監修は国立感染症研究所の田代眞人氏(岡田晴恵氏の上司)だ。このブログで紹介する岡田晴恵さんの本は、田代眞人氏との共著も含めてこれで3冊目だ。
(2つ前の記事で)昨日も、新型インフルエンザの本を採り上げた。その際は、脅威を煽るだけの本だと酷評した。
今回採り上げる本は、2004年5月に発行された本で今から5年ほど前の本である。鳥インフルエンザについて非常に簡単に実にうまく纏めてあるいい本だと思う。
勿論、この本でも新型インフルエンザになりうる鳥インフルエンザの脅威を訴えている。
でも2つ前に紹介した本は酷かった。大手5紙の新聞報道の抜出し記事を主に纏め、刻々の新型インフルエンザが広がっていく状況を書いて、緊急事態の緊迫感を伝えるのもいいが、ただただ型インフルエンザは怖いぞーと訴えるのでは、パニックを扇動しているだけで百害あって一利なしに近いと思う。
この本の「はじめに」は、次のような言葉で締めくくられている。
「本書は、毎年流行するインフルエンザと、鳥インフルエンザ、そして新型インフルエンザ、この3つの別々の顔をもったインフルエンザ・ウイルスについて明らかにする。感染症と“たたかう”ためには、まず相手を知ること、つまりまず、この史上最強のインフルエンザを知るということが大切であることを、ご理解いただきたい。」
敵を知らないで戦えないということだ。その通りだと思う。だから私も2つ前の記事で豚インフルエンザに関しただただ煽る本の内容に対して、
「今は冷静に事態の推移を見て、その間に各人が冷静に準備対応できるように手助けすることが重要なはず。そのためには日本国民がインフルエンザに関する基本的な知識をしっかり押さえるよう啓蒙し、その上で(この本でマニュアル的な対処さえもろくすっぽ書いてないが)どう対処していけばいいか最善のマニュアルを示すことが重要なはずだ。それがこの本は、恐怖を煽るだけで、その辺の事が全然なっていない。」というコメントを書いたのだ。
最近、この岡田晴恵さんに対して、新型インフルエンザの脅威を煽り立てる迷惑な人という評価をする人もいる。しかし私はその意見には反対だ。一般にあまり知られていないインフルエンザの知識やその対処方法を紹介しているのであるから、脅威を伝える文章が数多くあっても、それは科学者から発せられた真に重要な警告であって、煽りではない。啓蒙活動である。より多くの人が啓蒙されて、実際に新型インフルエンザが流行した際に、その効果でより官民一体の良き対応が行われる訳である。
私のブログはインフルエンザに関する本の紹介が多い。ウイルスや感染症まで含めると2,30冊位は紹介したかと思う。
そのせいか最近インフルエンザ関連の用語での検索による訪問が非常に多い。7月頃までの半年ほどの間には、「岡田晴恵批判」という検索で非常に多数の人が訪れていた。
しかし読んでおわかりの通り私は岡田晴恵擁護派だ。岡田晴恵さんをパニック扇動家と批判する前に、そういうことを言う人(専門家である医者も含めて)にはもっとインフルエンザに関して勉強しろと言いたい(岡田晴恵氏のHPを以前見たら、医者でも不勉強がわかる発言をする人が何人もいたで非常に驚いたものである)。
今回この本の内容を少し詳しくまとめて紹介しようかとも考えたが、今までに何度も何度もインフルエンザに関しては紹介している。
この本によって、私もいい復習が出来た。以前にも色々説明してきた訳だし、今回の記事でまた詳しく書くこともなかろうと思う。
この本は多くの図なども多用しながら、最低限必要な知識を非常にうまくまとめて書いている。この本を3回くらい繰り返して読むだけでも大分違うのではなかろうか。
3回といっても、そんな大したことはない。遅読派の私がこの本をたった2時間半で読んだのだ。皆さんも3回位簡単に読むことができると思う。それが嫌ならば、各章(この本では章立ての代りに警告1~警告12とい「警告」という分け方をしている)の始めに大活字で書かれた纏め書きを数度繰り返して読むだけでもいい復習になると思う。
とにかくインフルエンザ対策の良い参考になる本です。お薦めの一冊です。
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