<百字紹介文>
夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズ25周年を記念しての本。夢枕氏の『陰陽師』の解説等のみならず、陰陽師関係の本を書いている作家との対談集、研究家の話など色々盛り込まれ、陰陽師に興味がある方必読の一冊である。
<詳しい紹介文>
夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズは、絵物語の番外編も含めてずべて読んでいる。
きっかけはNHKのドラマ『陰陽師』である。
私はあのドラマで気に入り、それから全て読むようになった。
その後、夢枕氏の作品だけでなく、荒俣宏、澤田ふじ子、加門七海、小沢章友、富樫倫太郎、高橋克彦など多くの陰陽師関係の小説を読んできた。
この夢枕氏の小説を原作として岡野玲子さんが漫画で『陰陽師』を描いているのは知っていたが、そちらはまだ読んだことがない。他にも何人かの漫画家が夢枕氏の作品をもとに漫画を描いているようだ。
岡野さんの作品を含め、内容は必ずしも原作に忠実ではなく、漫画家が新たに作ったキャラも登場するようだ。機会があったらそちらも見てみたい。
でもやっぱり夢枕氏のあの『陰陽師』がいいと思う。
主人公安倍晴明と友人・源博雅が、晴明の屋敷の庭に面した簀子の上で酒を飲み、巷の話題を語らいながら、怪異な事件の現場にちょっと行ってみないかと誘う、あのいつもの雰囲気が好きだ。晴明が毎回のごとく語る「呪」の話も不思議と飽きないで面白い。
『『陰陽師』のすべて』は、『陰陽師』シリーズが書き始められてから25周年(四半世紀)を記念して、行われた特集本のようである。
この『『陰陽師』のすべて』の「すべて」は、(載せられた内容を見る限り)夢枕氏の『陰陽師』シリーズの「すべて」という意味だけではなく、陰陽師関係の小説・本などの解説という意味での「すべて」という意味、それに陰陽師についての知識の一般的「すべて」という意味の少なくとも3つの意味があるようだ。
夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズ・ファンといってもほとんどの作品は1回読んだだけだ。
この本には、今まで上梓された『陰陽師』の全話の短い粗筋が紹介されているが、何となく覚えているものもあれば、ほとんど忘れた話も多い。
長編シリーズでこれまで2度読んだのは『鬼平犯科帳』だけであるが、これもそのうちもう一度読み返してみようかなとも思った。
夢枕氏へのインタビューや、他の陰陽師関係作品を書いている作家との対談・インタビューなども色々あって興味深かった。
最初の方で、作家ではないが、もとTBSアナウンサーの渡辺真理が、ファンとして登場する。渡辺真理さんがファンとなるきっかけは彼女の祖母で、祖母に薦められてだという。
そして驚きなのは、その祖母の兄があの『ドグラ・マグラ』の夢野久作だというのだ。
そういう驚きや色々楽しい話も多く載っており、『陰陽師』ファンとしては見逃されないお薦めの一冊である。
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