by une_genzaburo
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松平容保 (成美文庫) 星 亮一 / / 成美堂出版 スコア選択: ※※※※ この本は、ブックオフで1年ほど前購入してから(100円の値札が付いている)読まずに放ってあった。今頃、思い出して読んでみようとかと思ったのには訳がある。 最近私は、『オーストリア皇太子の日本日記』を読んで、このブログでも紹介しているが、その中の日光東照宮訪問の記述の中に、松平容保氏が「豪華な紫色の衣を身に纏った宮司」として出てきて、ちょっと驚かされたのだ。至誠の人だけに、神君家康公の墓守でも買って出たのだろうかとその時考えた(後でわかったが、そういう訳でもなく、家臣が明治政府に運動して、会津戦争後、屋敷に引きこもってばかりの旧主をその職につけたのであった)。 またこの『日本日記』の中には、同じく旧幕府側に立った輪王寺宮(寛永寺貫主で孝明天皇の異腹弟)も出てくるのだが、こちら皇族のせいか一時謹慎はあったとはいえ、もはや完全に自由の身となったらしく、このオーストリア皇太子の接待役に何度か顔を見せ、もはや謹慎の身でなく社交界の花形のように振舞っている姿が描かれていた。 この二人の様が好対照だったので、松平容保に前から興味を抱いていただけに、近々この本を読んでみようと思っていたのだ。 この本は、元々は『至誠の人 松平容保』として新人物往来社から出ていた本に、星氏が加筆修正して出したものだそうだ。松平容保氏の代名詞としては、確かに「至誠の人」という言葉がピッタリである。容保は最後まで朝敵にあらずという固い信念のもとに生き抜いた人である。 あとがきで著者は次のように書いている。 「十五代将軍慶喜に仕え、その身代わりとなって完膚なきまでに叩かれた松平容保は悲運の君主である。人間の社会は非条理に満ちていて、正義と不正義が紙一重の差で歴然と分かれる。 幕末、維新の政治抗争は、まさにそれである。朝敵の長州が一瞬にして帝の軍隊となり、慶喜がさっと身をかわすと守護職の会津が逆賊となるのである。 後年、南部藩が生んだ平民宰相原敬は「戊辰戦争は政見の異同のみ」といい、両者にあったのは、政権抗争の違いである。朝敵、逆賊は存在しないといったのである。」 まさにその通りだと思う。 会津は、幕末を通して始終一貫した藩是で最も誠実な藩であったと思う。長州なども薩摩と比べれば結構誠実であったが、それでもその藩是は何度か方針転換している。薩摩などは、大久保利通を筆頭に謀略をめぐらし、勢力の変動で幾らでも仲間を裏切るような藩である。あの西郷隆盛といえども、謀略を何度も用い、とても至誠の人は呼べる人物ではない(とは言え、この2人とも嫌いではなく結構魅力ある人物だとも思っている私です)。 会津藩は、藩祖保科正之が十五か条の家訓を遺していた。その第一条は「大君にたいし、一心大切、忠勤に励むこと。もし二心を抱くようなことがあれば、我が子孫ではない。面々決して従ってはならない。」つまり徳川宗家への奉仕が第一なのである。それだけにあのような運命も、ある程度の必然性があったともいえるかもしれない。 容保自身は、もともと和平論者であり「公武一和」を目指していた。幕末に新たに出来た京都守護職などに就く気などなかった。その要請があった際、藩内でも反対意見が多く出て断るよう主張する重臣もいたが、藩祖の家訓や若手の意見などもあり、国政に乗り出すことになる。 容保は病弱であったので、京都に出向いても、病に臥すことが多かった。まともに政務も取れず、その上政局の混迷もあり、大役を果たせないと職を解いて帰国させてくれるよう頼むが、慶喜など幕府首脳は、会津藩のその武力を利用したいので頑として受け入れず帰さない。慶喜には容保などどうでもよくその武力さえ確保できればそれでいいと思っていた節がある。 大政奉還もうまく運ばず、ついには戊辰戦争へと突き進む。鳥羽伏見の戦いで、容保自身は、戦場に残りたく思っても、慶喜に引き摺られるように随行させられる。彼は不本意ながらも戦っている藩士を見捨て、幕府軍艦・開陽丸で江戸に帰る。 その後は、まるで幕府の身代わりのようになって、幕府軍を引き受け、会津においてだけでも一月以上も戦い続ける。隔絶した兵力の差から、まさに地獄絵図のような戦いが繰り広げられ、ついに力尽き降伏する。 この本では、降伏後の処置によって藩士がどのような悲惨な状況にまで堕ちたかもかなり詳しく書かれている。読んでみると想像以上に酷い扱いだったことがわかる。 余談だが昔私が大学卒業し、某メーカーに入社した時、最初に配属されたのは工場の生産管理という職場だった。私が居た会社の寮に、同じ年に会津工業高校を卒業し入社した(この著者と同じ姓の)星君という旋盤工の若者がいて、何度か寮内で一緒に酒を酌み交わしたことがある。 ある日、私が薩摩白波を取り出して、チュウハイを作ろうとしたら、いきなり彼が怒り出すのであった。薩摩の酒など飲ますとは何か悪意でもあるのか、というのだ。彼によると会津の人間はいまだに薩摩を許せないというのだ。百数十年以上も前の事を、一青年が拘っているのにその時はびっくりした。 でもこの本をはじめ色々読んでみると、今ではわかるような気がする。 幕末維新は、できるだけ多角的に見つめる必要があろう。このような敗者の側からの眼も絶対に必要だ。 原敬が言ったように戊辰戦争は戦った双方で政見の異同のみがあったのであり、本当の意味での朝敵、逆賊は存在しなかったのである。歴史から「勝てば官軍」のような処世訓を身に着けるようでは、歴史を学ぶ意味は何にもない。 容保にも反省すべき点は勿論色々あるが、「至誠」という語が死語のようになった現代こそ、容保の生き方にあらためて高く評価し見直す必要があるのと思う。 人によっては松平容保というと、新撰組との関係くらい(新撰組は会津藩お抱え)しか思い浮かばない人もいるかもしれない。この本には実のところ、あまり新撰組の話は出てこない。また白虎隊の悲劇の話もほとんど出てこない。 それらを期待して読む人には、期待はずれになるかもしれないが、それでも十分に読みこたえのある本です。 皆さんに是非ともお薦めしたい一冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2008-08-28 21:11
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