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法隆寺を支えた木 (1978年)
西岡 常一 /小原二郎 / 日本放送出版協会 ISBN : B000J8OF8G スコア選択: ※※※※ 著者の一人である西岡常一(にしおか つねかず)氏は、祖父西岡常吉、父楢光はともに法隆寺の宮大工棟梁でした。祖父は、婿養子として西岡家に入った彼の父以上に、彼に期待をかけ、幼い頃から祖父の徹底的薫陶を受けたらしい。 最後の宮大工といわれ、長年法隆寺の修復に携ってこられたのち、法輪寺三重塔、薬師寺金堂の再建、同西塔の復興の棟梁をつとめ、また途絶えていた「ヤリガンナ」などの道具の復活も行ったことでしられる人物である。 本の1/3を占める第1章「飛鳥と木」は、西岡氏の経歴、修復・再建などの仕事の中で知りえた古代人の知恵や技法など色々と紹介されている。経歴の話のところで、4歳で祖父により現場に連れていかれようになり、仕事を見るように言われた話や、高校に入る際、彼を工業高校に入れようと言った父に対して、祖父は「額に汗することを学ぶには農学校がええ」と言って自説を通して常一氏を農学校に入れ、後々それが氏の仕事の役に立った話など興味深かった。また祖父の教え方は、徹底的な「体で覚えろ」式であったらしい。 法隆寺大工の口伝も興味深かった。 「堂を建てずに、伽藍を建てよ」(意味→1つの小さなお堂でも、法隆寺全体の伽藍配置の中の部分として生きていることを忘れずに、建てよ)とか、 「塔組みは、木組み 木組みは、木のくせ組み 木のくせ組みは、人組み 人組みは、人の心組み 人の心組みは、棟梁の工人への思いやり 工人の非を責めず、己れの不徳を思え」 や、また 「木を買わず、山を買え」など。 法隆寺の材木は、ちょっと見には、寸法を綺麗に整え建てられているように見えるが、実はそれぞれの性質を見極めて加工され、少しずつ太さなどが違うという。また使われている木は、ほとんどがヒノキだが、その木の特徴というか、その用材化した部分の性質的特徴を考えて、適材適所に使われているという。 たとえば、木のエンタシス柱として有名な柱の部分も、大木を縦に4分割に切り、それぞれをヤリカンナでエンタシスの形に削ってから、その特徴により用いられると言う。この柱は、1/4の部分の南向きに向いていた部分だから、建物の南向きの場所に南向きに向いていた部分を見せるように建てるとか。木の経年による反りなどを考えると、そういうのが一番自然で狂いが少ないらしい。また柱の心に近い方は年を経ると、外側に反り返りやすいから、、瓦屋根などを支える桁などに使う場合は、心に近い方を下にするといいなど・・・・。こういった知恵は、法隆寺の建築物の色々なところに見られるらしい。フムフム、なるほどと色々感心させられた。 「木を買わずに、山を買え」というのも1つの山にある木は、同じ種類の木といえども、北向きか南向きか、光の当たり方が少ない密集箇所か・・・などなどその場所などにより、色々材質も変わってくるし、先ほども言ったように同じ木でも、部分によって性質が違うので、それらを適材適所に上手く使うのがいいから、山ごと買うのがいいということらしい。そのためには木のくせを見抜き、木組みを考えることが必要になり、中ほどの長い口伝と繋がる訳である。 タイトルにある法隆寺を支えた木であるが、ヒノキのことであろう。この本の中ではとにかくヒノキの日本の建築用材としてのヒノキがいかにいい材質かがくどいほど出てくる。また日本人が太古から、いかに木を見る目があったかがわかる(現代は、電動工具などの普及で木を見る目は失われつつあるようだが・・・)。 法隆寺の主要な部分に使われているヒノキは樹齢2000年ものらしい。それが伐られて法隆寺の建築用材として用いられ、(何度か修復はされてはいるが)現役として寺を支え約1300年も経つという。こういう木材は世界に他にないらしい。またその木材を、傷めずに加工・使用する技術なども古代から優れていたようだ。 上記のようなことが西岡氏の大工としての経験などから語られているわけだが、本の残りの2/3は、建築学・能楽関係の教授である小原二郎氏が、それを学者の立場から、科学的に補足説明したり、(口伝などの知恵の)実証をしている。 ヒノキだけでなく、針葉樹全体の特徴、広葉樹の特徴、広葉樹の大きく2つに分ける環孔材と散孔材の特徴、それらのそれぞれの性質や劣化の仕方などが科学的にも詳しく紹介。 また彫刻材としても、飛鳥時代はクスノキが主流だったものの、奈良時代にはすぐヒノキが主流になり、その後中国の影響でサクラやケヤキ、カエデ、センダンなども併用して用いられたが、まもなくまたヒノキが一番いいということになったことなども色々出てくる。 その他にも西洋人が、広葉樹を好んで用いたのに対して、日本人と北欧人だけが、針葉樹の白木を好み、そして日本人はその中でも特にヒノキを一番好んだ理由が考究されたり、日本人が好んだヒノキも、だんだんといい質のものが減ってきた状況なども書かれている。 今から30年近く前に出版された本であるが、環境保護が叫ばれる今日この頃、日本文化には欠かせない木というものについて、あらためて考え直すためにも非常に参考になる本だと思う。お薦めの一冊です。
by une_genzaburo
| 2007-10-04 00:45
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