『読書進化論』(勝間和代著・小学館新書)を読了した
副題は、「人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか。」
この副題の問いにYes or Noで簡潔で答えるなら、前半はYes、後半はNoということになろう。
タイトルからすると、読書の読み方を如何に進化させるかといったノウハウ本かと思うかもしれないが(私もそう考え買ったが)、意味は少し違うようだ。
著者は巻末で「本は、自己表現の場としても、勉強の手段としても、自己を高める方法としても、あるいはビジネスチャンスとしても、さまざまな可能性を秘めています。」と述べる。つまりこの本では、単に読書をしてより良き人生を送るとか、自己啓発し能力を伸ばすといういこ事だけではなく、「ぜひ、将来は本を書いて、みなさんのその経験を後進の皆さんに還元することを一つの目標に置いてみてください。本は、あなたの人生を豊かにし、あなたを進化させます。」と言うのが最終的な目標かつ主題の本のようだ。
私は、1,2年前から勝間和代という名は書店で飽きるぐらい目にしてきたが、著書を読むのは今回が初めてである。あまりビジネス本や報酬目当ての自己啓発本は好きではないからだ。それにノウハウ的な本もあまり好きではない。捻くれた性格なのだ。
著者も書いているが、私のような読書人は、この本のファン層とは大分異色の読者層に入るのだろう。著者自身は、今後そういう読者層もどういう風に取込むか考えているようだが、私自身その新たな網に引っかかったのかしれぬ。(苦笑)
でも著者の読書というものに対する考え方もほぼ同じだし、本の選び方、本の活かし方なども非常に似ている。尤も私はまだ本を著して出版するところまで至っておらず、著者が述べる進化の初期段階であるが。(再度、苦笑)
以下幾つか共感できたところ、成る程と感心したような箇所を転記する。
「ウェブの検索と読書は相互補完的なものです。私は、ネットは主にコミュニケーションのために使い、コンテンツの体系だった獲得については本を使います。」・…私も同様。
「「ある本を買う」と決めているときには、ネット書店はとても便利なのですが、「買おうかどうしようか迷っている」という時は、リアル書店でチェックをするという「場合分け」が必要です。」…これまた全く同感だが、私が住む能登では、充実した本屋が少なくこのような対応をするにはなかなか難しい状況である。
「本を出すということはプライベートな人材から、パブリックな人材になるということです。」…確かにそうだ。成れる者なら私も成りたいが、まだまだ修行が足りん。
「本を読むことは著者の体験を、読者が疑似体験すること。」…この辺は以前から重々承知。「人間はうまくできていて、人の体験なのか、自分の体験なのか、情報として手に入れると混ざってしまう傾向があります。結果、人の体験でも、読書により自分が体験したような意識になるので、そこからアイディアも出てくるし、自分から動けるようになります。人に体験を聞く、ということは勿論有効ですが、その方法ではアクセスできる人の範囲に限りがあります。ところが本は、読むだけで、いろいろな人にアクセスできるのです。」…常々私自身感じていることを非常に上手く説明した読書の効能論だと思う。
「いつも取材で困るのが、「目から鱗の本」や「あなたの人生を変えた本」を教えてください、と尋ねられることです。しかし、実際のところは、5冊、10冊、20冊、430冊と読んで、少しずつ変わっていくほうが現実的なのではないでしょうか。もちろん、ある本を読んで目から鱗が落ちるということはありますが、その地盤がある程度できていた上での、きっかけになっただけにすぎないのではと思ってます。」・…これまた全く同感だが、著者がこのように述べるのは意外で、誠実な弁だと思う。
著者は「「読んでおしまいにしない」が究極の技術」だと言い、読者として更なる進化のために、ブログやメールを書くことを勧めている。「少しづつでいいから、自分が考えていること、経験したことを他者に文字の形で見せて、そのフィードバックを得ながら、自分の経験を文字に、文字からまた他人とのコミュニケーションを持ち、さらびその経験を進化させ、というループを作る必要があります。」…まさに私がブログを書いていて思うことだ。私は他にも新聞の投稿欄によく投書するが、例えば何かの主張を800字以内に纏めて書くというのは、非常にいい訓練になると思う。
また著者の名づけた「自分メディア」という表現も気に入った。自分メディアの蓄積を充実させ、TPOに応じてドラえもんのポケットのように直ぐに色々引き出せ、さらびそういう本を書けたら人生最高の喜びかもしれない。
この本では、本を出してから、更にそれを「売る」仕組みまで進化させる話が出てくるが、その辺は今は聞くだけ。自分の目標としては、とりあえずは自分メディアの充実である。
読みようによっては、随分著者の他の本の宣伝も兼ねた本のように思う。その辺は著者に聞いても、否定しないだろう。著者はそれも読書進化のステップの中における分かり易い卑近な例として利用している。そこはまさに宣伝と好例を兼ねた文章となっている。そう思えば、その点は取り立てて非難する程でもないと思う。
私は実はこの本を(著者には悪いが)ブックオフで買ってきた。それでタイトルから想像による予想を裏切られたのだ。新刊本なら、本を開いて著者の言うように私もフレームワークを捕まえるような読み込みをある程度してから買うのだが。350円という安い価格だったのと、勝間さんの名前を見て一度どういう本を書いているか読んでやれと思い、あまり中身を確かめずに買ったのだ。
予想に反したが、いい裏切りであったので、良しとしたい。
勿論、お薦めの一冊です。
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能登をこよなく愛する好奇心旺盛な40代後半のブルーカラーの源さんです。趣味の1つ読書(本の紹介・書評中心)のブログです。年間150冊前後読みます。2005年からこのブログを始め、既に1千冊以上を紹介しています。
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