このブログで何度か紹介したが書評コミュニティ・サイト「本が好き!」から頂いた本だ。
成美堂の本は、最近色々増えた。このような図解シリーズや成美文庫など、近年急に充実してきた感じがする。
私は歴史小説はよく読むので、どの時代でも結構知っているつもりではいる。が実は質問で突っ込まれると(高校の教科書に載っているような事項でも)常識的な事実も答えられない事もあり、結構いい加減な知識だなあと自覚する時が時々ある。
言い訳をすれば、高校時代は世界史は選択して、日本史は選択していなかったのが主な原因。日本史のちゃんとした勉強はしていない。一度日本史を何冊かの歴史書・通史で勉強せねばと思っているが、いまだに実行してない。
よって日本史の知識は、大人になってから、歴史小説や歴史書で知った知識が偏った知識だ。
この『図解近代史』はそんな私の日本史の知識(ただし近代史(一部幕末も含めた)ということで明治時代の歴史だが)を補充するに非常に有効な本だと思った。
歴史小説でなく、歴史書でも、これだけデーターなど載せた本は専門書にはあまりない。それも非常にビジュアルで見易い。
現在NHKで司馬遼太郎の『坂の上の雲』を放送しているが、あれなど観るのに非常に参考になるのではと思った。私は勿論今から20数年前に読んで、司馬さんの小説の中でイチ押しの本だが、全巻読むとなると活字慣れしていない人にはちょっと無理かもしれない。
あの番組では、ドラマ化するにあたり、かなり登場人物を絞り独特のクローズアップをしてみたり、小説とは違った描き方をしている。小説では軍事的地知識や日露戦争の歴史的背景などドラマの中で異常にもっと詳しく書いているが、小説ということもあり表などに図示化している訳ではなく、とにかく長い小説を読まないことには把握できない。
でもこの本を傍らに置いて、参考箇所を読むだけで、相当違うのではないかと思った。
最近は少し見直されてきたようだが、現代は何でも、アメリカ流イコールグローバルということで、金融界で横行している観方、短期的な観方ばかりで歴史的思考があまり用いられていないように思う。
私は新聞や雑誌など読んで、何か深い経緯がある問題などにぶつかると、事項毎に短く纏められた歴史書や歴史事典を引っ張り出し読むようにしている。これは社会問題を理解する基本的な態度だと自分では思っている。歴史は社会の現象を理解する基礎の1つである。
歴史的に何かわからない時、歴史の事典・辞典を調べるのもいいが、単一の事項の説明ではそういう際、私の経験ではあまり役には立たない。やはり関連事項も含めた有る程度の広がりをもった歴史的背景を知らないと、深い理解は得られないと思う。
そういう点では、この本は日本の近代史は最適だと思う。
目次を参考のために転記しよう。
第1章明治維新と富国強兵
第2章東洋の変容と日清戦争
第3章決戦!日露戦争
第4章世界の五大国へ
第5章明治時代の産業・経済
第6章明治時代の社会・生活
第7章明治時代の文化
各章をまとめて読んでもいいし、何か1つの歴史的事項を選んで読んでもいい。
非常に勉強になる。
先ほど『坂の上の雲』の例を出したが、私の場合、歴史小説など読んでイメージできなかった話も、今回かなり「へーーーーっ」て感じであらためて理解した事も多い。
オールカラーのビジュアル本ならではのメリットだと思う。
最後に
歴史に詳しくない思想家・批評家などまずペテン師と考えて間違いない。
何かの教養を身につけ、一廉の人間になりたいのなら歴史をまず勉強することです。
近代史の理解は、知識人たらんと欲している日本人には必須の基礎教養です。
そのための入口、入門書としても本書は格好の本です。
お薦めの一冊です。
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