by une_genzaburo
カテゴリ
全体 読書 本に関する備忘録 源さんの書評 書評(blog作成前のもの) 独習記録 児童文学・絵本など お薦めの漫画 本に関する話題など 能登関係その他話題 ご挨拶 仕事(稼業)関係の勉強用書籍 最近のマイブーム 源さんの書評(↓別サイト)
以前の記事
2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 07月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 ブログパーツ
ブログジャンル
検索
タグ
時代小説(222)
歴史小説(206) 文庫(73) 新書(65) 仏教(45) エッセイ(42) 澤田ふじ子(39) 佐藤雅美(35) 物理学(35) 風野真知雄(25) 短編集(25) ノーベル賞(25) 陰陽師(23) 入門書(23) 小説(22) 畠中恵(21) 諸田玲子(20) 伝記(20) 科学(19) 北方謙三(18) 記事ランキング
フォロー中のブログ
石川県七尾市情報局【NA... のとツーリズム Blog GITE DE NOTO 読書日誌 積ん読帳 おれって ひるねずき* 読書中心生活宣言 【大江山 若女将聖子の酒... 能登・七尾 芝居小屋再生... 抹茶挽き体験処「お茶の北島屋」 食のモール「食品倶」しょ... 輪島工房長屋 おおのみ悠々 一日一笑でいこう 近八の古書徒然日記(旧) ほんやさんの穴 七尾 三商店街 波物語 ... 猫だっていろいろ考えてい... 夢ワイン 九谷焼の北山堂 店長日記 ふぅちゃんちのゆる写真 masao's siesta 能登ミルクブログ 3Shot*Style ガラスまが玉ya まる宅。 noba-tのちょっとひと言 なんとなく、な日々。 のとスノーケリング研究会... 古民家レストラン『典座』... 2006 The19th... 早稲田古本村ブログ 見習い整備部長 石川県のダンボール製造販... 民宿「深三」 輪島移... Digiphoto De Ai ひろしとセツコ 百姓だより 七尾市倫理法人会メルマガ... まいぞきゃー。たべてみて... 居酒屋『熊さん亭』店主の日記 あずぅま荘 虹色スタッフのつぶやき 能登ノート 【のと珠姫 ノトマメヒメ... 塗師屋の女将えつこ BOOKRIUM 本と陶... カリフォルニアの青い空 豆腐屋三代目 海洋灯(まりんらんぷ)通信 輪島の土蔵修復活動 Hometown Res... mimicafeの窓から... 神野正博のよもやま話 タウン誌「深川」日誌 能登西部バス 写真資料館 能登町百景 こちら、ゴルフショップオ... のと女の会 和倉温泉・お宿すず花のブログ 黄昏オバサンとワンコ 気が付けば ”人生の扉” ヤマガタ発! maruya 最新のトラックバック
ライフログ
その他のジャンル
ファン
画像一覧
|
<百字紹介文> 小田原城攻防戦の最中、無名の小さな支城に過ぎなかった忍城が、石田三成を主将とする20倍以上の寄手の軍と40日近く戦いながら、小田原城や約百以上もある他の城が落ちても落城する事がなく守り抜くという話だ。 <詳しい紹介文> 同じ忍城攻防戦を描いた 『のぼうの城』(和田竜著・小学館)を読んでから10日ほどだ。 小田原城攻防戦の最中、名も知られていない小さな支城に過ぎなかった忍城が、石田三成を主将とする20倍以上の寄手の軍と40日近く戦いながら、小田原城や約百以上あった他の城が落ちても落城することがなく意気軒昂に守り抜くという話だ。 短い間を空け読んだのが、読み比べに良かったようだ。これが連続して読んだのならまた違った感じをもったかもしれない。 同じ攻防戦を描いたものであるのに『のぼうの城』とはかなり内容が異なっていた。全体の概略の流れとしては、ほぼ同じと言えるが、細かな点はかなり違っていたように思う。 『のぼうの城』では、忍城主・成田氏長は、小田原城へ出かける前に既に豊臣方に通じていて、留守方に攻められたら開城するよう密に申し伝えて出て行くが、この本ではそういう話にはなっていない。 『のぼうの城』では忍城攻める前に、石田三成が遠征した館林城は、三成が攻める前に城方が開城しているが、この本では本丸近くまで攻めて降伏勧告を行い3日で開城したことになっている。 『のぼうの城』では長束正家が降伏の使者として忍城に出かけた際、虎の威を借りるような傲慢な態度なので、開城方針から一転籠城という話になっているが、この本では、そういうことは書かれていない。 忍城の武将として、正木丹波守はどちらにも出てくるのは同じだ。が、柴崎和泉守の扱いが違う。『のぼうの城』では、守方で大活躍するが、こちらの本では戦いが始まる前までは、柴田は積極策を唱えていたが、いざ戦うということが決まると、石田方が寄せてくる前に城を逃げ出してしまう卑怯な男として出てくる。 『のぼうの城』の方では、主人公・成田長親は、‘のぼう’とあだな名されていたように画かれているが、こちらの本は、そんな名は一度も登場しない。 『のぼうの城』の主人公は何かボーっとした馬鹿面をした風貌で描かれ、指揮さえも碌にとらないが、『水の城』は、掴み所が無いような性格は『のぼうの城』と似ているが、言動などからはそれなりの守城の指揮者の姿が見える。 数え上げればきりがない。違う小説なのだから当たり前だ。またそれぞれの人物の行動なども違うのは、この合戦の戦記や史料は実のところ残っていないのではなかろうか。それが小説、つまり創作物としてなるにあたって作家の描き方がかなり変わってしまったのだろう。 小田原城に籠城していた忍城主・成田氏長が、秀吉方に通じたのはおそらく事実なのだろう。それが何時なのかは、忍城があれだけ抵抗しただけに、後世において時期を特定するのは困難なのだろうと思う。 ストーリー展開としては、『のぼうの城』の方が、成田長親、甲斐姫、石田三成、長束正家などの性格を、(かなりデフォルメ的技法かもしれないが)際立たせて、具体的な合戦などにもそれを反映したような場面を盛り込み、うまく描ききっていたと思う。 こちらの『水の城』はそれと比較すると、小説だからある程度フィクションがあってもいいのだが、『のぼうの城』と較べると、何か縛られていて自由度が少ない気がした。逆な言い方をすると、歴史的に知られている事実などは、『水の城』の方が比較的忠実なのかなという気がする。これはあくまで私の想像だ。間違っていたら勘弁願いたい。 二つの作品を読み較べをしたお陰で、成田長親という人物により近づけた感じがする。どちらの本にも共通する性格・人物評は、正直者で嘘をつくことが出来ない。嘘をつこうとしても表情に出る。よって秘密など作らず、普通なら敵方に知れると拙いと思うような情報でも何も隠さずオープンにしてしまう。また武芸に秀でたという武将でもなく、むしろ穏やかな人物だということだ。農民などを引き入れての籠城戦では、このような大将の方がいいのかもしれない。 かつての味方で開城の使者・松岡石見が、長親が大軍に囲まれつつ、城平を纏め上げたやり方を主人公・成田長親に訪ねるシーンがある。 彼は次のように答える。 「わたしが常々心掛けたのは1つのことだけだった。」「それは、いつも城の皆の衆に顔を見せているということだけだった。わしの顔がゆとりの窺える表情であったなら、城の者も安心できるであろう。逆に不安が現れていたなら、城の者に動揺が広がるであろう。幸か不幸か、わしは気持ちが正直に顔に出るらしい。だから、すぐに城の者に見破られてしまうだろうが、それも覚悟の上で、とにかく顔を、衆目にさらすように心掛けた。実際、気をつけたのはそれくらいのものだ」 『のぼうの城』では、長親は、戦いが始まる前に、恐れからくる震えさえも隠さず見せている。本当にそういう人だったのだろう。そういうオープンな度量の大きな性格が、家中の者のみならず、城内に入った農民らの心までもとらえ1つに纏めたのだと思う。 巻末の解説で、この忍城の攻防戦では、忍城も重要な登場人物の一人であると擬人的に述べられている。確かにそうである。だがやはり主人公は何といっても成田長親だろう。 現代でも、このような大度なリーダーは稀少だと思う。危機ともいえる困難な時代がやってきたら見直されるのかもしれない。 ちょっと『のぼうの城』と比較して、こちらの評価を下げて書いた傾向があるが、小説としてはかなり出来のいい小説である。多くの人に読んでもらいたい一冊である。 ←ランキングに参加しています
by une_genzaburo
| 2009-06-13 10:40
| 読書
|
ファン申請 |
||