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<百字紹介文> 映画化された同名ドラマのノベライズ。戦艦大和の撃沈60周年の日に、亡くなった義父の散骨をその海で望む女を船に乗せた主人公。自分も乗組員だった大和を回想し、彼女の姿に今まで生きてきた意味に気付かされる。 <詳しい紹介文> 姉妹編『小説 女たちの大和』と同様、 この本が角川春樹事務所から出ているのは(映画化したのも同事務所)、おそらく著者の辺見じゅんさんと角川春樹氏が、姉弟の関係にあるからだろう(ちなみに角川歴彦(角川書店の現社長)は春樹の弟)。3人とも、親父さん(角川源義)が富山にいたとき生まれているので(私が住む石川県の隣)富山県出身だ。 何故こんな事を知っているかというと、私が予備校にいた時、漢文の先生に山田勝美氏という方がおられたが、角川源義が國學院にいたときの教え子だとか、春樹も國學院だとか色々雑談されたのを覚えているのだ。その当時、山田先生は既にかなり高齢であったから、おそらく亡くなっていないだろう。小説とは関係ない話だが、今ふとそれを思い出したのだ。 冒頭から余談を書いてしまった。失礼! いつものように粗筋を参考のため書く。 戦艦大和が沈没してから60年をちょうど迎える日(2005年4月7日)の前日、鹿児島の枕崎の漁港を、内田真貴子という名の29歳の女性が突然訪れた。目的は、東シナ海の『北緯30度43分、東経128度4分』の位置まで船を出してもらう為だった。 漁協の組合長や色々な人に頼むが断られ、思案にくれ海岸にたたずんでいると、神尾克巳という初老の男が、「なんで、あの海へ行きたいんだね」と声を掛けてきた。 彼女の義父は、大和の乗組員であった。数少ない生き残りとして先年まで生きていたが、亡くなる時、遺灰を大和が沈んだ海に沈めてほしいと彼女に遺言したという。 実は、彼女に声を掛けた神尾も大和の生き残りであり、偶然にもその内田兵曹をよく覚えている人物であった。というより海で死に掛けていた神尾を救った命の恩人でもあった。 内田が、遠縁で当時まだ3歳でしかも孤児だった彼女を引き取って育てたのは、多くの戦友を失いその後もおめおめ生き残っている自分が生きていく意味を見つけるためであった。彼は、彼女以外にも10人もの孤児を何の見返りも無しに育てていたという。 大和の沈んだ地点の海へ行くには、漁船で片道15時間ほどかかる。小船では困難な航海である。が神尾は船出を了承した。彼は発作の病気を抱えており、いつ発作に襲われるか分らない状態だったが、彼女の話や覚悟も聞き、船出を決意したのだ。自分の持ち船「明日香丸」に彼女を乗せ、助手の少年・敦に手伝わせ、間もなく出航した。・… その後神尾の回想になり、戦時中に場面が切り替わる。神尾が海軍特別年少兵として入隊し、その後大和の乗務員として乗艦。沖縄に向け最後の出撃航海中の大和がアメリカの飛行機編隊の攻撃で撃沈されるまでの経緯や、戦後に戦友の死をその母に伝えに行った話など描かれる。 どこまで事実で、どの辺りがフィクションなのかよく分らない作品だ。 登場人物も、架空の人物なのか実在の人物なのかよくわからない。私の想像では恐らく登場人物はモデルはいても架空の人物ではなかろうか。 登場人物の科白で特に印象深かった箇所を2つ挙げる。 1つは沖縄へ向けての出航の前日、兵学校出身組と学徒出陣組が、言い争う場面。学徒出陣組が、無駄死する可能性が高い今回の大和の出撃で死んだ場合、その死にどんな意味があるかと、兵学校組に詰め寄ったのだ。それを聞いた臼淵大尉が中に入り両者を鎮める言葉だ。 「敗れて目覚める・…それ以外に日本が救われる道があるのか?」「今目覚めずしていつ救われるか?・・…やがて西洋文明と東洋文明は激突の果てに和解を見るだろう。日本は東洋文明にないものを西洋文明から得る。欧米は西洋文明にないものを東洋に見出す。そしてその時はじめて地球における真の国家像が日本において欧米においても確立される。いいか、これだけは覚悟しろ。俺たちは日本が新しく生まれ変わるための先導になるんだ。未来の日本のために、日本の新生のために先駆けて散る。まさに本望じゃないか」 当時は皆この考えのように諦観し覚悟して死んでいったと私も聞いている。 戦死した者にはこの辺の思いを後世の人にわかってもらいたいところだが、現在一番忘れ去られてしまった点ではなかろうか。がそれも仕方ないかもしれない。 印象に深い2つめの言葉がそれを説明する。ラストの場面だ。内田真貴子が目的地の海に到達。散骨後、義父・内田兵曹長の旧友への言葉や彼女自身の義父への別れの言葉を海に向けて言うのを、神尾が横で聞き、悟るがごとく吐露する言葉だ。 「・…おれは・…おれは、60年無駄に生きてしまった。内田さん、あなたの娘さんが、それを気付かせてくれました。…内田さん、森脇さん、あなたたちがおれに求めたのは・…あの日あの時の地獄と、死んでいった者たちの思いとを・…この世に生きて語りつぐ事だったのですね。・…やっと生きた意味がわかりましたよ。」 戦争の辛い体験は、辛ければ辛いほど語りたくないものである。 戦後生まれ、戦場を知らない者にはその体験を活かすためにも語ってもらいたいところだ。が戦争という悲惨な体験を味わった彼らにとれば、語ることによって癒されるような甘い体験ではない。語るとなると思い返す必要があり辛くなるだけに、口を閉ざしたまま亡くなった人が実に多かったように思う。 主人公神尾克巳のように戦死した者の思いを語り継ぐことに意義があることに気付かされる人は少ない。気付かされても辛さ語る意義を上回ってしまうのだろう。 現在あの戦争に従軍して生きている人は、非常に少なくなっている。少なくとも辛い体験を語ってくれた記録は、出来るだけ失われぬよう大切に後世へ伝えていく必要があろう。 今年は太平洋戦争が始まってから70年。私の伯父も4月1日に米軍の沖縄上陸阻止のため、九州から飛行機で出撃し戦死している。今年は太平洋戦争関係のものを幾つか読んでみようと考えている。この大和シリーズは、他に2冊あるようなので、近いうちにそれらも読みたいと思う。 多くの皆さんにお薦めしたい一冊です。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2012-01-04 03:33
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