<百字紹介文>
2008年2月末の発行で少し古い本だが、金融というものの骨格を上手く把握して、金融機関や金融商品などの性質を見事と言っていいほど分かり易く説明している。金融知識が必須の現代社会ではこういう本が有難い!
<詳しい紹介文>
大学時代は某私大の経済学科のゼミ(元日銀の調査局課長が先生)で資金循環論を学んでいた。しかし大学を卒業して早30年近く経つ。
金融業界にでも就職していたなら金融の基本や常識は忘れることはないだろうが、大卒後は電機メーカーに就職。その後会社を辞めてからは自営業をついだので、ほとんど金融の知識はいらない仕事だ。忘れた事も多い。
現代社会は金融の知識抜きにして理解することは難しい社会である。
という訳で、専門的な本は読むことはほとんどないが(ほとんどは初歩的知識で読めるものばかりだが)、金融知識の基本的レベルの維持とある程度の最新事情を知るために、毎年最低でも十冊程度は金融の本は読むことにしている。
この本は実はそんなに新しい本ではない。2008年2月末発行されたものだ。
日銀の政策手段として公定歩合がまだ挙げられていた時代である。
公定歩合と聞くと今では懐かしい響きにさえ感じる。
また今年正月、東京証券取引所が大阪証券取引所に吸収合併され㈱日本取引所グループになったあたりの話は勿論書かれていない。
他にも2,3気づいたが、古い箇所についてはこの程度でやめておく。
(新制度等を知らないからといって特に問題になることもないと思う。また公定歩合等も知っておくべき事柄だと思う。)
このように書くと結構知っているように思えるが、実は最近は物覚えがひどくて、いくら読んでもなかなか覚えられぬものも多い。
こういう金融の知識を書いた本を読むたびに復習させてもらっている。
学生時代からなかなか具体的にイメージ出来なかったのが、ポプション取引とスワップ取引だ。図などで頭 では何とか理解しても、こういうものはやはり実地で取引に関わったりしないと身につかないものかもしれない。デリバティブ流行りの時代であるから、一応毎年この関係は特に読むようにしている。
金融知識自体、実地につかないとなかなか覚えにくいものもあるが、とはいえこの本は非常にわかり易い気がした。
書かれているほぼ全ての事項は理解できたと思う。見栄ではない。
副題には「金融業界の新入社員から中堅社員までこの一冊で十分!」と書いてある。
まさかこの一冊で金融界の人間でもほぼ事足りるとはとても思えないが、ビジネスマンは最低限この程度の金融の本は読んでおこないと駄目な気がする(知識として覚えられるかどうかは別として)。
この本を読んでいて思ったのは、個々の具体的な詳細の制度を覚えるより、それぞれの金融制度の骨格をなすもの、いわば基本的性質を把握することが大事だということだ。
そのような把握ができれば、銀行、投資信託、生命保険、証券会社・・・といった金融機関や金融商品(金融派生商品も含めた)を、自分で類型化出来て、経済情勢など世の中の動きをみる際に大いに応用が利くということだ。
金融関係で取引する人間でないが、社会を自分の力で分析するためにビジネスマンとしてある程度の金融知識を身につけたい者には、この本はうってつけかもしれない。
巻末に用語索引があるがコピーした。
というのはこの本は図書館(七尾市立図書館本府中図書館)から借りてきたもので返さないといけない。あとでその索引を観ながらもう一度自分なりに各用語の意味を調べるつもりだ。
その際にまだあまり理解していないようだったら、またこの本に当たり再チェックし、もう一度復習するつもりである。
多くの人にお薦めの一冊である。
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