<百字紹介文>
『妻は、くの一』シリーズの第6弾。今回はお庭蕃の凄腕忍者・宵闇順平が、潜入先の九州から川村真一郎により呼び戻され、抜け忍となり失踪した織江の捜索のために投入される。巻末には二人の戦いもあり見所である。
<詳しい紹介文>
『妻は、くの一』シリーズの第6弾である。
第5弾は巻末で、忍者同士の派手な戦い(ただし松浦静山も途中から参加)があって、かなり盛り上がったが、この第6弾ではまた巷の事件簿の方に重点が多少戻った感じで、少しトーンダウンした感じだ。
収録話は、序「銀河の片隅で」、第1話「むなしさの理由」、第2話「ぺちゃんこ」、第3話「芝居好きの幽霊」、第4話「陸の人魚」、第5話「殺しの蜃気楼」、5話が収録。
各話の前段のあらましを書く。
第1話「むなしさの理由」
上野広小路の米問屋・常陸屋弥左衛門は、元は父から継いだ小さな町の米屋に過ぎなかった店を一代で大きくした男だった。小さな店をそこ迄にしたのだからケチケチやってきたのだった。が、ある日を境に急に金遣いが荒くなり、ついには一文無しになった。
本人から事情を聞くと、易者と出会ってから、嫌な事が続いて起こり、お金はあの世まで持っていけないと悟り、むなしくなったという。金など失ってしまった方がいいと、豪遊する生活へとがらっと変わった。
彦馬はその話を聞いて、弥左衛門の身の回りに立続けに起こった嫌な出来事が実は仕組まれて起こったものに違いないと睨む・…
第2話「ぺちゃんこ」
ある日、深川常盤町のしもた屋に住むご隠居が、注文した庭石が届くと、庭師に奇妙な依頼をした。自分が庭で横になるからその上に石を置いてくれという。
庭師は無理だというが、ご隠居は元相撲をやっていて力は自信があるから大丈夫という。仕方なく言われた通りに置くと、案の定ご隠居は石の下敷きになり潰れて、石は持ち上がらなくなてしまった。
同様の事件が最近他所でもあったらしい。、彦馬らはその話に異なものを感じ、静山のっ指示もあり調査をするが・…
第3話「芝居好きの幽霊」
町奉行臨時廻り同心の原田は自分の拝領地に一軒屋を2軒建て貸家をしているが、その一軒に住む‘みその’は息子と二人で住み、息子は父の代からの瓦版屋を営んでいた。
‘みその’の趣味は芝居見物である。最近はのめり込み、芝居を見に行く時は、前日から弁当を作っては出かけていた。
ある日の芝居見物で、‘みその’は友人のお加世という料亭の主と一緒に見に行く約束していたが、お佳代が突然の用事で行けなくなり、仕方なく一人で出かけた。
途中友人の‘もみじ’と出会い、彼女を誘うと急だったが了解したので、その日は二人で芝居見物をした。
翌日‘みその’が‘もみじ’の家を遊びに行ってみると、亭主はその訪問に驚いた。聞けば何と‘もみじ’は一月も前に病死したというのだ。・…
第4話「陸の人魚」
織江が川村らお庭番の追求を逃れて潜伏していた根岸の里で、ここのところ人魚騒ぎがあった。海から遠く離れた根岸の地だが、何人もの人が人魚らしきものが川を泳ぐのを見たというのだ。ある日織江もその騒ぎを耳にした。人魚と見誤られるような何ものかが川を泳いで何かしているらしい。
その真相を確かめるため織江は翌日まだ暗いうちから川に入って人魚が来るのを待った。朝日が登った後、上半身裸で下半身に何か派手なものをまとったものが実際泳いでやってきた・…
第5話「殺しの蜃気楼」
ある日、神田川の柳原土手で日中から辻斬りがあった。川とは反対側の土手下で古着屋を営む者らが、土手上で侍が「殺してやる」と叫びながら女を追いかけて、斬りつけるところを見ていた。その直後二人は川向こうに消えた。少ししてから恐る恐る見ていた者らが現場に駆けつけると2人は土手裏にはもういなかった。
同じ頃、そこから遠く隔たった不忍池の、ひとけのない池の畔に来ていた女が一刀のもとに殺されていた。
まるで不忍池の殺人が、蜃気楼現象で遠く離れた柳原土手で見られたかの如くであった・…。
今回派手な戦闘シーンはないが、夜に溶け込み気配を完全に消すことができる宵闇順平という忍者と、織江が闘う(巻末の第5話)。
あわや相打ちかと思われた間際、意外な人物の助太刀で織江は窮地を脱出するが…
この助太刀に現れた人物は一体誰か? 織江もその時知りえなかった。
気になるところだが、何とこれが予想外というか驚きの人物。
それを明かしてしまうと、この第6弾の話が半減しそうなので書かない。
次弾以降がまた楽しみである。
勿論、近々ここでまた紹介するつもりだ。
乞うご期待!
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