ここ2,3週間バタバタしていて、本の紹介を書く余裕があまりなかった。またしつこい風邪に罹り、なかなか治らないのも理由に挙げていいだろう。
この間、全く読まなかったという訳ではない。少ないが3冊ほど読んだ。
今からその3冊分の詳しい紹介文は書く余裕はないが、短いが簡単な感想など添えた紹介文を書いておく。
1冊目は『戦国風流武士』(海音寺潮五郎著・文春文庫)である。
10月7日夜に読み終えた。
前田慶次郎を主人公とした小説だ。前田慶次郎といえば、前田利家の甥っ子(これとは違う、諸説も幾つかあり)でありながら、前田家を出奔し、(現在NHK大河ドラマで放映中の『天地人』に出てくる)上杉景勝に仕えたことが知られている。
前田利家に一時仕えていたから、前田利家が能登一国を貰い小丸山城に居城を築いた際、七尾に来た可能性も非情に高いと思われる。現在・氷見市の西北の海岸にある阿尾城は、彼が前田家を出奔する前、前田慶次郎に城だったという。
最近では、マンガ(『花の慶次』)やそれをパチンコにしたことから、結構人気のある武将である。戦国一の傾(かぶ)き者といわれる男だ。
この本の中では、戦国武将の中で屈指の学識者だったことなど紹介されている。本阿弥光悦が彼の友人として何度も登場してくる。海音寺氏は結構、この学識の深いという点に注目しているように思う。上杉家にあっては、伊勢物語の注釈も行っていたそうだ。
性格としては、他人の命令を受ける事が大嫌いな、天衣無縫な性格。それだけに上位の者にも決して媚いることはせず、自分の主張を通して生きようとする。あの戦国時代にその信念を貫き通したというのは見事に尽きる。
また稀代の悪戯者で、小田原包囲中に秀吉が催した仮装大会では、彼は秀吉の目前で彼を皮肉った猿回しを演じて見せたり、利家を騙して水風呂に叩き込んだりする。
お薦めの1冊です。
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