by une_genzaburo
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<百字紹介文> 後漢~晋の時代、日本は未だ小国分立の文字持たぬ国だった。当小説は中国への朝貢等の際に使譯(通訳)を務めたアズミ一族を設定。彼ら使譯9代に亘る歴史を語り伝えのスタイルで描いたロマン溢れる歴史小説である。 <詳しい紹介文> 日本に関する記述が、歴史上初めて登場するのは「後漢書」の倭の使節に関する事項である。 そして当時の使節が時の皇帝光武帝(後漢最初の皇帝)からもらった金印があの「漢委奴国王印」(福岡の志賀ノ島から江戸時代に出土した)である。日本史の教科書には必ず記載されている事項なので、皆さんもこの程度の内容なら御記憶のことであろう。 この小説は、有史以前の日本(というか北部九州の)各国で、使譯(しえき→通訳のこと)を務めたアズミ一族というものがあったと設定(勿論フィクションだ)。国は異なれども彼らは、かなり昔に漢の皇帝の命令で不老長寿の薬を求めて中国の南の方の港から大きな船に乗って渡って来た人々を祖先とする人々という。住み着いた国により、安住、安曇、安潜など色々な漢字をあてているが、もとは同じ一族であった。 各国のアズミたちは、共通する3カ条の教えをそれぞれの国で守り伝えてきた。 1つめは「人を裏切らない」。 2つめは「人を恨まず、戦いを挑まない」。 3つめは「良い習慣は才能を超える」である。 各国の使譯を業とするアズミらは、この掟を守り、それゆえに国は異なれども各国のアズミは繋がっていたという。 (小説の後半では、日御子(卑弥呼)の巫女頭となったアズミ一族の女・炎女が、新たに4つめの教え「仕事と仕事の間に骨休めがある」を加える) 勿論、これらはフィクションのはずだ。5世紀頃に百済から渡来した王仁が日本に千文字をもたらしたという伝説があるが、あれも実際には日本における千文字の成立は6世紀が有力。文字は紀元前に日本に少しは入ってきたかもしれないが、前漢の頃、倭国(日本)に文字を自在に操れる通訳がいたという設定はちょっと無理があり夢想に近い。 古代史の歴史小説は、歴史的事実による制約が少なく夢想、つまり空想で紡ぎ易くロマンが満ち溢れ面白いことが多い。が逆に文字使用以降の日本史は、時代が経てば経つほど、実証された事実も多くなり、時代背景など歴史的制約が多い分、ロマン的要素という点では面白さは減っていく。 この小説も時代制約が少ない分、空想を自由に馳せ、古代日本人の平和な国造りの努力を見事に謳いあげ、面白い小説に仕上がっている。 小説の中心は使譯の語りである。最初に登場する主人公も、先に挙げた光武帝の時代に漢に渡った倭国の中の那国の使節の使譯・灰という人物だ。 上で「那」国と書いた。金印の字に出てくる倭の「奴」国でなく、「那」国となっているのは、灰は那国と伝えたが、「那」と同じ音の漢字で相手を卑しめる意味の「奴」の字をあてたと説明している。これは作者の推測だが、文字を持たなかった当時の倭国だ、おそらく同様の事実があってあのような表記になったのだろう。卑弥呼の字も同様な理由によると私も推測する。 そしてこの小説では、灰から治(灰→圧→針→江女→朱→炎女→在→銘→治)と9代の使譯にわたる時代史を、上記の中の使譯の中の数人が、親から子へ、または孫へ、娘へと、自分が守り伝えてきた事柄や自分で見聞きした内容を語り聞かせるスタイルで構成されている。 例えば那国から後漢への朝貢使節の使譯は灰が担当し語る。倭国大乱後の後漢の朝貢使節は灰の孫で伊都国の使譯の針が語り、弥摩大国(邪馬台国)の魏への朝貢使節は針を曾祖父とする在が語るといった具合だ。 この小説の背景は、後漢開始時期から晋までの時代だから約200年間の時代である。その間において、多くの日本人が一番ロマンを抱くのは邪馬台国の卑弥呼の事だろう。 この小説のタイトル「日御子」である。日御子(卑弥呼)の治世と死後における倭国の再びの混乱なども作者は、(空想ながら)重点を置いて書いている。 では、作者はこの小説で弥摩大国(邪馬台国)をどの辺りと書いているのか? 読んでみると、どうも筑後川中流のあたり比定しているようだ。例えば小説に吉野という国名が出て来る。おそらく近年発掘された吉野ヶ里遺跡を中心とした国を考えているのだろう、それは弥摩大国の隣国になっている。また求奈国(『魏志倭人伝』に出てくる狗奴国)は、南の隣国となっている。熊襲比定説を採っているのか熊本あたりを考えているようだ。 作者自身が、小郡市という筑後川中流付近出身ということもあるのだろう。 邪馬台国の位置については、昔から多くの学者や小説家、古代史ファンらが、近畿(大和)説、出雲説、九州説(九州説も、吉野ヶ里遺跡説も含めて多々ある)・・・色々唱え、喧々諤々いまだに決着していない。 私も九州説が有力かなという気がするが、それほど詳しくないので論争に加わるほど自説を主張するつもりはない。 私は、色々な説の根拠などを読みながら、楽しむ程度に留めている。 小説の最後に、その後の東遷に至る経緯の話が出てくる。 普通の東遷説と少し異なる話となっている。著者は朝廷の祖先も比定も従来の学者とは少し異なる見解をもっているのかもしれない。ただしここでそれを紹介しては、ネタばれになるので、やめておく。 この小説に限らず、よく倭はヤマトと読め、大和に繋がり、大和は大きな和のことだと言われる。 この小説でもコピー文に「日本人の魂は、ここから始まった。なぜわれわれは和を尊ぶのか-倭とは和なのだ」として、その魂の始源を、使譯を生業とするアズミ一族が守り伝えてきた教えとしている。 勿論これまたフィクションだ。 五百数十頁というボリュームたっぷりの作品だった。筋立て・構想も上手く壮大なロマンに仕上がり、最後まで飽きることなく興味津々で読み継ぎ、数日で読み通すことができた。 読了後は少し疲労感も感じたが、満足感のゆくそれだったから感動の余韻もしばらく楽しめた。 お薦めの一冊です。 (この記事は、書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」から献本頂いた本をもとに書いています。) ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-06-05 16:12
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