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零式戦闘機 (1980年) (文春文庫) 柳田 邦男 / / 文芸春秋 スコア選択: ※※※※ ゼロ戦に関する本に関しては、昨年の4月5日にこの本と同名のタイトルで吉村昭氏のものを紹介している。NHKの歴史ものの番組を見て興味が湧き、読んだのであった。 吉村さんの本も柳田氏の本も、両方とも「航空技術自立化計画」以降の七試計画(昭和7年度試作)海軍機試製計画のあたりから述べられており、どちらも堀越二郎ら技術者の姿を中心に描いているが、読んだ感じとしては柳田邦男氏の方がより堀越二郎氏に焦点を当てているように思われた。 また吉村さんの本が、真珠湾攻撃までの零式戦闘機の開発の話に大半を割きながらも、真珠湾以降の零戦を中心とした戦争の経過を述べ、終戦まで書いているのに対して、こちらの柳田氏の本は、真珠湾攻撃で終わっている。 著者は、この本の取材を始めた頃の事を、あとがきで次のように書いている。「私の頭の中には、華々しい戦闘場面よりは、零戦を作った三菱の名古屋航空機製作所の設計室に中心舞台を置き、設計に取り組む技術者たちの世界を描くことに主眼を置こうという構想があったから・・・・」 まさに生の声が多いノンフィクションである。現在は零戦の技術者は殆ど亡くなってしまっていないが、この本が書かれた当時は、設計の中心となった堀越二郎氏、曾根嘉年氏、東条輝雄(東条英機の次男で後にYS-11開発リーダーになる)や、海軍の空技廠の振動試験の技師・松平精(きよし)(後の新幹線の振動問題克服でも活躍)などかなりの方がまだ存命中だったようだ。 柳田氏は、よって資料入手のみならず直接取材し聞き書きした内容も多く盛り込んでいる。特に堀越さんには3,40時間ほども取材したそうだ。それだけに非常に現場の雰囲気が伝わってくるいいノンフィクションとなっている。 少し内容のあらましも述べよう。 海軍の「航空技術自立計画」を受けた最初の七試計画で、三菱にいた堀越氏は初めて艦上戦闘機の設計主務者となり、このプロジェクトのリーダーとなる。中島飛行機とコンペし、堀越は時代の最先端の機を目指し日本で初めて低翼単葉機を作る。後の九六式艦戦や零戦と比べれば不恰好なものであり、かならずしも中島のものを上回る性能のものではなかった。しかし中島が海外機の真似であったのに対して、三菱のものは低翼単葉機という斬新さもあったので、海軍から注目される。堀越自信、経験をつけることで余裕ができるようになる。 そのせいか七試機の失敗にも関らず、堀越氏は、九試計画でも艦上戦闘機の設計主務者となる。七試の失敗という貴重な経験を活かし、またその後の技術的成果もどんどん取り入れていく。エンジンは自社製にしたいところだが、純粋に性能技術的判断からライバル社中島の寿5型を用いる。徹底した強度計算に基づいた計量化、徹底した流線型、沈頭鋲の採用、住友金属で開発された45キロ超ジェラルミン(SDH)の採用など。 これによって試験飛行では時速450kmという驚異的な記録を打ち出す。その後、海軍に収めた試験機が墜落事故など起すが、改善により量産化され九六式艦戦として正式に採用され、中国戦線などで活躍する。 その次の十二試艦上戦闘機でも堀越氏が設計主務者となる。海軍はこの九試計画の仕様書で、今までとは桁外れの性能を要求してきた。最大速度(時速500km以上)、上昇力、航続力、空戦性能、機銃、爆弾(過重量)などそれぞれ両立し得ないような性能を全て高性能にしろという万能戦闘機を作れという非常に困難なものであった。 しかしそれらも堀越らは乗り越えていく。勿論、日本の技術の進歩などもあった。エンジンも少しずつ改善されてきたり、住友金属で超々ジェラルミン(ESD)が新たに開発されたりし、それらを利用している。また操縦系統のパイプケーブルの剛性低下方式というものにすることによって、操縦の応答性を離陸時の低速から高空での高速運転まで容易に対応できるようにしたりするなどアイデアも多様し、ついに時速490kmと少し仕様の性能に足りないが、ほぼ仕様通りのものを作り上げる。 その後試験機の2度の墜落事故などもあったが、それらの原因追求を徹底的に行い、改善し、ついに500kmを超え世界に類を見ない高性能の零戦を生み出し、日本は真珠湾攻撃に至り、日米開戦に突入する訳である。 私は、別にミリタリーファンという訳ではないが、こうい技術史的な話(ノンフィクションもの)が大好きである。戦争関係では他に潜水艦(人間魚雷も含めて)、戦艦など艦艇、戦車などのものも読んだことがある。またYS-11、新幹線、H2Aロケットのそれぞれの開発の歴史、さらには現在計画中の国産初のジェット旅客機の開発にも非常に興味がある。 柳田氏自身あとがきで「この物語は、技術後進国という厳しい条件下で、零戦という世界に傑出した1つの工業製品が作り出されるまでの技術者たちのドラマである。」と述べている。私と同様、こういう事に興味ある方には、きっと満足できる作品である。 また柳田氏は、同じあとがきで零式戦闘機に関する真珠湾以降の物語も書きたいと述べている。それがおそらくあの傑作と言われる「零戦燃ゆ」(全6巻)のことであろう。これも読んでみたいと思う。 最後に、吉村昭さんの「零式戦闘機」の紹介の時にも書いたが、私が零戦及び真珠湾に興味を持つ理由がもう一つある。それは母の兄・つまり私の叔父が昭和16年12月8日の真珠湾攻撃でパイロットであった。つまり総数350機いたなかの一機のパイロットとして参加していた。その後各地の前線を転戦、昭和20年4月1日米軍の沖縄上陸阻止のため、九州より出撃し戦死している。 母は毎年この12月8日がやってくると兄を思い出すそうだ。兄の縁(ゆかり)の霞ヶ浦の予科練の基地跡や鹿屋基地などへ一度訪れてみたいそうだが、不孝な私はまだ連れていけていない。母が生きている間に何とか夢をかなえて上げたいと思っている。 もう数日でまた12月8日がやってくる。私もこの本を読んで感慨を新たにした。南海に散った叔父の冥福を祈りたい。 皆さんも、この時期もう一度、この本など読んで色々考えてみてはいかが。いい本ですよ。勿論お薦めの1冊です。 ここまで読んで評価してくださる方は、できれば下のバナーをクリック↓してくださると有り難いです! ←ランキングに参加しています!
by une_genzaburo
| 2007-12-06 00:57
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