<百字紹介文>
『ソフィーの世界』で日本でもお馴染みヨースタイン・ゴルデルのファンタジー小説。大好きな祖父を最近亡くした主人公が、夢の中の世界で数々の不思議で困難な体験をし、精神的に成長していく姿を描いた小説である。
<詳しい紹介文>
ヨースタイン・ゴルデルの作品は、私は以前『鏡の国、神秘の国へ』(NHK出版)を読んでいる。
私より10歳上のノルウェーの作家だ。有名作品(日本で特に有名な)『ソフィーの世界』はまだ読んでいないが、もうそろそろ読もうかなと思っている。
この本もそれらと同様ファンタジー小説である。
内容だが、最初から最後まで夢の中の話で始終する。
ただし夢を見ながら主人公(クリストフェル・ハンセン)が色々な体験をして成長していくという話。
最近おじいちゃんを亡くした、主人公クリストフェルは、ある晩気づくと、家の近くにある森、「山椒魚の池」が近くにある辺りをパジャマ姿でしかも裸足で歩いていた。
そこに(北欧の民話によく登場するという妖精の)ニッセが登場する。クリストフェルは、ハンセンと姓は伏せ、クリスフェル・ポッフェルという王子だと名乗り、ニッセと知り合った後、森の中の彼の家でイチゴジャム付きのパンケーキをご馳走になる。
ニッセに気に入られたクリストフェルは、その後、山椒魚の池のオタマジャクシを沢山集めて出来たカエルにキスすることで、魔法がとけて元の姿に戻ったカルロス王子とともに彼の城を訪問する。
その後、ウンピンという名のニッセとクリストフェルは奇妙奇天烈な、わけのわからない事件に巻き込まれ、色々な苦難に遭う。
一度はニッセの魔法?により、裏の(別の)世界に逃げ込み窮地を脱するが、ニッセは、夢の中だがただ逃げ回るだけではいけない、と言う。
もう一度城に戻って、彼に困難を与える人々(王妃や山椒魚、侍従長など)を正面から見据え立ち向かえと(しかも今度はニッセは決まりにより同じ城に戻ること(同行すること)は出来ないと)言う。
まあこれ以上詳しく書くと、読んだ時の面白みが半減するのでやめておく。
近親者を亡くした少年の夢の中での心の成長を描いたなかなか興味深い佳品となっている。
お薦めの一冊です。
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