しゃばけシリーズ第8弾、最新作である。当シリーズの既刊は、確か全てこのブログで紹介している。また、しゃばけシリーズ以外の畠中さんの作品も、『アイスクリンつよし』以外はほとんど紹介している。よろしかったら右側のメニューにある当ブログ内の検索機能(または当記事の最下位のタグ)を利用して、確かめてみてはいかが。
今回は、第1話「はじめての」、第2話「ほねぬすびと」、第3話「ころころろ」、第4話「けじあり」、第5話「物語のつづき」の5話からなる。
キャラクター説明は、以前何度かしているので、ここでは詳しく書かない。
粗筋を書く。
第1話「はじめての」
主人公の廻船問屋兼薬種問屋長崎屋の跡取り息子・一太郎が12歳の時の話である。
ある日、一太郎と馴染みの岡っ引・日限(ひぎり)の親分が、お沙衣(さい)さんという一太郎より3つ年上の女性を、彼が寝ていた離れの部屋に連れてきた。
彼女の母親・おたつは、目の具合が悪く、古田昌玄という目医者に掛っているが、なかなか直らない。そんな時、その医者のある妙な噂が聞こえてきたという。噂の内容はこうである。
その医者は、目を患うのは生目八幡宮の主神・品陀和気命(ほんだわけのみこと)のご機嫌を害したからだと言う。先年、出世稲荷の側にあった生目社がやけてしまった。自分は生目社を元の場所に建て直したい。 再建するには、品陀和気命だけでなく土地の産土神にも礼を尽くす必用がある。
そのため品陀和気命と産土神を同じ場所に祀る必要があり、並みの地鎮祭では駄目で、鎮壇具というものを地に埋める必要がある。それは金、銀、真珠、水晶、琥珀、瑠璃、瑪瑙の七宝。昌玄は目を病む患者達にその七宝の奉納を求めているという。
ところで、お沙衣は、非常に器量よしで、お沙衣には幾つもの縁談が舞い込んでいた。おたつはそんな娘と添いたい者は、件(くだん)の七宝を結納の品に加えるようにとの条件を仲人に申しているという。
お沙衣は、そんな金で計るやり方は納得がいかないと言い、七宝は自分で集めると言い出した。彼女の長屋を縄張りとする日限の親分は、それは無茶だと何度も説得したが、聞き入れられないので、知恵のある一太郎に相談するため、お沙衣を連れてきたという・・…
第2話「ほめぬすびと」
第1話から数年経ち前髪もとれた一太郎は、ある日、起きると、目から光が奪われていた(目が見えなくなっていた)。大金持ちで彼にはとりわけ甘い両親のもと、超虚弱体質のため年中寝かし付けられている彼だけに、長崎屋は大騒ぎになる。
医者にも来てもらい診てもらうが、目を患った訳でもないらしい。手代の仁吉と佐助は、その原因を調べようとあちこちまわっていた。そんな時、5万石の西国大名・久居藩から、幕閣に贈る一夜干しの干物の運送してほしいという依頼が舞い込んだ。その運送は、これまでに二度試みたが、時間がかかり腐ってしまい失敗したという。主人・藤兵衛は、危険なものを感じたが、使いの武士に土下座され引き受けてしまう・…。
第2話以降は、最終話まで、光を失った一太郎の目を何とか元の見える目に戻そうと、彼の周囲の者たちが、あちこち駆け回ることになる。第2話の終わりの方で、一太郎の目が見えなくなった原因には、どうやら生目神が関わっているらしいことがわかる。
第3話では仁吉が、第4話では佐助が、時には危険を賭して、一太郎の為に働く。
そして第5話では、まだるっこしい捜索はやめ、生目神そのものを、神用捕り罠で捕まえて、一太郎の目に光を戻してくれるよう交渉するという話。意外な交渉条件が持ち出され、一太郎&妖達と生目神が対決することになる。
今回は、長崎屋の面々やそこに棲む妖以外は、今までよく登場したキャラクターは、ほとんど登場しなかった。例外は、上野広徳寺の住職・寛朝(かんちょう:妖が見える)と、幼馴染の菓子職人・栄吉(ただしほんのちょっと登場)だけではなかろうか。
新たに登場したキャラクターでは、五徳猫、河童、ろくろっ首、骨傘、妖が見える万太、飾り職人の熊吉、お沙衣さん、生目神(品陀和気命)等々がいる。今回限りのもいるかもしれないが、私の予想では、今後もこの中の数名は又登場してくるのではなかろうか。
妖を取扱った本だが、京極夏彦氏など他の妖を扱った本とは全く違った、毎回、愛嬌たっぷりの妖が活躍し、ファンタスティックで、愉快で、人情味溢れる時代小説となっています。
しゃばけファンOR畠中恵ファン必読の本です。
(この記事は七尾市立田鶴浜図書館から借りてきた本を参考に書いています)
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