<百字紹介文>
ダイエーの創業者・中内功氏とマネジメントの父と呼ばれるP.F.ドラッカー氏の往復書簡集である。1995年発刊。中内氏が問いを発しドラッカー氏がそれに答え形になっている。今でも十分傾聴に値する本である。
<詳しい紹介文>
1995年発刊の古い本だ。
私は中内功氏に傾倒している訳ではないが、P.F.ドラッカーには、ここ数年かなり傾倒している。ただし両者とも今は鬼籍の人だ。
大学時代、私はクラブもやっていたが、実はかなり真面目に勉強し、千冊以上読んだ。しかし今思いかえせば、身に付かなった小難しい本を読んでいたものだと思う。
某私大の政経学部経済学科だったので、ケインズやサミュエルソンなど難解なものを読んでいたが、当時は理解出来なくとも何とか読み通したと満足していた。愚かだった。
ドラッカーの本は、どの本も明解平易で、学生時代に出会えていたらと思い残念でならない。昔は彼の存在に気付きさえしなかった。
さてこの本だが、原題は“The Time of Reinventing” reinventingは「新たに創り直す」というような意味だろう。「創生の時」という日本語タイトルよりイノベーション的意味合いが強いように思う。
本の中で個人、企業、社会、政府の4者の創生について述べている。
序文にドラッカーの思想のエッセンスとでも呼べる考えが凝縮され書かれている。
ここに参考のために転載しておく。
「社会をコントロールできる個人はいない。最も完全な独裁者であっても、政府を完全にコントロールすることはできない。
しかし個人は、自らについては、その多くの部分をコントロールできる。
自己革新や成長は、運の問題でない。意思の問題である。
企業のマネジメントは、自らの組織の中に、体系的なイノベーション、体系的な発展、体系的な自己革新の仕組みをつくりあげるだけのコントロールの力をもっている。...」
この本の中で中内功氏は、日本内外の問題点を問いとしてドラッカー氏に発し、それにドラッカー氏が答える形で進行する。そういうスタイルの往復書簡集である。
日本内外の経済情勢も現在ではこの本が書かれた頃とはかなり異なる。よって少し古く感じる箇所もあるが、全体的にみて十分現在でも勉強になる鋭い指摘が数多くみられ、さすがマネジメントの父と呼ばれるだけの本である。
企業などを蘇らせるイノベーションのために述べた言葉も印象的だった。
「それは、変化に対応することではありません。それは変化を機会として、自らを継続して創生させていくことです。」
恐らくこの訳語・創生の部分もreinventingだろう。つまり継続的に自己学習して自分を創り変える必要があると言っているのだろう。
厳しい時代だが頑張るしかあるまい!
久しぶりに書いた紹介文。全然進歩のない下手くその文章だが、興味を持たれた方は、実際手にとって読んでみることをオススメする。
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