by une_genzaburo
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<百字紹介文> 髙田郁さんの大人気シリーズ『みをつくし料理帖』の第6弾である。今回は、澪の前に人生を大きく決める選択肢が何度も現れて、彼女を大いに悩ませる。恩人やお客を裏切りたくない彼女の真摯な懊悩と態度に共感した。 <詳しい紹介文> 『みをつくし料理帖』シリーズ第6弾である。 私的・公的に少しバタバタし、つい先日は大阪出張などもあり、前記事の後から今回の記事まで、少し間が空いてしまった。 その出張だが、たまたま大阪の天満橋近くのビルへの用事だった。その際、淀川横の天満橋一体を眺める機会もあった。 この話はノンフィクションでは勿論ないが、御寮さん(芳)が女将であった、また澪が若い頃働いた店、天満一兆庵は名前からして、おそらく天満橋近辺という設定だろうなあと思うと(今では大阪の都心のど真ん中だが)何だか不思議に興味深く景色を見ることができた。 今回も、色々な事件・問題が出来(しゅったい)する。 第1話『青葉闇―しくじり生麩』では、料理番付の行司役を務める料理屋・一柳(現在の一柳の主が旧天満一兆庵・江戸店を居抜きで買って営業している店)の店主から「料理人失格」と断言し、澪を落ち込ませる。 第2話『天つ瑞風―賄い三方よし』では、吉原の翁屋の楼主・伝右衛門が「つる屋」を直接訪問して、店主・種市や芳らの前で、店を提供するから吉原で天満一兆庵を再建しないかと提案。 その後、今度はライバルの登龍楼が種市に、神田須田町を30両でいいから居抜きで買わないかと提案、ただし澪が料理人として続けることが条件だった。 あまりにも好条件に裏がありそうだと感じるがいい条件に変わりはない。澪は2つの道のどちらを選択し選ぶべきか悩むが・・・・。 今まであまり書かなかったが、この本には、いいセリフが沢山出てくる。 「精進を続ける人に『ここまで』はないんですよ。『ここまで』かどうかは、周りが決めることではなく、自分自身がきめることでしょう。」(75歳のお手伝いの老女・りうの言葉) 第3話『時ならぬ花―お手軽割籠』では、澪の想い人・小松原こと小野寺数馬の妹・早帆が、兄や母との関係を隠し、澪に料理の手ほどきをして欲しいとやって来る。 そして澪の兄に対する気持ちを知った早帆は、武家と町家の間の困難を乗り越えさせ、澪を兄に妻(めあわ)せようと行動に出る・・・・。 さらに第4話『心星ひとつ―あたり苧環(おだまき)』では、澪は小松原との婚約の話を彼の母から持ち出され、困惑する。店主の種市は、澪が心配せずに嫁に行けるよう、後釜の料理人に関して一柳と話し合いを付け、料理人も決めてしまう。久々に来店した小松原からもに直接「俺の女房殿にならぬか」と迫られ、澪もついに了承。 が幸福そうに澪の料理を食べる「つる屋」のお客らの声を聞いたり、今の自分の有様を続けられぬ武家のしきたりを知るにつれ、次第に、結婚話を解消したい方に心が傾いていく・・・・・ 澪の懊悩がこう連ねられる。 「想いびとに添えるだろう喜び。野江と二度と逢えぬだろう悲しみ(武家に嫁げば吉原との関係は捨てねばならぬ)。種市(亡くなった娘の名「つる」が付いた店を愛くしむ)や芳(天満一兆庵を再建したい)の思い。清右衛門の失望。(澪の父親のたった一つの形見である塗箸に関して)塗箸は格が低い、という早帆の悪意なき指摘。」(カッコによる文章は私が備考として加えたもの) 前の記事でも書いたが、人生は色々な困難に出くわし、選択を余儀なくされる。 選択は困難であるが、選べるだけマシ(良し)として人生をよりよく生きるしかないと思う。 医師の源斉が、道に迷った時どうすれば良いか、と澪に聞かれ次のように答える。 「悩み、迷い、思考が堂々巡りしている時でも、きっと自身の中には揺るぎないものが潜んでいるはずです。これだけは譲れない、というものが。それこそが、その人の生きる標(しるべ)となる心星でしょう。」いいアドバイスだと思う。 欲張らず譲れぬものを大切にして、道を選択してかけがえのない夢を叶えるよう努力するしかないと思う。 澪の前に提示された選択は、かならずしも悪い話ばかりではない。澪が望みさえすれば比較的簡単に天満一兆庵の再建や、種市の店「つる屋」を大きくして続けることもできた。が安易どちらかを選べば、もう一方の選択肢で夢が叶う人々の気持ちを切り捨てることになる。 お世話になった恩ある人々の気持ちや野江を吉原から身受けしたいという気持ちを裏切らず、また単に自分のキャリア・アップすることにだけを目指すのではない澪の姿に、非常に共感を覚えた。 人生は、澪同様、安楽な道は選ばず、自分の人生で譲れぬもの(進むべき道)をこれと決めたらそれに精進すべきなのだろう。 第2話で野江との再会の場面がまた出てくる。野江は澪が心の中で思い描く自分の姿を壊すまいとして姿を現さず、故郷の懐かしい天神橋を描いた襖越しに澪に次のように語る。 「どない辛いことがあったかて、生きて生きて、生き抜くと、決めた。亡(の)うなった家族のためにも、自分の人生を諦めへんと決めたんや。そういう生き方を貫いたらきっと厚い雲も突き抜けられるやろ。私はそう信じてる。いつの日かまた、あの橋の真ん中で二人で並んで、真っ青な天を仰ぐ日が来る。それでこそ雲外蒼天、それでこそ旭日昇天やわ」 人間、自分がめざすものを信じて、どんなに辛くとも悲しくとも、希望を抱き、生きて生きて生き抜くしかないのだと思う。 この第6弾『心星ひとつ』は、東日本大震災の後に出版されたものだが、澪や野江の境遇を綴った上記の言葉はあの震災で傷ついた人々の境遇や言葉とよく似ている。想像だが、かなり反映しているのではなかろうか。 どうでもいい感想もちょっとあげる。第4話に出てくる苧環蒸しは、我が家の茶碗蒸しと同じだった。銀杏、海老、百合根に柚、うどんと蒲鉾。まさに我が家の茶碗蒸しのレシピである。我が家風の茶碗蒸しは、私自身は他では見かけたことはなかったが、関西で食べられていると聞いて、ちょっとビックリ。やっぱり北陸は方言を含め関西の影響が色濃いようだ。 今回は、料理の話はあまり書かなかった。がやはり感心させられる話も多々あった。どんな状況でも頭を働かせお客を満足させようという澪の料理魂は、営利だけに先走る現代の商売人が忘れがちな商売の根本精神だと思う。 少しウルウルする場面もあったが、今回も涙するまでには至っていない。でも澪が仕事で人生で悩む真摯な姿に大いに共感・感動させられた。 今回もだいぶネタバレになったかな。 ついつい面白いだけに語りたくなって書いてしまった。 申し訳ないが、あしからず! ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-11-08 17:04
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