by une_genzaburo
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幕末維新ものの本は結構好きで読むが、公家の側からの本を読むのは始めてである。 岩倉具視というと私のような40代のものには昔、(何円札だったか記憶が曖昧で忘れたが)お札に載っていた偉い人というイメージが強い。勿論全然知らないわけではない。司馬遼太郎さんなどの本でも、屋敷を賭場に貸してテラ銭を稼ぐとか、一癖も二癖もある下級公家像が描かれていたのを覚えている。また私は彼が中心となった米欧への派遣団にも興味があって色々読んだりもしている。しかし今までは少し横顔を見る程度で、その人物像に迫るような本は読んだことはなかった。 この本では、岩倉具視の事に限らず、通説と違った見解の話が色々と出てくる。 著者は岩倉具視を描こうと思ったのは直木賞をとった直後の40年ほど前とのこと。それ以降、彼の事を書こう書こうと思いつつもなかなか書くことが出来ず、史料をため深く読み込みながら、構想を錬りに練り、ようやくこの本になったようだ。 副題の「言葉の皮を剥(む)きながら」というのは、史料(資料)を集め、史料に問いかけ続け、一応考えが纏まってもすぐ小説にすることはせず、史料の言葉の奥にある言葉の真意なども、著者自身の精神的な成長とともにようやくその意味合いに気付いた点などを、40年かけてじっくりとこの本に仕上げた事を意味している。 確かに私もこの本を読んでいて、眼が洗われるような感じがした。今まで小説などに登場する史実を、好きな作家だと無批判的に受け入れてきたが、こうして永井さんに指摘されると確かにその通りかもと思った。 この本で指摘されている疑わしい通説を私も今まで結構信じていた。孝明天皇がコチコチの攘夷論者だとか、慶応3年(1867)12月9日の宮中での会議が紛糾した際、山内容堂の「幼冲の天子を擁して…」という失言が勝負をつけたとか、その会議の一時休憩の時に西郷隆盛が岩倉具視に短刀を示して、事態が紛糾した際はこれ1本あれば事足れると岩倉に肝を据えさせたとか、有名な話が色々この本にも書かれている。私自身信じてきた話が多いが、どうも作り話らしい。 考えてみると司馬遼太郎さんなどの影響が相当強いのかもしれない。ある人に言わせると幕末の英雄と言われ、地元高知でも最高の偉人とされている現在の坂本竜馬像も、かなりの部分・司馬遼太郎さんが作り上げたイメージだという。偉いのは偉いのだろうが、虚構の部分もかなりあろう。 別に司馬遼太郎氏を貶(けな)すつもりはない。私自身かなり尊敬している。彼は歴史家でなく小説家である。彼が描き出した歴史群像はやはり優れたものがあり、多くの日本人に影響を与えたと思う。 この本では岩倉具視による孝明天皇暗殺説などもあることを述べ、岩倉具視の発言や具視が当時置かれた状況や孝明天皇の周辺の事柄などから、著者はその疑惑を否定している。私はこの説は知らなかったが、著者に同意したい。 私はこの記事の冒頭で公家の立場から見た幕末維新ものは初めて読んだと述べた。実際この本を読むまでは、岩倉具視などの公家の役割は卑小な程度にしか考えていなかった。幕末においては政治の舞台は江戸にはなく、京都であった事は理解していた。とは言え宮中にいる公家などは、幕府と薩長などの横槍で右往左往しているだけの無能な人々の集まり程度に考えていたのだ。 しかしどうも違うらしい。武力を持たない分、老獪な対応で幕府と付き合ってきた公家達は、潜在的政治力はかなりあったのだろう。一旦政治の舞台の中心が京に戻ると、その本領を発揮しまさに政治を行う。裏工作を行いあっという間に彼我の勢力をひっくり返したり、政治的駆け引きに奔走したりする公家の姿は、幕府や薩長などの要人にも引けをとらないものがある。 具視の場合で言うなら、例えば岩倉村に逼塞しながらも、手紙のやり取りや多くの人物と会ったりして情報を集め、極秘情報や最新情報さえも早急に知りえた驚くべき情報ネットワークを築いているのには感心させられた。また持ち前の技量で何度か賭けに出て、失敗も何度かして逼塞などの困難にも遭うが、最後には明治政府の中で公家最高の地位に就く。実の妹・紀子(もとこ)が孝明天皇の寵妃となったこともあるが、下級公家に過ぎぬ立場から、よくあそこまで行ったものだとも思う。 岩倉具視だけではない。他の公家の政治力も敵対した中川宮など多くの公家は、幕末史の中であたらめてその役割を再考されてしかるべきと思った。 岩倉具視は公武一和の動きに奔走したこともあり、そのこともあり、この本の中には今NHK大河ドラマ『篤姫』で主人公となっている天璋院篤姫や和宮の話がちらっとだが出てくる。そういう意味では、そのブームに多少便乗しているのかもしれないが、この本はそういう安直な企画の本では決してない。 先に述べたように、著者が岩倉具視の事を書こうと思い立ち、構想40余年、帯紙の文句を使うなら「歴史の“虚”を剥ぎながら、卓越した分析力と溢れる好奇心で、真摯に史料と対峙し続けた評伝の最高峰」といえる本です。 私と同様、多くの人がきっと歴史認識をあらためさせられる本だと思います。お薦めの一冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2008-03-22 13:32
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