by une_genzaburo
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ノーベル賞受賞者が日本人(うち南部氏は日本出身だがアメリカ国籍)の中から4人も出て、暗い世相に明るい話題を提供してくれたあの日々からもう9か月ほど経つ。あと3ヶ月ほどたてば、今度は今年度のノーベル賞の発表が行われる。今年はどうだろうか?そう簡単に連年受賞者を出すという訳にはいかないだろう。 私は、このブログを始めるかなり以前から、ノーベル賞受賞者の本を出来るだけ読むように務めてきた。契機は20代の会社時代の頃。その頃群馬県太田市にいたが、そこの図書館に(日本人に限らず過去全ての)ノーベル賞受賞者の受賞記念講演やその業績を記した本が揃えてあった。全部読んでやろうと、休みの日など何度も通って読んだが、結局全体のほんの1,2割位まで読んだところで、転勤となってしまい、その取組みは終わってしまった。 しかしそれ以降も、日本人の科学系のノーベル受賞者の本は、できるだけ読むように務めてきた。このブログでも幾つかの本を紹介している。 下村脩氏は、2008年度のノーベル化学賞を受賞した。受賞の対象は、緑色の蛍光タンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)の発見である。共同受賞者のロジャー・チェン氏、マーティン・チェルフィー氏とともに、現代の生命科学などにおいて欠かせない存在となった蛍光タンパク質の先駆者として受賞している。ノーベル賞は、応用や成果より、一番最初にある分野の発展の端緒となる発見をした事が選考の重要な鍵となる。下村氏は、共同受賞者の2名よりも、遥かに早く先行してGFPなど発見しているのだから、今回の対象の中では一番の中心人物といえるのではないか。 下村氏は、戦時中長崎県諫早の(旧制)中学で原爆を遠望した体験を持つ。その後2年間混乱の中で浪人し、3年目に長崎大学付属薬学専門部に入学。同校卒業後に同大学薬学部の安永俊五教授の助手として4年間勤務。その後、内地留学で名古屋大学の平田義正教授のもとにゆく。 そこでウミホタルからルシフェリンという化合物を精製して結晶にするよういわれ、その研究にうちこむ。ウミホタルの青い光は、ルシフェリンという発光化合物が、ルシフェラーゼという酵素との反応により発光することまではわかっていた。しかし海外では長年ルシフェリン精製に努力してきたが、その頃はまだ完全には出来ないでいた。下村氏は思いつく考えを色々試したりして、何度も何度も失敗を繰り返しながらも、実験を続けた。 そして1956年のある日、思いがけないことから、それまで誰も成し遂げられなかったルシフェリンの精製に成功する。 その功績が評価されたのだろう、ルシフェリンを下村氏より早く研究していたプリンストン大学のフランク・ジョンソン教授から下村氏は招かれ、渡米。そこでオワンクラゲの発光の研究をする。そのクラゲの発行器は、傘の縁にあるのだが、毎日大量のクラゲを収穫し、その発光器のあるリングの部分を切り取って、そこからルシフェリンルルシフェラーゼを抽出しようとした。当時は、発光物質は皆ルシフェリンだと思われていたようだ。しかしいくら抽出しようと思っても、ルシフェリンは抽出できなかった。 下村氏はジョンソン教授に、オワンクラゲからのルシフェリンとルシフェラーゼの抽出をやめて、とにかく光る物質を抽出しようと提案。受けいられずに、一人同じ研究室で違う実験を始める。色々な抽出方法を考案して試すがうまくいかない。10日ほどしてからは、ボートで漕ぎ出して海の上に一人きりになりで実験方法などを色々考え続けた。 そしてある日ひらめく。生物の発光はたぶん、タンパク質が関係している。ならば酸性度が関係するだろうと想像、pHの違う種々の緩衝液を作り、抽出を試みた。pH7~pH5、あでは発光し、pH4では発光しなかった(発光する状態では、発光物質は抽出できない)。よってpH4で抽出を試みたところ、成功、以後抽出し続けた発光物質を精製し、それにイクオリンと命名した。 このイクオリンは、微量のカルシウムイオンと反応した。そしこのイクオリンの精製の際、下村氏は緑の蛍光(蛍光とは、光などのエネルギーを受けて光を放つ性質のこと)を放つ物質も微量発見し、それを精製した。実はそれがGFPだった。 その後、下村氏は一時帰国し、名古屋大学の助教授をするが、ここでは良い仕事はできぬと再渡米し、プリンストン大学に戻る。そこで青色に発光するイクオリンのメカニズムを研究。イクオリンの発光団がセレンテラジンという化合物質であることを突き止める。 またそれまでに少しづつためてきた緑色の蛍光物質(GFP)の発色団も調べた。その結果ルシフェリンの時に得た合成スペクトルと殆ど同じスペクトルを持つ発色団を突きとめる。 普通の蛍光タンパク質は、タンパク質に蛍光物質が結合したもので、2つの物質から出来ていたが、その蛍光物質は違っていた。タンパク質自身の中に蛍光発色団が組み込まれていた。この発見は1979年の時のことで、重要性からみたらこちらがGFPの本当の発見といえた。 その後、この発見が契機になって、1994年にはマーティン・チャルフィー氏がGFPをGFPを生きた生物中に発言させることに成功、またロジャー・チェン氏はGFPに色々な改良を加えて様々な色の蛍光を出す蛍光タンパク質を作り出した。これらの成果が、生物化学、医療など様々な分野で活かされ、現在では蛍光タンパク質はそういった分野の研究に欠かせないものとなった。 この本の前半は、日本で行われた下村氏のノーベル化学賞受賞記念の講演『天の導くままに-発光生物と半世紀』が収められ、受賞直後朝日新聞が行った下村氏との国際電話による座談会、下村氏の業績を何人かの科学者がデモンストレーションしてみせたものもある。また科学者や水族館館長などが下村氏の業績に関係する分野の話題を述べ、その後の発光物質、蛍光物質の研究や応用の進展などが、下村氏を交え、座談会のような形で行われたものも収録されている。 下村氏の詳しい業績を知るのは、不十分な本かもしれないが、彼の概略の業績とその人柄を知るにはいい本だと思う。内容的には、中高生でも十分な内容だと思う。これから大学の理系学部に進もうと思っているような若者には、いや科学を敬遠している若者にも是非とも読んでもらいたい一冊である。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-08-04 21:14
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