<百字紹介文>
逢坂剛さんの『重蔵始末』シリーズの第7弾。蝦夷篇としては第2弾である。近藤重蔵の他にも、同じく蝦夷地調査で有名な最上徳内や、遠山金四郎(ただし‘遠山の金さん’で有名な町奉行の父親)なども登場する。
<詳しい紹介文>
今回は読み終えるのに、なぜか5日も日数がかかった。
蝦夷篇になってから、近藤重蔵に同行した最上徳内らの日記などを参考にしているせいだろう。一日一日の行程が、細く記されている箇所等があり、読んでいて疲れるのだ。
それだけでないかもしれない。蝦夷篇の前の巻の話もほとんど覚えていないのも、影響したかもしれない。
蝦夷篇の前巻のレビューをこの本を読む前に、再度読み直してみたが、全然思い出せない。以前の話を必死に思い出そうとすると、なかなか前に進まないのだ。
仕方ないので、前の話は、全く無視して(気にせずに)読むことにした。
粗筋を書く。
エトロフ島から本島(北海道)に戻った重蔵は、本島北東部で越冬しようと思うが、アイノ(アイヌ人)から無理だろうといわれ、もっと南の日高地方あたりでの越冬に変更する。
南下する途々も、重蔵は各会所で現地調査を実施した。その結果、定められた決まり事を守らず、松前藩とその場所を請負う和人の商人達が、アイノを騙して不当な利益をあげていたりする実態がさらにわかってくる。しかし同行する長嶋新左衛門などは、非を暴くのではなく、なあなあで済ませようとして重蔵と対立する。
エトロフ渡海の際も、長嶋新左衛門は渡海を拒み、また村上新之丞は病気と称し、二人はクナシリ島のトマリに居残っていた。以前から何かと対立する2人は、重蔵が戻ってきても江戸の勘定奉行のもとへ手紙で何やら重蔵の悪口を書いて送っているようだった。
またこの南下の際、重蔵らの一行は、鉄砲の襲撃を受けたり、渡海用の船が突然爆発する変事が2度起きた。重蔵に恨みを持つ女賊・りよの犯行ではないかと思われたが、姿を現さず不明であった。
重蔵から受けた屈辱を何としても晴らそうというりよの執念のようなものをどことなく感じるのであった。
重蔵は、長嶋と村上の2人は邪魔になるだけなので理由をつけて江戸へ追い払ったが、重蔵と(今回の一次調査で)意気投合した最上徳内も江戸に返し、重蔵に代わって調査の報告をしてもらうことにする。
江戸に帰着した徳内の説明が功を奏して、重蔵が責めを追う心配はなくなったが、幕閣の蝦夷の認識が改まり、重蔵に早急に江戸に戻るよう命令が届く。
重蔵は仕方なく、蝦夷を離れ江戸に帰還。
蝦夷の担当部署は、大いに増強され、重蔵は1月足らずの休暇でまた蝦夷への調査を命令され、再度出発する。
十蔵が江戸を出発後、重蔵の愛人・しげと、重蔵の従者・根岸団平の妻・たねの二人はは、りよに拉致され、(重蔵を邪魔者に思う)薩摩の船で、蝦夷へ送られる。
拉致がしげ一人ではなく、たねとの二人なのは、しげ一人だと、いざという時の覚悟ができているので人質にしても自害する恐れがあるが、たねと二人ならお互い自害を牽制しあうだろうとの、りよ一流の読みによる。
その読みがあたり、しげとたねの二人は、りよに拉致されたまま、エトロフ島へ連れて行かれる。
重蔵の命令で、高田屋嘉兵衛の船でエトロフ島へ先行して渡った根岸団平と橋場余一郎(御先手鉄炮組同心)は、エトロフ島内で、りよらの一行と、偶然遭遇し・・・・
まあこの辺でやめておこう。どうもダラダラと粗筋を書き、ネタバレの記事にしてしまう癖がある。
ここでさらにネタバレのことを言う。
りよは今回も、結局生き延びてしまう。
次巻も、りよと重蔵の対決が見所の1つとなるのであろう。
ただし個人的には、あまり悲しい話や不幸な話は好きではない。
多少、安直でもいいからハッピーエンドな話が好きだ。
私という人間が甘いのかな?
水戸黄門的終わり方が結構好きな平凡な男のレビューでした。
最後まで読んでいただき有難うございました。 m(_”_)m
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