by une_genzaburo
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この本は、「本が好き!」(本好きのコミュニティサイト)から献本として頂いた本だ。 曽野綾子さんは、私が尊敬する数人の女性の一人なので、この本の献本に応募した。運良く抽選に当たり頂いた。 最近、全幅の信頼を寄せれる批評家がほとんどいなくなった。そのせいか、相対的に女性の評論をよく読むようになった。この曽野綾子さんの他は、櫻井よしこさん、塩野七生さんetc・・・・。 彼女らは男性以上に、歯切れのよい口調で、バシバシ物言う、それでいて年月が過ぎても主張にぶれが無いところがいい。 これだけの事が書けるのは自分の信念というものを堅持している人なのだろう。信念を持ち行動・発言し、そのことに責任を持つ。 本来当前の人間としての態度だが、最近、男性も含めて見回しても、日本人の中にはそういう批評家・論者は稀有になってしまったように思う。 その辺りも、社会全体として「子供のままの大人が増えた」理由と関わりがあるのだろう。 前半の第1章や第2章では、世界で奇異に見られる日本人・日本社会の特徴が色々述べられる箇所が多い。曽野さんも何もそれら全てを批判している訳ではなく、それらのいい面なども述べてはいるが、一部考え直す必要があるような事柄も指摘する。 日本で批評の際に議論される善悪的根拠は、近年急激に低落してきたとはいえ、ある程度の豊かさがあり、日本が平和であることゆえの、国際的に見て平和ボケの価値観も多い。 例えば何かの供給を待つ際、日本人は律儀かつ几帳面に行列に並ぶが、海外(特に発展途上国)では、一時に押しかける実情も、一概に民度が低いと外国を批判して、自己満足するのは偏狭な感覚だろう。曽野さんは、一時に押し寄せる外国の実情に、逆に日本人に無いヴァイタリティのようなものも感じたようだ。 外国人から見て気持ち悪いくらいの(良く言えば奇異に思える)日本人のお行儀の良さは、確かに曽野さんが言うように、お坊ちゃま、お嬢ちゃまといった人がうようよする国、浮世離れした平和主義者が多く生息する珍獣の国家のように思えるだろう。 曽野さんは、先の東北関東大震災で日本人は、全世界に賢くて礼儀正しく耐える日本人を世界に示したが、同時に規則が与えられていなければ、自分では何の決断も出来ない日本人の‘幼さ’の一面も露呈したと指摘する。なかなか今の日本人には言えない鋭い批評だ。 この本はタイトルからわかるように日本人の幼稚化を問題にする。 その幼稚性の一因として曽野さんは、日教組的戦後教育では、要求することばかり教えて、与える事、与えることによる喜びを教えてこなかったという。彼らは、個人の生活のゆがみは政治の貧困だと教え、要求する事が市民の権利と主張。 本来、全てのものの結果は、自分と他者と偶然と、この3つのものの結果であるのに、そうは教えなかったし、また、人は決して平等たりえないということも教えなかったと痛烈に批判する。 「受けるだけなら、大人ではない。それは赤ん坊か老人である。受けて与えることの双方を、喜びをもってできることが、大人の条件だからだ。肉体的には、大人なのに、精神的には子供のままだというのが増えたのは、家庭でも学校でも社会でも「与える機会を与えられなかった」からである。」 曽野さんは、幼児性の特徴として、周囲に関心が薄い事など挙げている。万引きしてもゲームだと思い、万引きされた店の痛手に思いも至らない。(私が思うに恐らく想像力の欠如だろう。活字離れも大きく影響しているように思う。) さらに幼稚性は、それが進行すると1つの病状を呈するようになる。理想と現実を混同すると指摘。「この混同は、自分がその場の現実に引き出されない限り、それが嘘であることが証明されない、という安全保障を持っている。」と大いなる皮肉も述べる。 今の政権交代してその無能ぶりを露呈している民主党政権を例にとって考えればよくわかる事だ。 「幼稚性は、社会と人間に対して不信を持つ勇気がない」とも指摘。本来「不信という一種の不安定でおぞましい、しかし極めて人間的な防御本能を駆使することによって、初めて私たちは1つの信頼に到達することができる。」 さらに幼稚性はオール・オア・ナッシング(全てか無)で、その中間の曖昧な意義を認めないという。夢想的で非現実的だといことだろう。 「平和は善人の間には生まれない、とあるカトリックの司祭が説教の時に語った。 しかし悪人の間には平和が可能だという。それは人間が自分の中に充分に悪の部分を認識した時だけ、謙虚にもなり、相手の心も読め、用心をし、簡単には怒らずとがめず、結果として辛うじて平和が保たれる、という図式になるからだろう。 つまり、そのような不純さの中で、初めて人間は幼児ではなく、真の大人になるのだが、日本人はそういう教育を全く行ってこなかったのである。」 他 にも「甘やかされた子供と、そうした子供のなれのはての大人は、無限に外界に要求する。同時にうまくいかなかったことは全て誰かの責任にする。そうした人々の特徴は、他罰的だということだ。・・・(中略)・・・他罰的な傾向は無限に不満を生む。「してくれない」という不満が蔓延する。これを「してくれない族」というのだ。くれない族はかつては、老人特有の病気だったが、今は十代でも三十代でも患者がいる。精神的異常老化病である。」 上記のような現代日本人の実態への鋭い指摘が、本のあちらこちらに散りばめられている。 それらの指摘内容は他人事ではなく、自分にもある程度当てはまり、手厳しさもある。が、非常にうまく日本の現実社会の病巣をとらえていて、ユーモアあふれるその皮肉に思わず笑ってしまう。 自分で戒め、自分なりに改善の努力をしたいと思う。 多くの日本人に是非とも読んでいただきたい一冊です。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2011-07-09 17:28
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