by une_genzaburo
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宮部みゆきさんの江戸物を集めた本である。収録作品は、「坊主の壷」、「お文の影」、「博打眼(ばくちがん)」、「討債鬼(とうさいき)」、「ばんば憑き」、「野槌の墓」で6編である。シリーズものではない。 ただし「お文の影」には、『日暮し(上・下)』(『ぼんくら』の続編)に出てきた政五郎親分と記憶力抜群の“おでこ”が出てくるし、「討債鬼」には『あんじゅう』(『おそろし』の続編)の青野利一郎と悪童三人組、行念坊も出てくる。 それぞれ簡単に紹介しておこう。 第一話「坊主の壷」 流行病のコロリで両親を失った‘おつぎ’は、身銭を切ってお救い小屋を提供していた材木問屋の田屋(でんや)で世話になる。さらに流行が過ぎても、田屋で奉公することになる。翌年もコロリは流行し、田屋の主人重蔵はお救い小屋を設けた。 そんなある日重蔵がお救い小屋に掛け軸をもって来て思案に沈んでいた。おつぎは気になり、後ろからそっと覗き込むと、そこには奇妙な絵が描かれていた。 壷の中にお坊さんが入り、壷の口からお坊さんの肩先から上の部分が覗いており、覗いている部分が壷と比べると不釣合いに大きく描かれているものだった。まるで壷から抜け出てきたか、吸い込まれでもしているかのように・… 第二話「お文の影」 深川北六軒堀町の剛衛門長屋には日本橋の糸問屋で長年奉公し番頭までした左次郎という者が隠居生活をしていた。近所の子らに‘さあ爺’と慕われる老人だが、ある日彼が子供を介して政五郎親分に来てほしい伝言してきた。 政五郎が訪れて話を聞いてみると、彼の所に遊びに来る近所の子供らのまとめ役的存在の吉三という子が、影踏みの遊びをしている時に、子供らの影に混じって主のいない影があることに気付いたという。 実は吉三だけでなく左次郎も何度か見た事があったのだ。子供に納得できる説明をしてやれない彼が、世事に詳しい御用聞き(岡っ引)・政五郎の知恵を拝借しようと思った訳だ。といっても政五郎もこういう話は初耳だ。世話好きな彼は似たような話がないか探し始める・…。 第三話「博打眼」 上野新黒門町の醤油問屋近江屋の主人善一はある日朝食中、突然「政吉兄さんが死んだ」と言い出し、うろたえた。その後、家中大騒動となり、女子供は外に出さず、男衆が三番蔵を空けていると、空から座布団のような塊に眼を沢山付けた化物が風を切って飛んできて、三番蔵に飛び込んだ。と同時に店の者が急いで扉を閉め、その化物を閉じ込めた。 善一の娘でおしゃまなお美代は、翌日何が起こったか知りたく、事件を見たという裏手の長屋に住む太七からその模様を聞きだそうと近くの八幡宮へ誘った。狛犬の台座に背中を持たせかけて聞き出している時、彼女は時々遊んでもらう近所の竹兄が話すお国訛りの言葉がどこかしらから聞こえてくるのを耳にした・…。 第四話「討債鬼」 本所亀沢町の手習所「深考塾」の若師匠・青野利一郎のもとに、ある日習子の一人である信太郎の家・本所松坂町の紙問屋「大之字屋」の番頭久八が頼みごとにやって来た。何とその頼みは大之字屋の主・宗吾郎からの依頼で、息子の信太郎が大之字屋の為にならないから斬り殺してくれというものだった。 事情を聞くと、ある日大之屋に行念坊という坊主がやって来て言うには、この家の信太郎に討債鬼という財を食い尽くす魔物が憑りついており、それから逃れるには信太郎を除くしかないのだという。・… 第五話「ばんば憑き」 表題作。小間物屋「伊勢屋」の婿養子・佐一郎とお志津の若夫婦が箱根湯治の旅の帰途に戸塚宿に泊まった。懐具合に余裕がある彼らは雨に無理せず二日続けて其処に泊まった。二日目に宿のおかみのたっての願いで、お志津が嫌がるのを押し切り、品のいい老女と相部屋することになる。 佐一郎は、不機嫌な妻が寝付いた後、昔この近くの集落に住んでいたというその老女から、五十年ほど前の忌まわしい過去の話「ばんば憑き」の話を聞く。ばんば憑きとは、人を殺した者に、殺された者の魂を宿らさせ、下手人の魂を喰らい尽くさせすっかり成り代わる憑依の術であった。・… 第六話「野槌の墓」 傘張りや代筆などで糊口を凌ぐ浪人・柳井源五郎は、ある日只一人の家族である七歳の娘・加奈から、彼女が可愛がっている猫タマの願いを聞いてやって欲しいという。タマは実は化猫で話せるのだ。 驚いた彼であったが娘のたっての願いを了承すると、数日後その化猫がスラリとした女の姿で彼の前に現れた。 頼み事というのは、化猫の物の怪仲間である野槌が最近人間に危害を加えるようになって自分らでは最早抑えられないので退治して欲しいという・…。 以上の六話だ。 宮部ファンには色々な趣味の人がいると思う。宮部さんの書くジャンルが幅広いためだが、私は宮部さんのミステリー物や冒険譚など現代・近未来物も好きで読むけど、江戸物が特に好きで、そういった本が出ると必ず読むことにしている。 今回はシリーズ物の番外編のような作品もあるが、別にそれを知らずとも十分ぬ楽しめるいい作品になっていたと思う。 「坊主の壷」、「お文の影」、「討債眼」は比較的楽しく読めた。「博打眼」もそれほど気味悪くは無いが、博打眼が人の屍肉から人為的に作られ、少しおどろおどろしい話となっている。 表題作「ばんば憑き」は、暗い過去を背負って生きてきた老女が選んだ最期にもの悲しくさせられた。 最終話「野槌の墓」も、主人公に成敗されるが、物の怪にならざるを得なかった魂の悲哀とそれを供養する主人公の姿に共感を覚える。 帯紙のコピー文にもあるように「胸をうち、心に沁みる怖くも哀しいふしぎな物語」、宮部さんならではの江戸情緒にあふれた趣深い一品に仕上がっていたと思う。 宮部ファンには必読、そして出来るだけ多くの人に薦めたい一冊です。 ←ランキングに参加しています。
by une_genzaburo
| 2011-03-27 09:01
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