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<百字紹介文> 今年(H24年)3月に亡くなった「戦後思想界の巨人」と呼ばれた吉本隆明氏が、近年再燃してきた「戦争論」ブームを受け雑誌社から向けられたインタビューに熱く語った戦争論である。反論もあろうが拝聴の価値有! <詳しい紹介文> 吉本氏の本は初めて読む。名前は勿論以前から知っていた。吉本ばななの父親である事も(ただし吉本ばななさんの本も、まだ一冊も読んでいない)。また今年3月に亡っていることも知っている。 今まで読まなかったのは、学生時代全学連にいた事など知っていたし、「戦後思想界の巨人」とも言われ、小難しい評論家のイメージがあったのだ。要は読まず嫌いで避けていた。 この本は、帯紙などを見ると、間違いだらけの「戦争論争」に喝を入れ、小林よしのり『戦争論』や「新しい歴史教科書をつくる会」を批判するとある。また「戦争論争に終止符を打つ決定版!!」ともある。最後のコピー文は、マルクス的自己撞着(弁証法的歴史展開で共産主義社会がそれに終止符を打ちユートピアを築くと説く矛盾)を想起させ、笑えた(ただしこのコピー文を書いたのは恐らく出版社側であろう)。 ただし小林よしのり『戦争論』や「新しい歴史教科書・・・」への批判があるというのは興味を引いた。よって読んでみることにしたのだ 参考に目次の章タイトルを列挙する 第1章 小林よしのり『戦争論』を批判する 第2章 「新しい歴史教科書をつくる会」を批判する 第3章 保守派の「思想」を批判する 第4章 私は「戦争」をこう体験した 第5章 人類は「戦争」を克服できるか 第1章は、だいたい吉本氏の説に納得できるものがあった。吉本氏は、戦後、全学連にいて「安保闘争」などやった人物でもあるが、戦前・戦時中は軍国少年・青年だったことを認めている。 しかし吉本氏によると、彼同様ほとんどの日本人が、戦争賛成に加わったという。朝日新聞などは戦前・戦時中盛んに軍国主義的論調を張ったし、評論家・小説家も、2、3の人を除き大なり小なり戦争是認の文章を書いていた。 戦後、戦前・戦時中いかにも自分は軍国主義の日本という国家に抵抗したかのごとく云う人間がいるが、大概嘘であるというのも事実だろう。 だから転向に関して、吉本氏を責めるのは確かに無理があるだろう。 この第1章では、興味深い指摘も幾つかあった。天皇制は、アジア極東地域の辺境地域に見られる「生き神様信仰」の1つであるという説もその1つだ。 タイトルにある小林よしのり氏の『戦争論』の批判も、その行き過ぎの論点など上手く指摘していたと思う。私自身は、吉本氏と違い改憲派であるが、それでも単なる反動に近い小林よしのり氏の出しゃばり的活躍には、あまりいい感じは抱いていなかった。それだだけに、この箇所に関してはかなり吉本氏に拍手を送った。 第2章以降も、半ば近く迄は納得できる意見であった(この後、色々批判文を載せるが、半分近くは納得できる意見だったことを、ここで強調して書いておく)。 が第1章と比べると、吉本氏の意見に抵抗したい箇所が多々出てきた。 私がかなり「新しい歴史教科書をつくる会」を評価していることもあるが、吉本氏はやはり少し左派的傾向が強いような気がした。 南京大虐殺や慰安婦問題も、証拠などどうでもいい、という彼の考えには納得がいかなかった。南京大虐殺に関し、よく言われる中国側の発表の疑問点などあげつつも、そんなのはどうでもいいことで常識的に考えて悪いことをしたに違いないという推測や、慰安婦が恥を忍んで日本政府に訴え出てきたから証拠など問わず、それを認めて対応するべきだというのは、完全におかしい論法に思えた。 「教科書をつくり直せば健全な子供が育つというのは大間違いだ」といい、子供はそんなに教科書から影響を受けないというのは大凡認めるが、それだから教科書を作り直す必要がないという理由にはならないと思う。国の検閲を経た上で国定教科書となる以上(そこには国の認識が示されるのであり)、直すべき内容は直すべきであると考える。 吉本氏が、第1章の方で、「個人の方が国家や公より大きい」という考えを述べているときは、疑問を感じつつも、まあ一理あるかなと読めたが、第2章以降のさらなる陳述(詳しく書く余裕はないが)を聞くと、この人は左派だけにやはりアナーキズム的考えが強いのかなと思えた。 国家というものが未来永劫あるとは限らない事は、吉本氏のいうように認めるが、「国家を解体せよ」とか聞くと、馬鹿じゃないかと思った。国家が国民を確かに十分守れていない面は多々あっても、例えばあの東日本大震災で右往左往した情けない民主党政権でも、無いよりはマシだろう。感染症に対する防疫とか、我国領海で違法な操業をする外国の漁船の取締など、国家がなくなれば滅茶苦茶になり、それこそ無法地帯・荒涼たる日本になろう。 また吉本氏の反戦の考えが、「戦争自体がダメだ」という考えも、究極的には、私もその通りだと思う。吉本氏は、日米同盟を結んだ以上自衛隊という現実を認めつつも、個人的には飽くまで反戦を唱えるという。まあそれは個人の勝手だろう。 彼は、現状改革として、自衛隊を完全にシビリアン・コントロールの下に置き、他国が攻めてくる恐れが出てきた場合、自衛隊を国防のために動かすかどうか国民投票で決めるという提案をしているが、私はそれに対しては悠長過ぎる対応で非現実的過ぎるとしか言い様がない。 この本の中で、鳩山由紀夫や菅直人の民主党の理想論を批判している言葉もあったが、私には、吉本氏もかなり非現実的理想論を述べていると思える箇所があった。また理屈屋すぎる箇所もあった。自分の事はなかなか分からぬものなのだろう。 今回は、以上のように色々批判してしまったが、私と吉本氏の識見のスケールを比べたら、その大きさは、犬と巨像の如き差があろう。勿論、この本の中で卓見も多々出てくる。 単なる左翼とは違い、戦後思想界に独自の境地を開いてきた思想界の巨人だけに、ラジカルであるが骨太の戦争論であり、聞くべき意見は多い。 読まず嫌いでは、自分の思考力・知識は深まらない。気に食わない考えでもやはりじっと耳を傾けて、それからじっくり考えて自分なりの考えを持つ事がこれからの時代は、特に必要になるように思う。 多くの人に薦めたい一冊です。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-08-31 14:07
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