主人公は、平戸藩の前藩主・松浦静山の娘・静湖姫。三十一歳にして嫁にも行かず謎解き屋を開業して、成功報酬は3両。
多少お高目だが、噂を聞きつけた大店の店主や、藩主なども頼んだりして結構流行っている。
今回の依頼主は、行きつけのおかまの繁蔵が経営する飲み屋に来ていた浅草下平右衛門町にある長屋の大家。
依頼の謎だが、8世帯入ってる2棟並びの長屋の世帯が、一夜で全て入れ替わったというもの。
長屋の大家は金持ちでないので、今回の報酬をまけてくれと交渉され、静湖姫は、たったの三文で引き受ける。ただし条件付き。謎解きをしているうちに、儲け話が関わっていたら、それを静姫のものにするのを許すというもの。
静湖姫は、いつものように身辺警備役の岡田を連れて、謎解きの探索に長屋他に出かけるが、なかなか糸口が掴めない。
そのうち意外な事に、友達の多歌子姫と岡田がいい雰囲気になり、付き合いはじめたり...
同シリーズの他の巻では、複数の謎を解く時もあるのだが、この第6巻に出てくる謎解きは1つだけ。
前巻に出てきた阿片密輸絡みの事件も背後に潜んでいる感じで、巻末に近い辺りで、一応は謎解きはするが、危険で怪しげな気配が、静山や静湖姫に迫って来た感じだ。
この本のシリーズタイトルは『姫は、三十一』だ。ここでの静湖姫の歳は、元旦をもって歳を重ねる数え年の勘定である。
この第6弾の巻末では、もう11月の後半になっている。シリーズ第1弾は、この年の初めから始まっているが、したがってシリーズの展開としては、あと1月で完結となる事が予想される。
恐らく次巻が最終巻で、阿片密輸をたくらむ大きな者たちとの戦いなどが展開され、また静湖姫に恋が芽生え、ハッピーエンドで終わるのではないだろうか。
楽しみである。
娯楽時代小説好きの方にオススメの一冊です。