私の歩いた道―自伝素描集
平山 郁夫 / 日経
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本を開いて各々の右の頁に、それぞれの時期の20行前後の短い自伝的説明。そして左の頁には、それに関連した素描が掲載されている。
素描なので、平山氏が展覧会などに出す絵と比べると、簡略なものだが、それでもなかなかの味わいの絵ばかりだ。
線を描いた後の、色の塗り方も、大雑把なのだが、これぞ大御所の片鱗とでも言おうか、何ともいえぬ味わいあるスケッチとなっている。
私も絵画には大いに関心あるので、暇がもっとあれば旅行先などでスケッチ(素描)するなどしてみたいなどとも思っている。
線描に色を落とし込む平山氏の塗り方一つをじっと見ていても勉強になる。
ところで自伝の方だが、平山氏は被爆者とは聞いていたが、B29から落ちる原爆が落ちる様まで見ていたとは知らなかった。
原爆が、落下傘をつけてゆっくりと落ちてきたというのは、48歳にして初耳だった。
平山氏は、爆発の瞬間は、偶然、勤労動員先の陸軍兵器補給廠の小屋の中へ入った後で、閃光は後ろ姿でも分かったが、頭を手で覆って倒れたせいか、酷いやけどもせずに助かったらしい。
戦後、東京美術学校日本画科を卒業、前田青邨を師事。その後、数々の賞を受賞し、先年亡くなったのは皆さんの知るところだ。
私も結構好きな画家なので、図書館など行った際、画集など時々ながめたりしていた。平山氏自身が仏教画などに目覚めた経緯にも昔から結構興味があった。
そういう訳で今回七尾市立田鶴浜図書館から借りてきて読んだ訳である。
平山氏に興味のある方は、必読・必見である。
お薦めの一冊です。
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