『金どけい』(パンテレーエフ著:槇本楠郎・訳:平井芳夫・文)を読む |
今回「童話・絵本など」のカテゴリで初めて記事を書く。今まで児童文学で記事を書くことはほとんど無かったが(2,3有り)、実は結構、児童文学、童話、民話など読む。私のブログでなくメインのHPでは、地元の民話・伝説などを沢山集めてきて紹介したりもしている。 何かこういう話を読んでいると、心が癒されるのだ。今回は別に精神的に疲れているとかそんな訳ではないが、何故か眠れぬので、疲れぬ本でも読もうかと考え実行した訳だ。読んでみると、確かに漢字は少なく、語彙も小中学生程度、修辞など文学的表現はあまりないが、最近のケータイ小説(読み易いことは確かだが)などよりは、よっぽどマシな文学作品である。考えようによっては宮部みゆきくらいの文章力はありそうだ(別に宮部みゆきさんを貶している訳ではない。私も大のファンである)。
今後も、童話・民話さらには絵本なども読んだら、このブログで紹介していこうと考えている。
今回取り上げた小説『金どけい』は、私の幾つかある本棚の1つの奥に埋まっていた分厚い小学館の『少年少女 世界の名作文学<35> ソビエト-3』という本の中の巻頭の作品である。子供の頃からこの本があったのは覚えているが、兄姉の誰かが読んだ本で私は今まで一度も読んでいない。
この中に、他にも何人かの児童文学が収められている。追々読んで今後も紹介していきたい。また勿論、この本以外の児童文学、民話、絵本などもこのカテゴリで記事を書いていくつもりだ。
この作品『金どけい』の著者は、ぺテルブルグ(現)生まれのエル・パンテーレフという人物だ。粗筋で内容を少し紹介する。
ペーチカという全く身寄りのない浮浪少年が、ある日腹をすかせて、警察に捕まり留置場に入れられてしまう。彼は留置場の隣の部屋に居た酔っ払いから、金時計を巻き上げる。酔っ払いはその時点では気付かず、彼はその日しばらくしてから署長に呼び出され、少年収容所に送られることになる。
そこで盗んだ時計の隠し場所に一思案。警察でも、移動中の町でも、また収容所でも何度か見つかりそうになる危機を彼は何とか回避する。そしてある日、中庭に人の居ないのを見計らって、穴を堀り、目印をつけて埋めてしまいます。
しかしその後、収容所に薪が大量に運ばれ、時計を埋めた位置にトラックで運ばれた薪木が山と詰まれ、簡単に堀り出せなくなります。
ある夜彼は、寝室をそっと抜け出し、中庭に出て、自分の身の丈もある位詰まれた薪木をどけながら、時計を掘り出そうとしますが、あとわずかで薪をどけ終えようとしたところで、周りの薪が崩れてしまい、気付かれては拙いと考えた彼は、急いで寝室に戻ります。
彼はその夜から、寒夜での深夜の作業がたたり肺炎に罹って3週間ほど魘(うな)されて寝ることになります。目覚めて少しよくなったある日、収容所で知り合った黒んぼうのミロノフが見舞いに来て、退屈しのぎに本を読んでみろといいます。彼は本など苦手、御免蒙ると言うが、その夜何故か寝付かれず、本をペラペラとめくり・…ある絵に惹きつけられ、中身が気になり、それが契機で本を読み始めます。…気が付けば本にのめり込んでいました。
本を読むようになるまでは、彼は、警察署長、巡査、収容所の所長、友人たちなど彼らは皆結構親切な人たちなのに、嘘をつき、騙し続けます。しかしこの本を読み始めた日を境に、彼の心境は少しづつ変わっていきます。・・…
少年少女向けの小説としては、まあこんなもんではなかろうか。
著者のパンテレーエフ自身、少年時代は浮浪児で、“シキード”と呼ばれた少年収容所に13歳から入っていたという。いわば彼が体験してきた世界を書いたものといえよう。
ボリューム的には、上下2段に書かれた60頁余りの小説です。現在この小説が収められた本を簡単に入手できるとは思わないが、ロシアでは広く人気のある作家だそうだから、図書館などで偶然目にする機会があれば、読んでみるのも悪くないと思う。
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