by une_genzaburo
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<百字紹介文> 手島龍一氏のインテリジェンス小説第2弾。前作『ウルトラ・ダラー』と同じスティーブ&マイケルのコンビがまるで近未来でも確実に言い当てるかの如く金融先物市場で素知らぬ顔で巨富を手にする謎の実体を究明する。 <詳しい紹介文> 先日読んだ、『ウルトラ・ダラー』の続編といえるような作品だ。 主人公は同じ英国秘密情報部員スティーブン・ブラッドレイ。また彼と連絡を取り合い謎解明に取り組みのはオックス・フォード大学のコーパス・クリスティ・カレッジで親友となったアメリカのオクラホマ出身のマイケル・コリンズ。このコンビは前作でも事件の捜査の中心であった。 前回の『ウルトラ・ダラー』では、ステーィブンは、表の顔はBBCの東京特派員。しかし『ウルトラ・ダラー』で彼がとった勝手な行動が目立ったのだろう(事件解決に繋がったのだが)英国秘密情報部の上層部の怒りを買ったらしく、この本の冒頭で東京から退去を命ぜられ(BBCの仕事も休止したらしい)金沢に住まいを移し謹慎させられている。 がそこはスティーブン、表面上は謹慎しても大人しくしている彼ではない。許可なく任国(日本)を離れることを禁ずるといわれても、ハイそうですかと唯々諾々守る男ではない。親友マイケルに数年ぶりに電話をかけ、スコットランドに出かけ落合い遊ぶ約束をする。 マイケルの方も以前の職場から異動していた。以前は米国財務省のシークレット・サービスに所属していたが、今は商品先物取引捜査官という退屈極まりない仕事であった。それだけにスティーブからの久しぶりの誘いはいい気分転換であった。 スコットランドでコリンズと一緒に釣りをしながらスティーブは、大物の魚が潜んでいるようなエリアにフライを飛ばしながらこう語りかける「マイケル、君のテリトリーには、とてつもなく、でかい獲物が潜んでいる。そんな気がしてならない。僕の勘が錆び付いていなければの話だが――」 それは勿論、コリンズの前の水の中の事を言った訳ではなく、アメリカの金融市場で起きている今は目立たないが不穏な動きを指しての暗示であった。 マイケルも最近、書類庫で偶然ブラック・マンデーの捜査記録(ブラック・マンデーを引き起こした犯人がいるのではないかという疑問から行われた捜査。ただし結局分からず御蔵入り)を見つけてから、市場の裏で起こっている事が気になっていた。 二人は密約を交わし、金融市場の裏で起こっている事を突き止めようと密かに調査に乗り出す・・・・ この小説はタイトルから分かるように、リトアニアでユダヤ人向けに「命のビザ」を発行した杉原千畝の話が大きく関わってくる。この本は既に文庫本も出ているようで、そちらは『スギハラ・サバイバル』と改名して出されたようだ。 この本の巻頭で出てくるアンドレイ・フリスクとは、豚や穀物の取引所に過ぎなかったシカゴ・マーカンタイル取引所で、ニクソンショック後、世界に先駈け先物取引を持ち込み、世界一の国際金融市場に変貌させた男として紹介されている。 アンドレイは、どうやら実在するレイ・メラッド(シカゴ・マーカンタイル取引所名誉会長)がモデルのようだ。彼の経歴はこの小説に出てくるアンドレイとほぼ同じ。リトアニアから脱出してきたスギハラ・サバイバルで、ビザ取得後、シベリア鉄道→ウラジオストク→敦賀→神戸→アメリカの避難している。 その後小説では、アンドレイは医者となっているが、実在のレイの方はあのミルトン・フリードマンから教えを受けたようだ。シカゴの取引所で金融先物市場を世界に先駆けて開いたのは同じである。 小説の中では、その他にも松山雷児という神戸出身の相場師や、アンドレイ・フリスクと同じ頃、リトアニアから脱出してきた同じスギハラ・サバイバルのソフィーという女性も、この小説の中で大きな役割を果たす。ただしモデルがいるかどうかは今の私には分からない。 ブラック・マンデー、9・11、リーマン・ショックなどの前に、金融先物市場ではまるでそれを予測していたかのように、一部の者が大きな空売りなどが行い巨額の富を得た者がいるという。それはまるで未来を確実に言い当てるかのように行われていた。 スティーブンが、疑問に思ったのはその辺の動きであった。 調べていくうちに、予言的ともいえる相場で大きく儲けた取引の背後に、ユダヤ人のインテリジェンス・ネットワークがどうやら関わっている事が分かってくる。 そしてそのネットワークの構築の創設には、戦前の杉原千畝が深く関わっていた。ユダヤ人が杉原に望みをかけて頼った事にもよるが、杉原千畝が起点と言ってもいいものだった。・・・・ 以上が大体のあらましだが、今回は最初から最後までワクワクしながら読みすすめることができた。 結構時間がかかったが、面白いだけに苦痛は少なく、心理的な時間からみると、あっという間に読んだという感じだ。 前半は、時代が現代からドイツのポーランド侵攻の時代に飛んだかと思うと、また現代に戻るといった感じで、時代があちこち飛んで少し戸惑うところもあったが、真実らしき話も色々出てきて、読んでいる間は始終興奮しっ放し。 またスティーブンが新しく住むことになった町が金沢ということもある。同じ石川県に住む私には知った店や場所も多く登場し、そういう意味でも興味深く読めた。 ちなみにこの本に出てくる金沢・東山茶屋街の茶屋「八の福」、茶屋「藤とし」、旅荘「陽月」は皆実在の店である。著者は何度も金沢に来たことがあるのかもしれない。 さすがに作家だけに色々現地を調べているようだ。 今回は、巨悪のような存在は登場しなかったが、国際金融市場の先物取引などで活躍手るロックフェラーやロスチャイルドといった金融資本とはまた違ったユダヤの新興勢力「スギハラ・サバイバル」の存在なども知り、興味深い内容ばかりであった。 小説とはいえ手嶋氏の作品では、実在のモデルが大概あるようだ。それだけにどこまでが真実でどこから虚構かを考えたり、後追いで調べたりすることにより、非常に勉強になる。 このスティーブンとマイクのコンビによる物語は、今後も書かれるのだろうか。是非ともシリーズ化し、手嶋氏に新しい国際事情を反映した小説をどんどん書いてもらいたいものである。 お薦めの一冊です。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-08-23 19:47
| 読書
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