この本(『日本鉄道物語』(橋本克彦著・講談社文庫))は、鉄道ファンならまず必ずといっていいほど知っている
島安二郎・島秀雄父子、日本鉄道界にとって欠かすことの出来ない二人の技術者を主人公とした本です。小説ではない。伝記、ノンフィクションといった感じの本です。
島安二郎氏は、日本の鉄道の草創期の技術者で、最初は関西鉄道に入社し、ピンチ式ガス燈の導入や機関車の改良などで活躍、後逓信省に移って鉄道の国有化、規格の統一、機関車の改良・国産化などに活躍する。悲願の広軌化については、田健治郎、後藤新平などの広軌化派の理解を得たりして奮闘努力するが、狭軌派の政友会の原敬などの反対などにあい、最後まで政治に翻弄され、実現一歩手前で空しく敗れる。
その子・秀雄氏は、父の意思を受け継ぎ、C53、D51の名機を設計、また新幹線も設計することになる。そして国鉄退社後には宇宙開発事業団の理事長になり、今度は日本の宇宙開発に携わることになる。
なんとも凄い親子なのでした。(蛇足ですが現在確か島秀雄氏のお孫さんが、アーチストとして有名になっているはずです。) この本に興味の湧いた人は、
「源さんの書評」の中の
この本の紹介文を読んでね!
私は最初にこの親子のことを知ったのは、内橋克人の
『匠の時代 第3巻』で
副題が『国鉄技術陣「0」標識からの長い旅』という本でである。この本の第1章の「新幹線前夜」で触れられていた(余談だが、ちなみに私はこの『匠の時代』シリーズの影響で大学卒業後、メーカーへ進もうと決心、実際某大手電機メーカーに10年ほど勤めることになる)。
その後、
『新幹線をつくった男 島秀雄物語』(高橋団吉著・小学館)も読む。これはそのタイトルの通り、島秀雄を中心とした本である。
3冊とも非常に面白い本である。読む順序としては、最初に『匠の時代』、次に島安二郎が中心のこの『日本鉄道物語』、そしてその後『新幹線をつくった男 島秀雄』がいいかもしれない。