するのは惜しいと思い、焦らず他の本の読書と並行して読み進めた。今日も暇をみつけて読書し、先ほどやっと読了することが出来た。 一遍には、私は以前から興味は抱いていた。我家の宗旨は、浄土真宗である。つまり同じ浄土教から出た一派である。一遍は、13歳の時(建長3年(1251))、当時九州にいた澄空に入門している。法脈という観点から見れば、澄空は、浄土宗の開祖・源空(法然)の弟子で、西山派の祖である。つまり一遍は、法然上人の孫弟子だ。彼が開いた時宗は、踊念仏で有名な宗派なことなども多くの方が知っていよう。 興味を抱いた主な理由は2つ。 1つは、そのように宗派は違えど同じ阿弥陀如来を信ずる宗派の開祖ということ。もう1つは、私はどうもこういう遊行者、巡礼者、漂泊の人、(全国の霊場を修験して周る)修験者というのが好きで、何故かしら心惹かれるからだ。一遍以外にも、空也、一休、円空・・・など。 読む前は、一遍は西行と似た感じの人かなと思った。先月『人間西行』という本を読んだ。西行は、一遍より120年ほど前に生れた人だが、一遍と同じく武家出身で(西行は北面の武士)、当時の武士の中でも際立って秀でた力量の武者であったが、源平の争乱の少し前に出家し、全国を漂白して歌を詠んだ人である。 一遍の家も、伊予の水軍で知られた豪族・河野氏の出であった。幼名を松寿丸、俗名を河野通尚といった。この河野氏は、源平の争乱の時は、源氏方について、瀬戸内海に河野水軍の有名を馳せた。が、承久の乱の時、北条に反して後鳥羽上皇方についたので、朝廷方の惨敗で、家領はほとんど失った。一遍が生まれた時には、辛うじて断絶を免れていた状態であった。ちなみに少しづつ勢力を回復していた河野氏は、蒙古襲来の時、河野通有のもと、功を挙げ、以後再度大きく飛躍している。 西行と比較してみると、似ている面も多いが、一遍の方がやはり、悟りを求めての純粋に宗教的遊行という感じで、ちょっと違うという気がした。 彼を慕って、超一という女性など多くの女性などが付き従う(女性だけでなく老若男女沢山の人々が彼に付き従ったが)点は、何か一休禅師の森女との同行を想起させた。 この本は、何枚も『一遍上人絵詞伝』の絵のコピーを挿入しながら(大方は白黒だが、何枚かはカラー)、彼の巡歴を辿り、旅の思索者としての彼の人となりを描いた本である。小説ではない。伝記、歴史人物評伝といった方がよいかと思う。 読んでみると、彼の信仰の思想的背景は非常に多様であった事がわかる。法脈的には、先ほど述べたように法然の孫弟子で阿弥陀如来の救いによる極楽往生を主旨とする浄土教の一派だが、一遍は、修験道、禅宗、日蓮の法華宗などにも親近感を抱いていたらしい。行く先々のクグツのような舞踊など旅芸人とも親しくなったようだ。 この時代、日蓮は浄土宗、浄土真宗、曹洞宗や臨済宗といった他宗を法敵として非難していたが、一遍は同じ浄土系の宗派より日蓮宗に親しみを感じたらしい。そして日蓮と同じ様に(真似て)、鎌倉での説法を目指し鎌倉入りをしようとするが、失敗などという経験もする。 遊行を始めた頃は、随行者も少なく、最初の京都や鎌倉入りは失敗するが、踊り念仏が行われるようになると、彼のまわりに多くの者が集うようになった。随行する者が増えると、名は全国に広まり、2度目の京都入りなど大成功(1度目は失敗)を収めたりする。いわば当時の超有名人である。行く先々の地で結縁を求められ札をわたした。 後に隆盛する浄土真宗は、その頃は振るっていない。真宗が飛躍したのは蓮如が出てから、応仁の乱以後くらいからだ。それに比べこの頃の、一遍上人を敬仰し踊念仏をする人々は、今では信じられないくらい多数が従った。 一遍上人死後衰退、弟子らの努力で時宗として宗派の体を成すが、やがて再度衰退し、衆徒らは浄土真宗の専修寺派や本願寺派など同じく6字名号(南無阿弥陀仏)を称える宗派にほとんど吸収されてしまっている。 この本では、第14章「念は出離の障りなり」などで、南無阿弥陀仏を称名する宗派である、「浄土宗、浄土真宗、時宗の3派の違い」や「念仏とは何か」をとても上手く説明している。 もう字数をかなり使っているので、これ以上詳細は述べないが、大変勉強になった。あまりにも上手い説明なので、読んでいて、時宗の念仏が「信、不信を選ばず」と念仏の際の信仰の深さを求めないだけに、かえって時宗の「念声一体」の念仏の方が、純粋な信仰のあり方なのではなかろうかと思ってしまった。浄土真宗門徒としてはマズイかな。 今後も、折りにつけ、参考にしていきたい本である。お薦めの一冊です。 ←ランキングに参加しています (参 考) Amazon.co.jpの本の紹介文を参考のために下に転記する。 「河野水軍の血を享けた偉丈夫、一遍智真は、愛と憎しみの底知れぬ苦悩の果てに、わが身を捨て、捨てる心をさえ捨てて、諸国漂泊へと旅立った…。国宝絵巻『一遍聖絵』に描かれた足跡を各地にたどり、肌身で感得する遊行の心。信・不信をえらばず浄・不浄をきらわず、ひたすら念仏流布の旅に生きて死んだ男の、足音に耳をすまし、生身の人間像に肉薄する。芸術選奨文部大臣賞受賞。 」(「BOOK」データベースより)
by une_genzaburo
| 2010-01-28 13:30
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