小柴さんについては、皆さんも、カミオカンデを利用した研究でノーベル物理学賞を田中耕一さん(ノーベル化学賞)とダブル受賞した方といえば、ああ、あの人かと思い浮かべる方も多いだろう。
ここ2,30年ほどの間に、何人かの日本人が科学関係のノーベルを受賞した。利根川進さん、福井謙一さん、野依良治さん、白川秀樹さん、田中耕一さん。その中でも田中耕一さんと小柴昌俊さんは、受賞した年も最近ということもあるが、ここ数十年で、やはり一番注目された日本人ノーベル受賞者ではなかろうか。
小柴さんの本のここでの紹介は、これで3冊目になる。
『心に夢のたまごを持とう』(講談社文庫)、
『ニュートリノ天体物理学入門』(講談社ブルーバックス)の三冊である。
前回読んだ『ニュートリノ・・・・』は、かなり難しく感じたが、今度はほとんど難しいとは思わなかった。理論的な説明が少なかったからだと思う。三冊の中では、『心に夢の・・・』よりは大人向けだが、大した科学的知識が無くても読めるようにできているかんじだ。
あとがきにあたる小関章さんが書いた「インタビューを終えて」という文章を読んわかったが、これは3回にわたるインタビューを纏めたものだったらしい。それだけに難しい話は、出てきても編集して避けた可能性もある。
小柴さんの『ニュートリノ・・・』を読むためには、ある程度、素粒子、ニュートリノを科学雑誌などで学んでから読むべきだろう。
しかしそういう難しい理屈がわからなくても、小柴さんが主導して研究を行ったカミオカンデという施設ははどういうものか、とか、具体的にどういう仕事をした(業績をあげた)から、ノーベル物理学賞を受賞したかは、この本で大体わかると思う。
また『ダ・ヴィンチ・コード』で有名になったダン・ブラウンの『天国と地獄』に出てくるヨーロッパの粒子加速装置施設であるCERNに小柴さんが一時期関わったことも出ていて、その方面から興味が沸いている方もいるかもしれない。
三冊の内容は、難度の違いはあるが、大体似ていた。よって今回はあらためて詳しく書くのはやめておいた。
あなたが高校生以上のある程度の年齢の人の場合、もし三冊の中で、薦めるとしたら、この本をあげたい。その上で、ある程度勉強して、もう少し難しい小柴本を読むことにした方がいいと思う。
とにかく素粒子やニュートリノといった方面の興味を深めるにはいい本だと思う。特に科学少年には是非とも読んで欲しい本である。